【事例あり】UXの視点をデザイナーだけでなく組織に浸透させるメリットとは?

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「UX」という言葉を聞くと、デザイナーの専門領域だと思われがちですが、実際には経営やプロダクトの意思決定を左右する重要な視点です。
しかし多くの現場ではデザイナーだけの議論にとどまっており、事業戦略に十分生かされていないのが実情なのではないでしょうか。
そこで重要になるのが「UXの視点を組織全体に浸透させる」アプローチです。職種の壁を超えてUXを共通言語にすれば、事業戦略の初期段階からユーザーに寄り添った意思決定が可能になります。
本記事では、PMやDX推進者がUXを理解すべき理由と、組織全体へ浸透させるメリットや成功のポイントを、支援事例を交えて解説します。
目次
UX視点の組織浸透とは?
本記事における「UX視点の組織浸透」とは、デザイナーだけでなく経営層を含めた組織全体がUXの重要性を理解し意思決定に反映させる状態を指します。
「UXについて組織で考えよう」と聞くと、「画面についてみんなで考えるの?」とイメージされるかもしれません。特に「UXデザイン」という言葉は「画面のデザイン」として語られることが多いですが、ニジボックスでは、画面に閉じず、総合的な視点を持って、「ユーザーにとってより良い体験を得られるサービスを設計すること」と定義しています。
例えば、飲食店におけるモバイルオーダーアプリを想像してみてください。その飲食店での体験は、アプリの使いやすさだけで決まるわけではありません。店舗や接客、商品のクオリティや広告までを含めて総合的に成り立ち、そしてそのどれもが体験に影響を与えています。
これはWebサービスや業務システムでも同じです。必要な機能はあるか、ユーザーが迷わずサービスにたどり着けるか、価値を適切に訴求できているか、そもそもユーザーはどのような文脈の中で何を求めているかなど、より広い視野でユーザー体験全体を捉えなければなりません。UXを高めることは、単なるアプリの使いやすさを改善する話にとどまらず、事業成長や顧客満足度に直結する経営レベルのテーマであり、デザイナーやプロダクト部門だけが担うものではないのです。
仮にUXを特定の部門だけに任せてしまうと、事業やサービスの意思決定においてユーザー視点が欠落してしまいます。その結果、作り手の都合ばかりが優先され、ユーザーにとって「使いづらい」「求められていない」「売れない」サービスになってしまう危険性があります。だからこそ、あらゆる人の意思決定がサービス全体に影響を与えることを理解すること、つまり「UX視点の組織への浸透」が必要なのです。
UX視点を組織に浸透させるメリット
UX視点を組織に浸透させるメリットには以下の2点が挙げられます。
①共通言語でチームの認識や方向性を統一できること
②事業戦略のズレに早期に気づき、無駄な投資を防ぐことができること
それぞれ見ていきましょう。
①共通言語でチームの認識や方向性を統一できる
複数職種が関わるプロジェクトでは、部署や個人の主観によって意見が食い違い、プロジェクトの進行が滞ってしまうことがあります。ですが、本来合意形成の軸になるべきなのは、見た目の好みや経験則といった作り手個人の主観ではなく、「ユーザーにとって良い体験かどうか」であるべきです。
例えば「見た目の完成度」「実装の実現性」「顧客からの要望」など、職種ごとに判断軸が違うままだと、議論がまとまらず、時間だけが過ぎてしまうことがあります。しかし、ユーザーにとって大事なのは「自分が求めていることができる/良い体験か」かどうかです。「見た目だけがきれいなプロダクト」も「実装の限界を受けてやりたいことができないシステム」も「作り手の思い込みで作られたサービス」も、結局は使われません。そうなる前のアプローチとして、「ユーザーに直接話を聞いてみる」ことなどがあります。
リサーチを行うと「ユーザーが求めてるのは見た目じゃなくて機能なんだ!」「今の実装の実現性だとやりたいことができず使ってくれなさそう」「顧客の要望はユーザーに求められてることではなかった」など、さまざまな気づきが得られるでしょう。
UXの視点を持つことで、こうした「自分たちのやりたいことだけでなくユーザーの体験が重要であること」という意識や「今本当にユーザーのことが見えているか?」「分からないからユーザーに聞いてみよう!」といった問いかけが生まれ、組織全体がユーザー中心で考えることにつながります。
また、初期段階でチームの認識をそろえておくことは、ユーザーが求めているものをクリティカルに作ることにつながるため、開発時の仕様のひっくり返りや手戻りにかかる工数削減、リリース後のピボットを減らすことにも役立ちます。
②事業戦略のズレに早期に気づき、無駄な投資を防ぐことができる
事業を成長させる上で、企業が目指す方向性とユーザーのニーズがズレたり、需要のないプロダクトに投資したりする事態は避けたいものです。UXの視点を組織に浸透させることで、開発が始まってからではなく、事業戦略を立てる段階からユーザー視点でのズレを検証できるようになります。
ここで重要なのは、市場規模や購買データなどの数値だけでは見えてこない、「ユーザーが実際に何を感じ、どう行動するか」という体験レベルの解像度で検証できる点です。
例えば、経営層やビジネス側がデータだけを見て「この市場は伸びていそう」「営業からもこの機能への要望が多いから、ここに大きく投資しよう」と判断したとします。しかし、いざ数千万円かけて開発・リリースしてみると、「実はユーザーは既存の無料ツールで十分に満足していて乗り換えられなかった」「機能は豊富だが、ユーザーの実際の業務フローには合わず、全く使われなかった」といった事態が起こることは珍しくありません。
もし戦略段階でUXの視点を持っていれば、「本当にこの機能にお金をかけるべきか?」「データには出ないが、ユーザーの本当の課題は別のところにあるのでは?」と、実際のユーザー行動、価値観、判断軸、状況などの深いユーザー理解に基づいて問い直すことができます。
このように、データだけでは見抜けないズレに早い段階で気づくことで、不要な開発や無駄な投資を防ぐことができます。本当に価値のある領域にリソースを集中させることで、事業成長へとつながります。
UX視点の組織浸透・内製化を成功させるための4つのポイント
UX視点の組織浸透・内製化を成功させる鍵は、前段にある思想の理解・実践・専門家からのフィードバック・組織全体での実行、という4つの要素を押さえることです。

①手法を取り入れるだけでなく、前段にある思想を理解して使う
UXデザインと言えば、カスタマージャーニーマップやペルソナなどのフレームワークが有名ですが、これらは「ただ取り入れれば成果が出る」というものでもありません。型をなぞるだけでは形骸化してしまったり、手法を実施すること自体が目的化してしまったりするおそれがあります。ペルソナシートの項目を埋めることがゴールになってしまい、「このペルソナは実在するユーザー像を捉えられているか」「本当にこの人物は自社サービスを使うのか」などの検証がされないまま、単なる資料として終わってしまうケースが少なくありません。本来、ペルソナとは企業の思い込みや願望を可視化するためのものではなく、実際のユーザーを可視化・理解するためのものです。「なぜその手法を行うのか」という根本にある目的や、ユーザー視点に立つための思想を体系的に理解した上で使うことが大切です。
②学んだだけで終わらせず、実際に手を動かす
本を読んだり、研修を受けたりするだけでは、実務への転用がなかなか難しいものです。例えば、書籍で「ユーザーインタビューのコツ」を読んで理解したつもりでも、いざ自分で設計をしてみると、「どんな質問をすればユーザーの本音を引き出せるのか」「誘導質問になっていないか」などの細かい点に、初めて頭を悩ませることがあります。これは一見簡単そうに見えるジャーニーマップ、ペルソナでも同じで、埋めるだけなら簡単なものの、「自分の思い込みで書くといかにユーザーからズレてしまうか」などは実際にやってみないと分かりません。
さらに昨今ではAIを活用して自分で悩まないうちに成果物ができてしまい、良し悪しを評価できなくなってしまうこともあります。自社プロダクトや実際の業務に近い題材を扱いながら、ワークショップなどで実際に手を動かしてみることで、実践的な応用力を身につけられます。
③作ったものについて、専門家からのフィードバックをもらう
思想を理解して手を動かしても、自己流では無意識のうちに思い込みや偏った解釈が生じがちです。例えば、ユーザーインタビューの結果を分析する中で、実はユーザーの発言の意図を自分たちに都合よく解釈してしまい、本当のユーザーの課題を見誤っていることに、当事者だけでは気づけないケースなどがあります。専門的な知見を持つ第三者からフィードバックをもらうことで、客観的な視点を取り入れ、理解をより確かなものにできます。
④組織全体で行う
①〜③のポイントを特定のメンバーだけが実施しても、他職種との間に壁が生まれてしまいます。例えば、デザイナーだけがUXの思想やプロセスを理解していても、事業戦略の会議では、営業やビジネスサイドのメンバーが数値のみで判断し、結局ユーザー視点が反映されない、という事態が起こりえます。
このような事態を防ぐためにはPM、営業、ビジネスサイド、エンジニアなどサービスに関わるメンバーに加え、経営層も含めた組織全体で、同じプロセスを踏んで学ぶことが重要です。しかしながら、異なる視点の人がそれぞれの文脈に即して理解する必要があり、なかなか組織全体で共通認識を形成しながら学ぶことは困難です。
UX視点の浸透を支援する『NIJIBOX College』とは
このように、上記ポイント全てを自社だけで完結させるには、いくつかの壁があります。特に③の「作ったものについて、専門家からのフィードバックをもらう」は社内にノウハウがないと実践が滞りがちでしょう。
こうした課題に対し、ニジボックスでは組織へのUX視点の浸透を支援するプログラム『NIJIBOX College』を提供しています。日常的にリサーチや課題分析を実践しているUXのスペシャリストが、お客様の課題感や目指す姿をヒアリングした上で、カリキュラムの内容をカスタマイズしながらご支援します。
以下の記事では『NIJIBOX College』誕生の背景やプログラムの強みについても詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
【事例】千葉銀行様:『NIJIBOX College UX基礎講座』UXプロセスを学ぶワークショップ支援
実際に『NIJIBOX College』を活用し、組織内へのUX視点の浸透に取り組まれた事例をご紹介します。
本プロジェクトは、『ちばぎんアプリ』をはじめとするデジタル領域でのサービスの価値向上において、UX視点の組織浸透と実践的な学習を支援した事例です。
千葉銀行デジタル戦略部のみなさまは、アプリの改善を重ねる中で、ただ業務を委託するだけでなく、ニジボックスの制作チームがどのようなUX視点やプロセスで改善に取り組んでいるかを深く学びたいというご要望をお持ちでした。それらを踏まえ 、UI UX学習プログラム『NIJIBOX College』を提供し、UX5段階モデルに沿った体系的な学習と実践的なワークショップを実施しました。
座学でのインプットにとどまらず、実際のアプリ改善を想定して「自ら手を動かし、ニジボックスのUX専門家から直接フィードバックを受ける」という実践的なプロセスを組み込んだことが特徴です。
結果として、千葉銀行のチーム内でUI UXの基礎概念から役割に対する共通認識が醸成され、今後のプロジェクトにおいて、主観的な好みではなく「ユーザー体験」を軸とした、より本質的な課題設定とスピーディな意思決定が可能となる基盤を構築しました。
プロジェクトの詳しい内容やお客様からいただいた声は、以下の実績紹介ページに掲載しています。併せてご覧ください。
関連ページ:株式会社千葉銀行|実績|ニジボックス
よくある質問
Q. なぜUXの視点をデザイナーだけでなく組織全体に浸透させる必要があるのでしょうか?
A. UXの視点を組織に浸透させることで「ユーザーにとって良い体験かどうか」が、組織全体の共通の判断軸となります。これにより、事業戦略上の認識齟齬に早期に気づき、無駄な投資判断の発生を防ぐことができる大きなメリットがあります。
Q. UX視点の組織浸透・内製化を成功させるためのポイントは何ですか?
A. 成功のためのポイントは以下の4点に整理できます。
- 手法を取り入れるだけでなく前段の思想を理解する。
- 学んだだけで終わらせず実際に手を動かす。
- 専門家からのフィードバックをもらう。
- 特定のメンバーだけでなく組織全体で行う。
Q. UX視点の浸透を支援する『NIJIBOX College』とはどのようなサービスですか?
A. 日常的にリサーチや課題分析、プロダクトの要件定義からデザインまで幅広い領域でUXを実践をしているニジボックスのスペシャリストが、お客様の課題感や目指す姿をヒアリングした上で、カリキュラムをカスタマイズしながら組織へのUX視点浸透を支援するプログラムです。
まとめ
本記事では、UXの視点を組織に浸透させるメリットと、成功ポイントを、千葉銀行様の支援事例と共にご紹介しました。UXの視点を組織に浸透させることで、事業戦略の段階からユーザー視点を取り入れられるだけでなく、チーム内に共通言語が生まれ、合意形成や意思決定のスピードも向上します。
ニジボックスでは、企業ごとの課題や目指す姿に合わせてカリキュラムをカスタマイズできる『NIJIBOX College』を通じて、組織へのUX視点の浸透を実践的にご支援しています。
ご興味をお持ちの方は、以下からお気軽にお問い合わせ・資料ダウンロードください。
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