「答えるAI」から「働くAI」へ|Claude活用で変わるUI UX開発と業務改革

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生成AIは「答えるAI=相談相手」から「働くAI=もう一人の担当者(エージェント)」へ移行しつつあります。作業を任せられるほど、人は上流の論点設計と成果へのコミットに時間を使えるようになります。
本記事は、株式会社ニジボックスが主催したイベント『AI時代の業務改革最前線~Claude Code・Claude Designで広がる可能性~』の講演とデモをもとに構成しています。アーカイブ動画(YouTubeで視聴)と、イベント詳細(connpass)も公開されています。
この記事で分かること
- 「答えるAI」から「働くAI」への移行:聞けば答える相談相手から、作業を任せられるもう一人の担当者へ。この違いと、今動くことの意味を整理します。
- 『Claude』4機能の使い分けと開発の変化:「脳は同じで、作業する場所が違う」という考え方と、デモで見えた開発の流れ(数日・複数人から、一人・半日〜1日へ)を紹介します。
- 人の役割と、組織導入の壁:「作る」が速くなるほど問われる論点設計・意図の明示・対話の価値と、セキュリティなど導入の壁の実態を扱います。
株式会社ニジボックス主催イベント『AI時代の業務改革最前線~Claude Code・Claude Designで広がる可能性~』:登壇者
- 吉川聡史:UI UXデザイン統括本部 UXディレクション室 室長
- 岸廉太郎:事業統括本部 クライアントソリューション部 部長
- 大宮夏織:事業統括本部 プロダクト推進部 部長
- 齊藤光一(モデレーター):事業統括本部 事業推進部 本部長
「AIは使っているが、仕事の進め方そのものは変わっていない」–そう感じる方は少なくないかもしれません。イベントでは、この状態から一歩踏み出すための考え方と、『Claude』を使った開発・業務のリアルなデモが共有されました。
目次
「答えるAI」と「働くAI」は何が違う?なぜ今動くのか
違いは、聞けば答えてくれる「相談相手」か、作業そのものを任せられる「もう一人の担当者(エージェント)」かにあります。今はこの後者へすでに移行している、というのが登壇者の見立てです。
吉川さんは、AIの節目を3段階に整理します。チャット型AIの登場、ツール同士をつなぐMCPの普及、そして直近の『Claude』の大幅な進化です。3つ目の節目で、会話だけでなく「業務を任せられる」範囲が一気に広がり、業務フロー自体を変えられる可能性が出てきたと語ります。
「様子見している間に、企業間の差は静かに、しかし猛烈な速度で開いていきます。今ここで一歩動くことが、最も効率の良い投資ではないでしょうか」(吉川)
とはいえ「忙しくて触る時間がない」「何から始めればよいか分からない」という声も多いところです。だからこそ、まずは使い方の全体像をつかむことが役立ちます。
『Claude』の4つの機能はどう使い分ける?
ポイントは「脳(AIモデル)は同じで、作業する“机・部屋”が違う」と捉えることです。用途に合わせて次の4つを使い分けます。

| 機能(作業する場所) | 主な役割 | できること・活用例 |
|---|---|---|
| 『Claude』 | 思考の整理・壁打ち | 要件定義前のブレスト、KGI・KPIの分解。方向性を質問し返す・図で示すなどエージェント的な動きも |
| 『Cowork』 | 案件ごとの文脈蓄積・連携 | ローカルファイルの読み書き、ブラウザ操作、プロジェクト単位で資料や議事録を横断 |
| 『Cloude Code』 | 実装・自動化・仕組み化 | コマンド実行、実装、手順のスキル化とチーム共有、実プロダクトの作り込み |
| 『Claude Design』 | UIデザインの直接生成 | 自然言語とデザインシステムの読み込みで、既存トンマナに沿ったUIを生成 |
使い方も工夫のしどころです。登壇者からは、2つのセッションを同時に裏で動かす、会議の裏で作業を進めておく、よく使う手順をスキルとして貯めてチームの資産にする、デザインの一次レビューを担うAIレビューアーを用意する、といった実例が共有されました。特に『Cowork』は、案件ごとにプロジェクト化して同じ資料を読み込ませることで、その案件に特化した使い方ができる点が強みだと紹介されています。
デモで見えた開発の変化|上流の論点設計からUI生成・実装まで
デモでは、架空の採用管理ツールの改善を題材に、上流の論点設計からUI生成・実装・データ化までを一気通貫で実演しました。従来は複数人で数日かけていた工程が、一人・半日〜1日で通せる可能性が見えた、というのがひとつの手応えです(デモでの参考値)。
上流では、次の順に論点を組み立てていきます。
- KGIを定義する(デモでは採用決定リードタイムを32営業日から20営業日へ、という設定)
- KGIを支える成功要因を洗い出し、KPIツリーとして可視化する(一気に進めず“セーブポイント”を置く)
- ゴール(NSM)を決める(デモでは星4以上の候補者への48時間以内アクション率を指標に設定)
- 仮説を検証し、課題仮説・打ち手仮説へ落とし込み、要求から要件へ具体化する
吉川さんは、要素へ落とし込む作業はAIが得意な一方、その前段の「要求」をきちんと定めることが重要だと強調します。ここが人の担う中心的な仕事になります。
制作フェーズは大宮さんが実演しました。デザイナーがデザインの方針を考えたうえで、『Claude Design』に自組織のデザインシステム(デモではマテリアルデザインのFigma UIキット)と既存画面のHTMLを読み込ませ、既存のトンマナに沿ったUIを生成。「緑色が強く目が痛いので不透明度を50%に」といった自然言語の指示でその場で微調整し、続けて『Claude Code』で実装、Figma MCPを介してコンポーネントやトークンの連携、オートレイアウトまで含めたFigmaデータへ書き出しました。
| 観点 | 従来の進め方 | デモで見えた進め方 |
|---|---|---|
| 関わる人数 | 企画・デザイナー・開発など3〜5人 | 担当者中心(役割を横断) |
| 所要時間 | 数日 | 半日〜1日かからず |
| UI生成 | 手作業で作成 | 『Claude Design』でDS+既存HTMLを読み、既存トンマナに沿って生成 |
| 実装・データ化 | 手作業でFigma化 | 『Claude Code』で実装、Figma連携でコンポーネント・トークン・オートレイアウトまで |
※ 人数・時間はデモでの参考値。成果は対象業務や条件により変わります
大宮さんは「3カ月前はFigmaで“側”を作る程度でしたが、今はコンポーネントの連携までできるようになりました」と、直近の進化に触れています。
こうした流れは実案件でも成果につながっています。『武蔵野銀行アプリ』のLPリニューアルでは、AIを「思考のパートナー」として制作フローに組み込み、要件定義で約50%・ワイヤーフレーム作成で約75%の工数削減、3月の1カ月時点でアプリストア送客のコンバージョン1.7倍という結果が出ています(プロジェクト期間4.5ヶ月)。
- 出典:【ニジボックス実績】株式会社武蔵野銀行『武蔵野銀行アプリ』LPリニューアル(実績ページ)
▼ この上流設計から制作・データ化までの進め方は、『業務AIシフト』の資料に手順・事例とあわせて体系化されています。
「作る」が速くなると、人の役割はどう変わる?
本質は変わりません。ゴールを定め、仮説を立てて実行するという流れは同じです。変わるのは、これまで「作る」に取られていた時間を、上流の論点設計と成果へのコミットに振り向けられることだと、吉川さんは語ります。
同時に、たくさん作れるからこそ「どんな意図で、どんな指示で作ったのか」を添えることが大切になります。プロトタイプが何十個も並ぶと、意図がなければ良し悪しの判断が難しくなるためです。これまで上流の担当者だけが握っていた目的や論点を、関わる全員が共有して同じ方向を向く–そんな進め方が現実味を帯びてきます。
岸さんは、作業がAIに置き換わるほど、どこに悩みや課題があるかを自分で考え、お客様と直接対話する時間の価値が増すと指摘します。コミュニケーションはAIに任せきれない領域です。
「デザイナーは要らなくなるのでは」という問いにも、デモの手応えが答えになっています。高い精度で出力できたのは、読み込ませたデザインシステムをデザイナーが設計していたからでした。大宮さんは、100%を5日かけて作るのではなく、初日にAIで50%を出し、議論を重ねて5日後に120%へ育てる–そんな主導のしかたを挙げています。品質の見極めや最後の仕上げは、これまで積み重ねてきた専門性が生きる部分です。
大企業の「組織導入の壁」はどこにある?
多くは「セキュリティ」に集約されます。ただし実態は、ルール自体が明確でなく、誰が整備を担い、どこに情報があるのかが曖昧なことも少なくない、と岸さんは話します。
「セキュリティの懸念はよく挙がりますが、実態はルールが曖昧なだけのことも多い。AIの進化に社内の申請・承認フローが追いつかない、というジレンマも起きています」(岸)
新しい機能が次々に出るなかで、申請から承認までの時間と進化の速度が噛み合わなくなりがちです。会社側の制限だけに頼らず、推進担当者自身が安全な使い方を理解し、現場からルールを更新していく動きが役立ちます。
まとめ|“作って終わり”にせず、“使われるまで”見届ける
『Claude』が「答えるAI」から「働くAI」へと進化したことで、これまで数日・複数人で進めていたUI UX開発も、一人・半日〜1日に近づく可能性が見えてきました。人は「作る」から解放され、上流の論点設計と成果に時間を使えるようになります。これが、Claude Code・Claude Designで広がる可能性であり、AI時代の業務改革の最前線で起きている変化です。
一方でイベントでは、「ただ作る」だけの依頼は減り、「設計してみたが現場で使われない」という相談が増えている、という現場の変化も共有されました。だからこそ、可能性を成果に変える鍵は、“作って終わり”にせず、現場で使われるまで見届けることにあります。最初の一歩は、自社の業務のなかで「AIに任せられる領域」を小さく洗い出し、実際に試して定着するかどうかを確かめるところからです。
ニジボックスでは、UX(ユーザー体験)の視点と業務そのものの理解を組み合わせ、ビジネスを成長させる業務改革(BPR)にAIを掛け合わせて推進する支援や、事例を交えた勉強会・ワークショップ、人材育成の『NIJIBOX College』に取り組んでいます。「何から始めればよいか分からない」という段階からの相談も歓迎しています。
デモで紹介した進め方や事例を、より詳しくまとめた資料を用意しています。
▼ 『業務AIシフト(UXデザインで実現するAX)』の資料をダウンロードする
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関連実績
監修者
吉川 聡史
2011年11月にイラストレーターとしてニジボックスに入社し、クリエイティブ領域を中心にアニメーター、デザイナーなど幅広く担当。その後ディレクションに職域を広げていき、Webディレクターや映像ディレクターなどを経て、リクルートの新規事業の伴走や大規模案件においてのマネジメントなど複数経験し今に至る。 前職は漫画家。最新の技術(ツール)を用いた、AI×UXのあり方について技術検証を行い、それらの取り組みをXやnoteを使って発信。

