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共感マップとは?6つの基本要素から作り方まで詳しく解説!

共感マップとは?6つの基本要素から作り方まで詳しく解説!

ニジボックスのUXデザインフローや案件事例をご紹介!


共感マップとは、ペルソナが置かれている状況や感情を深く理解するために使われるフレームワークです。

この記事では、マーケティングに欠かせないペルソナをより有効活用するために便利な、共感マップの基本情報と作り方について解説します。

共感マップとは?

共感マップとは、「ペルソナ視点で感情や行動を整理することで、ユーザーのニーズを浮き彫りにするフレームワーク」です。

まずは、共感マップの基本的な理解をするために、どんなフレームワークなのかを詳しく見ていきましょう。

そもそも、「共感」とは何?

共感とは、「同じ感情を感じること」です。

例えば、仕事で悩んでいる同僚の話を聞いているときに、「自分も同じような経験をしているからよくわかる」と感じることがあるでしょう。
このように共感とは、ある特定の相手が持っている、嬉しい・楽しい・怒っているなどの感情に対して同じ感情を持つことです。

「人は感情でモノを買う」と言われるように、マーケティングにおいてはユーザーの感情を理解してニーズを見いだすことが重要です。
ユーザーが普段何を考え、どんなものを見ているのか。
共感マップは、このようなユーザー視点で状況や感情を理解し、サービスの設計や改善に活かすためのものです

共感マップの6つの基本要素

共感マップは、ある特定のユーザー(=ペルソナ)の視点で感情や行動を整理します。

ペルソナが普段見ていることや考えていること、行動や願望などを、具体性を持って書き出し、一つの図にまとめるという方法で整理していきます。
一目でペルソナの視点を俯瞰できるようにマップ化することで、そのニーズを発見しやすくなるのが共感マップの優れている点です。

共感マップの要素は、以下の6つが一般的です。

  1. ペルソナが見ているもの
  2. ペルソナが聞いていること
  3. ペルソナが考えていること・感じていること
  4. ペルソナが言っていること・行動
  5. ペルソナの痛みやストレス
  6. ペルソナが得られるもの・欲しいもの

これらを書き出し、整理することでペルソナの内面がはっきりとした輪郭を帯びて見えるようになってきます。
6つの要素は、後述する共感マップの作り方でも出てきますので、覚えておくようにしましょう。

ペルソナとはについては以下の記事で詳しく解説しています!ぜひ併せてご覧ください。

共感マップ使用時の注意点

共感マップを作成する前に、注意すべきことは2つあります。

  • 共感マップはグループで作成すること
    共感マップで書き出す要素は多くが感情です。
    感情は主観的なものなので、一人で書き出すと偏りが生じるリスクが高くなります。
    少なくとも3名以上のグループで意見を出し合いながら作成することをおすすめします。
  • 「1ペルソナ1共感マップ」の原則を守ること
    共感マップは、特定のペルソナに対応する形で作成しなければなりません。
    当然のことですが、異なるペルソナが複数あれば、それぞれ感情や行動も違ったものになるためです。

共感マップを使う目的

共感マップは何のために作成し、どんなシーンで有用なツールなのでしょうか?
「作ってみたのはいいけれど、その後どうすればいいかわからない」ということにならないよう、目的を理解しておきましょう。

ペルソナを深く理解するため

共感マップを使う直接的な目的は、ペルソナをより深く理解するためです

ペルソナは、「まるでその人が現実に生きているように思えるほど」理解しなければ、活きたツールとなりえません。
だからこそ、年齢や居住地などのデモグラフィック情報に留まらず、感情や行動まで詳細にイメージすることが必要です。

UXを最適化し商品・サービスを改善するため

ペルソナを深く理解できれば、自社の商品・サービスに対してユーザーがどのような反応を示すかを解像度高く捉えることができます。
この理解は、より良いユーザー体験(UX)の設計や改善に向けたアクションを決定するのに役立つことでしょう。

つまり、共感マップとは顧客視点でサービスをより良いものにするためのヒントを与えてくれるツールなのです

このように、共感マップは、最終的にあなたが携わるサービスの成長につなげることをゴールとしなければなりません。
だからこそ、共感マップの各要素を書き出す際には、常に事業とどのようなつながりをもたせることができるか、を念頭に作業するようにしてください。

例えば、ペルソナが普段見ているアプリを書き出したら、「そのアプリのどんなところがペルソナの感情を動かしているか」までを考えてみます。
その答えが「ペルソナの知りたい情報が過不足なくまとめられている」「知りたい情報に関する通知がちょうどよい頻度で届く」といったものであれば、より良いUXを自社サービスにも装着することを検討できるでしょう。

UXやUX改善については下記の記事で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

共感マップの作り方

それではここから、共感マップの作り方について解説します。
「準備編」「作成編」「検証編」と大きく3つに分けているので、それぞれ確認しながら読み進めてみてください。

【準備編】ペルソナの設定とテンプレートの準備

共感マップを作成するにあたって、まずは2つの準備が必要です。

1. ペルソナの設定

1つ目は、ペルソナを設定することです。
今回のペルソナは以下のペルソナを利用します。

ペルソナシートについては下記の記事で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

2. テンプレートの用意

2つ目は、共感マップのテンプレートを用意することです。
表形式でまとめてもよいですが、視覚的にわかりやすいテンプレートを使うとチーム間での共有もしやすくなります。

【作成編】6つの要素を書き出す

準備が完了したら、6つの要素を書き出していきます。

1. ペルソナが見ているものを書き出す

設定したペルソナの性格や行動傾向を踏まえて、先に紹介した6つの要素をテンプレートに書き出していきましょう。

なるべく具体的に考えなければ、そのペルソナの感情、ひいてはその奥にあるニーズを浮き彫りにすることができません。
例えば、「ビールが好きでよく飲む」よりも、「●●(ビールの商品名)が好きでよく飲む」の方が、よりペルソナの具体的な人物像を描くことができるはずです。

それでは、これ以降、自分がペルソナになったつもりで、書き出してみてください。

まずは、ペルソナが普段の生活の中でどんなもの・ことを見ているかについて洞察します。
目の前に見えているものや、家族・友人がしていること、よく見るメディアは何でしょうか?

(例)
・ニュースアプリで業界情報を入手
・SNSで友人や仕事関係の知り合いの投稿をチェック
・ファッション情報や都内のグルメ情報が載っているWebメディアを閲覧している

2. ペルソナが聞いていることを書き出す

次は、ペルソナが普段聞いていることを書き出します。
家族・友人から聞いていること、影響を受けている人からの情報、聞いている噂などを考えてみしょう。

(例)
・大学時代からの友人が結婚しそうと聞いた
・尊敬している先輩から朝活のいいところを教えてもらった

3. ペルソナが考えていること・感じていることを書き出す

ペルソナは普段、どんなことを考え、感じているでしょうか?
実際に言ったり行動したりしていないけど、大事にしていることが何かを見極めるのがポイントです。
他人には言えないけど、将来的にしたいことや夢、願望などもここに含まれます。

(例)
・自己研鑽も友人との時間も大切にしたい
・キャリアアップしたい。転職先を探そうかな
・この夏参戦するフェスが楽しみで待ち遠しい

4. ペルソナが言っていること・行動を書き出す

次は、実際にペルソナが言葉にしそうなことや、行動に移していることです。
言っていることは、会社の上司や部下に対しての発言、友人・家族との会話、SNSでの発信などから考えてみましょう。
行動は、仕事やプライベートの過ごし方、自己実現のための活動などです。

(例)
・友人とのグループメッセージで、夏にバーベキューをしようと提案
・仕事に役立つセミナーがないか探す
・転職サイト経由のオファー内容をチェックする

5. ペルソナの痛みやストレスを書き出す

ペルソナがストレスと感じていること、不満や不安、悩みについて書き出します。
ユーザーにとってネガティブとなる要素は、裏返せばそれを解決することでいい商品・サービスになるということです。
つまり、この項目は共感マップの中でも大きなヒントが隠されている可能性があると捉えることができます。

(例)
・友人達が家庭を持ち始め、昔のように気軽な誘いが出来なくなってきた
・最近好きなサーフィンに行けていない
・外食ばかりのせいか少しだけ体型が気になる。

6. ペルソナが得られるもの・欲しいものを書き出す

最後に、ペルソナが普段欲しているもの、求めている状態になるために必要なものを考えてみましょう。
仕事だけではなく、プライベートでも人それぞれに欲しているものはあるはずです。
また、ペルソナが「成功」をどんな基準で捉えているかもこの項目に含まれます。

この項目は、ニーズと直結する意味でも、前項と同様重要な要素だといえます。

(例)
・仕事以外に何か自分が社会貢献できることをやってみたい
・もっとキャリアアップしたい

【検証編】インタビューをして内容を精査

以上で、共感マップの6つの要素は書き出すことができました。
共感マップの作成はグループで作業することで、できるだけ誰か一人の主観による偏りのないものにできます。
しかし、それでもここまではあくまで「仮説」の域を出ません。

そこで、一度作成した共感マップを検証することでブラッシュアップしていくことをおすすめします
インタビューやアンケートなどのユーザー調査を行い、仮説が間違っている場合は訂正し、新たな発見があれば書き加えていくのです。
ブラッシュアップを重ね、より実態に近い内容の共感マップを作成しましょう。

ユーザー調査の手法、インタビューやアンケートについては以下の記事で詳しく解説しています!ぜひ併せてご覧ください。

せっかく作った共感マップを上手に使うために

共感マップは、作るだけではなく実際に活用しなければ意味がありません。
開発・改善プロジェクトのチームメンバー間で共感マップを共有し、かつ、常にメンバー全員の目に入る場所に共感マップを貼り出すなど、ペルソナの視点を業務に生かせる環境づくりをすることが重要です

また、共感マップと併せて使いたいフレームワークにカスタマージャーニーマップがあります。

カスタマージャーニーマップとは、「ユーザーが商品・サービスとの関わりの中でたどる一連のプロセスを視覚化したもの」です。
商品・サービスのターゲットとするペルソナを設定し、そのペルソナが商品に興味を持って購入に至るまでの行動を動的に描写する中で、今まで見逃していた課題を発見するフレームワークです。

このカスタマージャーニーマップを、共感マップをもとに作成することで、より現実的なカスタマー像をイメージできるようになります。

カスタマージャーニーマップの作成目的や作り方については以下の記事で詳しく解説しています!ぜひ併せてご覧ください。

まとめ

ここまで、共感マップとは何か、そして作り方についてご紹介してきました。

とはいえ、どんな手法やフレームワークでも、ただそれを知っているだけではビジネスの結果には結びつきません。
結果として実らせるためには、実際に実践する中で経験を積み、手法を自分の物にしてゆく必要があります。

では、手堅く、リスクを最小限に実施するにはどうしたら良いのでしょう?
それは、「実績のある経験者のノウハウを参考にする」ことも一つの作戦だと思います。

ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があり、UXデザインやデザイン思考をはじめとする様々なビジネス手法を実際にリクルートの新規事業でも数多く実施し、検証を重ねてきております。

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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