AIコーディングを成功に導くには?メリットやリスクも解説!

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AIコーディングツールの登場により、開発の現場では効率化への期待が高まっているのではないでしょうか。しかし、その裏側で「開発速度は向上したけれど、将来的な保守性に問題はないか?」「セキュリティ面で問題はないか?」などの不安を抱えている開発責任者やリードエンジニアの方は多いかもしれません。
本記事は、AIコーディング導入のメリットやリスク、AI時代の開発現場で品質と生産性を両立させるための戦略を解説します。AIコーディングの失敗リスクを回避し、事業を成功に導くためのヒントを見つけてください。
目次
AIコーディングとは?
AIコーディングとは、大規模言語モデル(LLM)などを活用し、AIがソフトウェアのソースコード作成を自動化・支援する技術のことです。
開発者が自然言語で指示を出したり、コメントや書きかけのコードを提供したりすると、AIがそれを理解し、必要なコードの自動生成、補完、バグの修正提案などを実行します。開発者は反復作業から解放され、より複雑な開発に集中できるため、生産性向上と開発プロセスの迅速化を実現できます。
AIコーディングがもたらすメリット
AIコーディングが開発にもたらす具体的なメリットは、主に以下の2点が挙げられます。

① 生産性の大幅向上
AIコーディングは、定型処理や規則性のあるコード生成に強く、構文ミスを防ぎつつ開発工数を大幅に削減できます。
既存のLinterやIDEでは「コードの誤りを検知して修正する」のに対し、最初から正しい形式でコードを生成できます。細かい修正の手間が省けるため、開発者はシステム設計などのより本質的な作業に集中できるようになります。
② 新規技術の習得補助
慣れないプログラミング言語や、新しいフレームワークでコードを書く際にも、AIコーディングは有効です。AIが最適なコードパターンや関数を提案してくれるので新しい技術の学習コストを下げ、チームが最新技術を導入する際のハードルを低くしてくれます。
AIコーディングが抱えるリスクと対策

AIコーディングは開発効率化というメリットをもたらしますが、同時に開発責任者として把握しておくべきリスクも存在します。保守工数や法的な問題につながる可能性もあるため、ツールの導入前に戦略的な対策が必要です。
① 著作権・ライセンスリスク
AIの学習データには既存のコードが含まれるため、生成されたコードが、意図せずオープンソースのライセンス違反や著作権侵害を引き起こす可能性があります。特に商用プロダクトにおいては、法務リスクを招かないよう、生成コードの出どころとライセンス規約に厳重な注意が必要です。
② 高度な設計や創造的思考への限界
AIは学習した既存の情報からコードを生成するため、システムインテグレーション的なアプローチや、市場にない新しい仕組み(創造的思考)を生み出すことには限界があります。大規模なシステム開発や新規事業の立ち上げにおいては、人間による専門的な判断も必須と言えるでしょう。
③ ブラックボックス化、技術的負債
AIが生成するコードは、動作原理が不明瞭なブラックボックスになることがあります。一見正しく動作しても、将来の改修コストを増大させる技術的負債となりかねません。特にモダンフロントエンド開発においては、保守性の低いコードは長期運用の大きな妨げとなります。
④ セキュリティリスクと古いコードの混入
AIがコードを生成する際、学習データに含まれる古いライブラリや、既知の脆弱性(ぜいじゃくせい)を持つ書き方を提案することがあり、開発者の意図しないところでシステムにセキュリティリスクを抱える可能性があります。このリスクを最小限に抑えるには、AIが生成したコードに対してセキュリティチェックを実施し、使用するライブラリのバージョン管理を徹底することが不可欠です。
リスクへの対策
上記のリスクに対処し、恩恵を最大限に享受するには、「人間」と「技術」の両面からの適切なガイドが必要です。
専門家(人間)による厳格なレビュー体制
AIの生成コードを最終的に承認し、品質を保証するのは人間です。専門家が品質を担保するため厳格にレビューすることで、AIの生成したコードの著作権リスク、セキュリティリスクの軽減や技術的負債を生まないようにコントロールできます。
具体的な対策としては以下が挙げられます。
- 設計思想の誤りや、セキュリティ脆弱性(ぜいじゃくせい)、古いライブラリの混入を検知する
- 著作権・ライセンスのガイドラインに基づき、生成コードを最終承認する
- コーディングガイドライン、コンポーネント設計方針、テスト戦略、エラーハンドリングなどの適切なルールに沿ったコード生成を促す
技術的な品質担保の仕組み
人間によるレビューの負荷を減らし、自動化された仕組みを活用することで、効率よく品質を担保できます。技術面では以下のような対策が挙げられます。
- モダンフロントエンド技術(コンポーネント指向、型システムなど)を採用し、技術的負債の発生を構造的に防ぐ
- Linter、Formatterといったツールを導入し、AI生成コードを一貫した品質に自動で統一する
AIコーディングを成功に導く「前後」の戦略
AIコーディングの成功は、コードを生成する段階だけではなく、その「前」と「後」の工程が非常に大切です。この前後の戦略こそが、事業の成果に影響しているとも言えるでしょう。
コード生成前:デザイン設計でAIコーディングの方向性を定める
AIコーディングの能力を最大限に引き出し、質の高いアウトプットを得るには、コード生成の前段階でデザイン設計や方向性を定めることが大切です。
AIは設計の意図や背景を完全に理解しているわけではないため、質の高いコードを得るには、事前にUX(ユーザー体験)の観点から快適に感じる設計ルールを定義することが重要です。この定義が不十分だと、AIがコードを生成した際に「動作はするものの、ユーザーにとって使いにくい画面」を提案する可能性があります。
具体的な対策として、AIでコードを書く前にデザインシステムを構築することや、UXの専門家と一緒にデザイン原則の定義を行うことが、AIコーディングの方向性を定め、UX品質を高める上で非常に有効です。
コード生成後:検証で失敗リスクやコストを減らす
AIコーディングの導入は、コードを生成して終わりではありません。その成果を事業の成功につなげるためには、検証とフィードバックのサイクルが必要です。このサイクルは、AI導入における失敗リスクや余計なコストを最小限に抑える上で非常に重要です。特にPoC(概念実証)やMVP(実用最小限の製品)のフェーズでは、AIコーディングの迅速性という特長を生かし、このサイクルを効率的に回すことができます。
PoC(概念実証)
PoC(Proof of Concept、概念実証)の段階では、特定の技術的な課題や実現可能性を迅速に検証します。AIコーディングのスピードを最大限に生かすことで、技術的な実現性を素早く確認することができます。これにより、本格導入前の段階でプログラムの適合性や限界を見極め、失敗に伴うコストを最小限に抑えることが期待できます。
MVP(実用最小限の製品)
MVP(Minimum Viable Product、実用最小限の製品)は、市場での仮説検証を目的としたプロダクトですが、AIを活用すれば検証サイクルをさらに高速に実施できることでしょう。
しかし、前述したように、AIが生成した初期コードは「動くけれども、プロダクション環境で求められる品質ではない」ことが想定されます。MVP以降の本格的な市場投入フェーズでは、品質担保、厳密なセキュリティチェック、ロジックエラーの修正が必須となり、専門家(人間)によるレビューやリファクタリングが特に重要です。
■関連記事
MVPについては以下の記事で詳しく解説しています。気になった方はチェックしてみてください。
まとめ
本記事では、AIコーディングのメリットとリスク、成功に導くためのコード生成「前後」の戦略について解説しました。
AIは強力なツールですが、事業成功の可否に直結するような最終品質を担保するには、戦略に基づく設計とエンジニアの適切な判断が不可欠です。AIコーディングを効果的に取り入れ、開発生産性を高める持続的な力に変えていきましょう。
AI時代の開発戦略を支えるパートナー
AI時代の開発において、品質と効率を両立させる戦略立案から、技術的負債の解消、UXデザインの品質担保まで、そのすべてを自社だけでカバーするのはとてもハードルが高く感じてしまうかもしれません。
ニジボックスは、リクルートグループの新規事業伴走ノウハウと、その品質基準に応える開発知見を背景に、モダンフロントエンド開発とUI UXデザインに注力してきました。
ニジボックスが提供する核となる価値は、以下の3点です。
- UXデザインと戦略策定:事業成果に直結するデザイン指針を確立し、AI生成のコードに一貫性を与えます
- 長期的なモダン開発:技術的負債のリスクを排除し、保守性の高いプロダクト品質を維持します
- MVP/PoCを通じた検証:最小コストで市場適合性を確認し、成果につながる実装を支援します
AIの利活用においても最新のAI動向に基づいた導入検証や実際の事業への活用を継続的に実施しております。貴社の導入状況にフィットしたAI活用戦略の提案から、品質を担保可能な実装まで、一貫してお手伝いいたします。
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監修者
丸山 潤
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
吉川 聡史
2011年11月にイラストレーターとしてニジボックスに入社し、クリエイティブ領域を中心にアニメーター、デザイナーなど幅広く担当。その後ディレクションに職域を広げていき、Webディレクターや映像ディレクターなどを経て、リクルートの新規事業の伴走や大規模案件においてのマネジメントなど複数経験し今に至る。 前職は漫画家。最新の技術(ツール)を用いた、AI×UXのあり方について技術検証を行い、それらの取り組みをXやnoteを使って発信。


