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『プロダクトの価値を向上させるデザイン組織とは? 〜デザインの力が組織とビジネスを最大化する〜』

公開日 2021.11.2
更新日 2022.6.1
『プロダクトの価値を向上させるデザイン組織とは? 〜デザインの力が組織とビジネスを最大化する〜』

ニジボックス主催のイベント「BUSINESS & CREATIVE」では、毎回ビジネスとクリエイティブに関する現場発・最前線の情報を発信しています。
今回のイベントテーマは「プロダクトの価値を向上させるデザイン組織とは?」
デザイン思考のアプローチでビジネスに臨むことが重視されている中、その根幹である「デザイン組織」の構築にも注目が集まっています。
実際にデザイン組織を推進するリクルートグループの3名にパネリストとして登壇していただき、知見の共有とディスカッションが繰り広げられました。

「デザイン」「人材」「組織」に携わっている方、このテーマに興味のある方必見です!

目次

パネルディスカッション形式で「デザイン組織」を深掘り討論!

オープニングセッションは今回モデレーターを務める古川央士さんの自己紹介と、パネリスト紹介からイベントがスタートしました。

≪モデレーター≫
business_creative
≪パネリスト≫
business_creative8パネリスト

デザイン組織に関する3つのテーマ

今回はテーマごとに、冒頭で各パネリストからプレゼンテーションを行い、その後ディスカッション形式で理解を深めました。

  1. リクルートのデザイン組織の人材についての考え方
  2. 成長し続けるデザイン組織の作り方
  3. データドリブンでアジャイルな組織

テーマ1. リクルートのデザイン組織の人材についての考え方 / 株式会社リクルート 磯貝直紀

事業の目的に介入するデザイン組織

磯貝氏が起ち上げたデザインマネジメント部は、与えられたデザイン業務だけではなく「事業の目的に介入するデザイン組織」です。
「デザインマネジメント部では、目的へ介入するデザイン組織を体現すべく『動かすデザイン』というフィロソフィーを掲げています。デザインの与件という『枠』自体を自分たちで広げたり、一から作り上げたりと、目的から手段をセットにしたデザインを推進しています。」(磯貝氏)

2つの不確実性に対応できる人材を重要視

不確実性に対応できる人材

「動かすデザイン」を推進するために磯貝氏が重要視しているスキルセットは、「業務不確実性への対応」と「デザイン不確実性への対応」とのこと。前者は問題提起と解決策の検討・推進ができる、つまり目的を定義する力です。後者は目的を実現する手段としてのデザインを作る力を指します。
「この2つを兼ね備えていることが理想ですが、組織として多様性を保持すれば様々な事象への対応が可能になると考えています。」(磯貝氏)

多様なキャリアを許容する組織

デザインマネジメント部は、向き・不向きや志向性を踏まえて、各人の目指すキャリアがどんな方向性であっても許容する組織。その結果、スペシャリスト型、ジェネラリスト型、バランス型と組織内に多様性が生まれています。
「色んなバランスのスキルセットを持つ人材を内包し、触発し合う組織を目指しています。」(磯貝氏)

「枠を超えて活躍できる人材」をどのように採用しているのか

--「不確実性に対応できる人材」は採用難易度が高いのでは?どのように採用に取り組んでいるのでしょうか?

磯貝「難易度は非常に高いです。効果的な採用を完璧にできているわけではありませんが、応募してくださる方の『主体性の高さ』を見るようにしています。先ほど説明した『業務不確実性への対応』と『デザイン不確実性への対応』両方の考え方を持っている人は、圧倒的に主体性が高い。例えば受託制作会社にいても、事業会社に対して目的の介入を試みる、そんなスタンスの人を軸に選考しています。」

--主体性が高いスタンスの方は、どのような前職の方が多いのでしょうか?

磯貝「事業会社、受託制作会社半々です。前職がどうであれ、その人の強みがハマる適材適所に配置するので、『こんな経歴の人がリクルートでは活躍しやすい』といった型があるわけではないと思います。」

齊藤「前職の違いによって、活躍の仕方の傾向に違いはあるのでしょうか?」

磯貝「制作会社出身の方は相対的に作る能力が高くて、事業会社出身の方は目的設定や業務を推進する力に秀でている傾向はあります。ただ、それはあくまで経験の差で、その人が本来持つ資質によるところが大きいのではないでしょうか。あまり出自は関係なく、ポテンシャルを見ながら採用・育成をしています。」

齊藤「面接の受け答えで『こんな質問にこう答える人はこんなポテンシャルがある』のような傾向はありますか?」

磯貝「『なぜ●●ですか?』と理由を尋ねる質問に対して答えがきちんと返ってくる人は、目的設計ができる人だと認識しています。制作会社出身で、履歴書やポートフォリオなどから目的設計する能力が見て取れなかった方でも、面接でポテンシャルを感じられる方はいます。」

落合「それは重要だと私も思います。例えば『なぜこの位置にこの画像を置いているんですか?』といった問いかけに対して明確に答えてくれるデザイナーだと、すごく気持ちよく一緒に仕事ができますよね。」

人材に対して必要なキャリア・スキルの支援

--スペシャリスト、ジェネラリストなどキャリアの方向性に関するお話がありましたが、そこへの支援は何かありますか?

磯貝「そもそもリクルートがボトムアップな社風なので、個々人に対して『あなたは何をしたいの?』と問いかけた上で、志向性に合った業務をアサインしています。そういう意味では、上長が高頻度に面談を実施するなど、キャリア形成のサポートを日常的に行っていると考えています。リクルートの中に幅広い業務があるので、どんな志向性でもそれに合った業務にアサインできるからこそできる支援ですね。」

落合「スペシャリストを志向したとき、常に勉強が必要だと思います。そこへのサポートはあるのでしょうか?」

磯貝「領域横断でのナレッジシェアを月次で開催しています。そこで他領域のナレッジを吸い上げ、ベースアップできる機会を組織として提供していると思います。あとは、先ほどの話でもあったように個人の志向性に合わせて仕事を振るので、OJTで経験を積みながらキャリアの方向性を尖らせていけます。」

個人の志向性と強みをベースに、領域は「越境」していい

--デザイナーとして採用したとしても、目的の設計ができる人であれば、企画などより上流に染み出すといった事例はあるのでしょうか?

磯貝「その人の強みをベースに業務配置するので、志向性と能力があればデザインの枠を越えてプランナーやプロジェクトマネージャーの業務を兼任することはあります。あくまで採用段階ではどこからスタートするかというだけで、その人のコアな部分は持ちつつ越境していくことで組織全体として良いプロダクトを作る、リクルートにはそんな文化があります。」

--越境が増えることで、個人に対する評価が難しくなるのではないでしょうか?

磯貝「組織(デザインマネジメント部)起ち上げ当初は、デザインディレクターの定義や役割が曖昧でした。しかし、現在はデザインディレクター用の評価軸も確立できています。定量ではなく定性の評価軸が多いですが、ある程度リクルート内の他職種と同じような評価体系を作ることができたと考えています。」

テーマ2. 成長し続けるデザイン組織の作り方 / 株式会社ニジボックス 齊藤光一

ニジボックス 齊藤光一
仕事を推進する基礎力に様々な専門的スキルが実装されているイメージ

過去、デザイン組織構築の際に抱えた問題

現在ニジボックスには60名以上のデザイナーが在籍。メンバーの企画・発案による勉強会などが頻繁に開かれています。
今でこそボトムアップで成長し続けるデザイン組織を形作っていますが、以前はネガティブなスタンスのメンバーが多い、若手が育たないなど多くの問題を抱えていたそうです。
「デザイナーが他職種と協業できないから活躍できない、活躍できないから退職、人が定着しないから組織が成長しないという悪循環に陥ってしまいました。組織の本質は人なので、どういった人材を採用・育成すれば良いのかを考える日々でした。」(齊藤氏)

「スキル」よりも「仕事を推進する基盤」を重視した採用へ

以前は、即戦力欲しさに現在保有しているスキル・実績を最優先として採用していたニジボックス。しかし、コミュニケーションによる調整力など「仕事を推進する基盤」を重視した採用に切り替え、育成の中でスキルを身に着けさせるようにしたそうです。
「スキルがあっても、他者と協業する能力やスタンスが無いと、うまく機能しません。基盤となるデバイス/OSに、必要に応じてアプリケーションを追加・アップデートしていくスマートフォンに似ていますね。」(齊藤氏)

「個」の高まりが「組織の文化」へと波及

採用方針を変えたことで、はじめは育成コストが増えるなど現場から不満の声もあったそうです。しかし、数年かけてメンバーが育つにつれ、仕事を推進する基盤の上に様々なスキルが乗った人材が増え、クライアントからの評価も高まってきたとのこと。
「あるときから、メンバー個々の業務推進力が組織の文化へ波及するのを実感しました。結果、人の定着率が上がり、組織も拡大、当初は内製できなかった案件も社内で賄えるようになりました。」(齊藤氏)

多少スキルが不足していてもクライアントの満足度が高くなる理由

--どんなにいいアプリを積んでいても、他の人と共有できるOSが微妙だと上手く動かないという例えにはグサリときました。

齊藤「作って納品するだけの案件ならOSが微妙でもいいかもしれませんが、プロダクトをビジネスとしてグロースさせるとなると難しくなってきますね。」

--「実務としてのスキルが少し物足りなくても、基盤となるコミュニケーション力はある人」を重視すると踏み切ったとき、社内やクライアントから不安視されることもあったと思いますが、それをどのように乗り越えていったのでしょうか?

齊藤「最初は『もっとスキルのある人が欲しい』という声はあります。ただ、一緒に案件を進める中でコミュニケーションをしっかり取りながら進められるデザイナーだと、結果的に満足度が高くなります。アウトプットに対する不足感は、スキルの高いフリーランスの方に伴走してもらうことでギャップを埋めていきました。」

落合「採用の基準を変えることで、過渡期においては泥臭くなることが分かっていても『決断したこと』がすごかったと思います。」

齊藤「上司の執行役員からも、『やってみたら?』と言ってもらえたので、不安はありましたがやり切ることができました。組織を作るのは難しいことですが、やはり人と人なので、他職種の人と協業すること、同職種の人と高め合うことを大切にしてきました。

--採用の基準を切り替えた後に入社された方がアサインされる業務はどのようなものが多いのでしょうか?受託制作がメインだったのでしょうか?

齊藤「そうとも限らないですね。逆にリクルートの中に入って(※)、同じ目標に向かって参画していく方が向いていると思います。受託制作の場合、クライアントとデザイナーの間に営業やディレクターが入って調整の部分を担保します。しかし、ひとつの事業にコミットする場合は、その調整の部分もデザイナー自身がやらなければならない。特に『なぜ?』を求められるリクルートの案件ではそれが顕著になりますね。」

(※)ニジボックスは、リクルートの事業開発やプロダクトリニューアルに対してプロジェクトメンバーとして参画し、価値提供することも多い

--基盤の上に各人が乗せていくスキルに関して、支援はどのようにされていますか?

齊藤「ニジボックスもリクルートグループなので似ている部分が多くて、手を上げたらやらせる社風ですね。自分から越境しようとすれば、仕事の現場で新しいスキルを得るチャンスが生まれます。例えばデザイナーとしてリクルートの事業に参加した後プランナー業務をやっている人もいますし、フロントエンジニアとして参加した後、デザイナーとしての知見も得て業務に活かしている人もいます。」

「個」の良い部分が組織全体へと波及したキーファクター

磯貝「業務推進力という基盤を持つ『個』の良い部分が組織全体に伝播したというお話でしたが、そのキーファクターはあったのでしょうか?」

齊藤「制作しておしまいではなく、チームとして伴走する案件が増えたときに、『自分はニジボックスのデザイナーだけど、周りにニジボックスの人がいない』状況が増えたのです。その中で、単純に『さみしいからニジボックスのメンバー同士で集まりたい』となったのが始まりかもしれませんね。そのあたりからイベントをやりたいといった声も挙がるようになりました。リモート化によってイベントの開催もしやすくなったので、その動きがさらに加速したのもあるように思います。」

落合「スタンス採用にしたことで組織が大きくなり余力が生まれたことで、改めてめちゃくちゃ尖ったスペシャリストを採用したくなりませんか?」

齊藤「しますね(笑)。組織として基盤が構築できたので、その上に様々なスキルを持った人が乗っかっても機能するはずなので、尖ったスペシャリストもどんどん歓迎したいと思います。」

テーマ3. データドリブンでアジャイルな組織 / Indeed Japan株式会社 落合徹

インディード落合徹

インディードが考えるデータドリブン

インディードの組織のあり方を語る上で欠かせないのが、データドリブンについての考え方です。
そこで例として出されたのが、「ユーザーの慣れを考慮したABテスト」でした。
これは、プロダクトの大胆な変更に対して既存ユーザーが示す拒否反応を織り込むことで、より正しいデータを取得するための手法です。
ユーザーの慣れを考慮したABテスト
上図のv1は現在のバージョン、v2は変更を加えたバージョンです。
最初は新規ユーザーのみにv1、v2両方を表示させ、その反応から細かい改善を繰り返します。(v2.1、v2.2…)
その結果、例えばv2.2まで改善したことでv1よりも良い反応となったら、基本的にはv2.2で本公開とします。
新規ユーザーから好反応が得られたバージョンなら、既存ユーザーも最初は拒否反応を示すものの、次第に慣れてくることで満足度が高くなるだろうと判断をするのです。

「アジャイルなチーム」ではなく、「アジャイルな組織」

先に挙がったABテスト手法において、v2からv2.1へ、v2.1からv2.2へと改善するのにそれぞれ1ヵ月かかっているようでは、果てしなく時間がかかってしまいます。そこで、いかに素早く、アジャイルにテストを進められる「組織」を構築できるかが重要になってきます。
一般的なアジャイル開発は、要件が決まる→デザインする→必要に応じて要件やデザインを確認しながらアジャイルに開発、という流れですが、これは「開発チーム」がアジャイルなだけで、「組織」としてはアジャイルではない、と落合氏は語ります。
インディードでは、要件の段階から各所を巻き込み、下図のような流れで開発を進めています。
インディードのアジャイル開発

「スモールチーム」でアジャイルに開発するインディード

このように多くのロールを巻き込んだ開発を可能にしているのが、インディードが重視するチーム単位「スモールチーム」とのこと。
チームにプロダクトマネージャー、エンジニア、QA、UXを担当するメンバーを内包し、6~10数名くらいの人数でひとつのプロダクトを担当し、権限を一任しています。
「いわばミニスタートアップのようなもので、自分たちのチームで全てをコントロールできる環境です。チームメンバー各人がオーナーシップを持つようになり、またメンバー同士の距離が近いので素早いフィードバックと反復が可能になる、そんな組織です。」(落合氏)

アジャイルな組織を作るために必要なファクターとは

--インディードのような、組織としてのアジャイル開発は理想だと思いますが、それができない会社も多そうです。何がボトルネックなのでしょうか?

落合「磯貝さん、齊藤さんの話でも出てきた『違う領域に染み出すタイプの人材』を集めないと成り立たないと思います。あとは、プロダクトマネージャーがチームメンバーからのフィードバックを素直に受け止めてくれて、なんでも言い合えるカルチャーや空気感のようなものも重要です。」

--そのカルチャーはすごく大事ですけど、難しいですよね。最初は、それぞれの役割意識によって遠慮してしまうように思います。

落合「実はインディードも、初めからそんなカルチャーが根付いていたわけではありませんでした。あるとき、会社から『シフトレフト』の号令が下りてきたんです。これは、なるべく早い段階(時間軸のレフト=左側)から多くのロールを巻き込むことで、各人のスペシャリティを活かしてほしいということです。そこから、自分の専門領域以外のことにもどんどん口を出していく雰囲気が広まっていったように感じます。」

--一方でプロジェクトマネージャー側は、各メンバーの実務が忙しい中で要件定義のための会議を設定するのを遠慮してしまうこともありそうですね。

落合「そんなに気にならないと思います。また、もともとスモールチームでメンバー内の距離も近いし、コロナ前は席の配置もチームごとだったので、すぐに声をかけて集まることができました。リモート下になっても、Zoomなどで同じようにやっています。」

--アジャイルに業務を進めるための基盤はどんなものがありますか?
落合「インディードは設立当初からそこを重要視していて、ABテストに対する基盤も全て内製していました。ユーザーの行動ログを全てインデックスして分析できる基盤を自社で用意しています。全社を横断してインフラなどの様々な基盤を整える専門チームもあります。」

スモールチームに起こりがちな問題と解決方法

磯貝「UXやデザインに関して、個別のチームには入らず全体を俯瞰して見ることで、会社としての一貫性を担保する人はいますか?」

落合「スモールチームと別で職種ごとの組織もあるので、そこでのレビューでナレッジシェアはされています。あとは、インディード全体で使うデザインシステムの開発もしていて、その中に基本的なルールが組み込まれています。デザイナーはデザインシステムの枠の範囲内でクリエイティブを発揮するので、全体としてのトンマナなどは担保されています。

齊藤「小さい単位でのチームがたくさんあると、上手くいっているチーム・そうでないチームの差が出ることもあると思います。成果によってヒエラルキーのようなものが生まれることはないのでしょうか?」

落合「チーム単位で成果が出ないことはありますが、一つひとつが小さなスタートアップのイメージなので、経営層も『当然失敗することもある』と織り込み済みです。失敗から学んで次に進んでいけるならプラス、とされるので、ヒエラルキーが生まれるようなことはないですね。」

全体質疑

ディスカッションを終えた後は、視聴者からの質疑にパネリストが答えてくれました。
様々な質疑が集まった中、特に多くの方から興味を集めた内容をピックアップして紹介します。

Q.デザイン組織設計の留意点や、期待効果を上層部に伝える際のポイントは?

磯貝「組織設計する際は、社内受託っぽくならないよう目的に介入できる組織を目指すことが重要です。そのために、デザイナーを事業側組織と兼務させ、事業の当事者としてのコミットメントを高めます。期待効果の観点では、リクルート社内のデザインガバナンスなど過去の経緯をまとめて、『直近では積極的に推進されていないので、改めて注力すべきタイミングなのでは?』と上司を説得しました。」

Q.従業員にデザイン思考を持たせるのではなく、あえてデザイン専門の別組織を立てる必要がある?

落合「事業会社にいる人は、その事業について一番詳しいはずで、デザインが自社に合っているかの判断は下せるでしょう。ただ、デザインの良し悪しの判断はある程度の専門性が必要なので、それを持つ人材が事業会社内にいないと、本当の意味で良いプロダクトはできないと思います。」

Q.事業部内ではなく社長直下や異なる組織にデザイン組織を設計する方が良い?

齊藤「あまりにも会社の業績とかけ離れた位置からやると、社内受託のようになってしまいがちかもしれません。また、現場のデザイン意識を高めるためにも、権威がある場所の近くに位置していると良いのでは。」

Q.企業内取引としてのコンサル費が高すぎる場合、外注費と比較されてしまうのでは?

磯貝「単純に事業側から価値を認められていないということかもしれません。アウトプットだけではなく、コミュニケーションの部分など総体としての価値提供を考えるといいのではないでしょうか。」

落合「同じ企業内にいて目線が揃っているという前提があるからこそ、単純な金額だけを見ると高いかもしれないけど、コミュニケーションコストも含め総合的に考えるとお得ですよ、と主張できると思います。」

Q.今いる若いメンバーの仕事力向上にはどのような体験やフィードバックが必要?

齊藤「一番は、経験があってうまく業務を推進できる師匠的な人がいて、その人のコミュニケーションの取り方を見て学ぶこと。案件にアサインする際も、若手をひとりでポンと出すのではなく、リーダーとセットで経験を積ませることが必要でしょう。」

磯貝「1on1を頻繁にやる文化がリクルートにはあります。強制的に接点を持つことになるので、常日頃からフィードバックをしていて、それが成長に繋がっていると思います。」

落合「リモート時代におけるテクニックとして、15分程度の短い時間でいいので毎日決まった時間に1on1のための時間を設定すると良いです。」

Q.デザインスキルやABテストの精度を高めるために横断的に工夫していることは?

齊藤「ニジボックスでは小さい単位で自発的に勉強会が開かれていて、他職種の勉強会にも気軽に参加できる雰囲気です。そのようなボトムアップの文化ができると、各人のスキルも向上します。」

磯貝「各領域のナレッジを横展開する文化があります。また、ABテストのナレッジシェアデータベースもあるので、一事象がすぐに横展開される体制が整っています。」

落合「インディードも同じようにナレッジシェアのツールが揃っているので、横のつながりが自然発生しやすいですね。」

Q.スモールチームで早いサイクルを回すコツは?

落合「開発者目線では、小さく分割して開発するのがコツです。会社全体としては仕組み化するのがコツで、ツールをより効率的に使えるよう、整備や自動化させるための専門部隊を設けています。」

Q.バグや調査、緊急対応をする専門のやっつけ部隊はある?

落合「基本的には各チームで対応します。DFR(Development First Responder=何か問題が上がった時、それを見て反応する人)を当番制で決めているので、スピード感持って対応できます。また、24時間対応できるよう、別途システム監視部隊もいます。」

総括

最後は、パネリスト3人がイベントの振り返りコメントを持って総括となりました。

磯貝「同じリクルートグループ内でもそれぞれ違ったところなども知れて、いい機会となりました。ありがとうございました!」

齊藤「根本的な、仕事をする感覚のようなところは共通するところもたくさんあり、勉強になりました。ありがとうございました!」

落合「普段は開発者として業務に当たっているので組織のことを考えることも少ないのですが、このイベントをきっかけに、自分の組織のことについて深く考えられて良かったです。ありがとうございました!」

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