デザインスプリントの実践方法とは?ワークショップ形式で学ぶ、ニジボックス式価値創造型スプリント③
この記事では、ニジボックスのユーザーリサーチとビジネスモデル構築のノウハウを活かした、「ニーズの確度が高く」「実現性の高いサービス価値を創造できる」ニジボックスオリジナル版のデザインスプリントを、全3回のシリーズでご紹介しています。
今回はいよいよ最終回!
固まったアイデアを「プロトタイプ」として型に起こし、ユーザーに対して「テスト」を実施して、コンセプトの検証を行います。
目次
【Step4】プロトタイプ
1.目的
ストーリーをつくる
コンセプトが決まったら、ストーリーを考えましょう。
ストーリーとは、ユーザーがそのサービスやプロダクトを通して経験する一連の体験を意味します。
実際にストーリーを考えてみることで、コンセプトがユーザーの行動実態と合わない場合もあるかと思います。
そのような時は何度でもステップを戻して、理想の体験を考え直してみましょう。
2.事前準備
ワーク開始前に、次のものをご準備ください。
- 【Step3】で作成したコンセプトシート、その他備品
- ストーリーボード(A3の白紙でも可)
ご参考までに、弊社のストーリーボードはこのようなテンプレートを作成・使用しています。
案件によって、コマ数などは調整してください。
3.ワーク内容
ストーリーデザイン
いよいよ、ユーザーテストの準備を始めます。
ユーザーテストとは、実際の想定ユーザーにコンセプトやプロトタイプに共感してもらえるかどうか、または課題がないかどうかを調査することです。
ユーザーテストの手段としては、一般的に一連の体験を描いたストーリーボードや、アプリやWebサイトのプロトタイプ等を利用します。
今回は、簡易的に作成できるストーリーボードの作り方をご紹介します。
①コンセプトを見直す
ここからは、採用したコンセプトの種類ごとにチームに分かれてワークを実施しましょう。
弊社では3チームに分かれて実施していますが、人数が少ない場合は1チームでも構いません。
アイデアの発案者や経験者の話を聞きながら、改めてコンセプトに磨きをかけましょう。
次の内容を、一度みなさまで確認してみてください。
- アイデア発案に至るまでの体験、思考プロセス
- 【方法】UXを決定づける、必要最小限の機能となっているか
- 【誰】具体的なペルソナを想定できているか
- 【利点】より共感できる価値(表現)となっているか
- 【ラベル】アプリの内容がわかる名前をつける
②UI・機能をさがす
コンセプトの完成度を高めることができたら、他社のプロダクトやサービスと比較し、ビジュアルイメージや機能の精度をあげていきましょう。
UXの成功パターンを見つけ出し、ユーザーに共感が得られそうなUIや機能を設計することがこのワークの目的です。
そのためには、UXにおける「同質」「異質」の2つの観点から、他社のサービスやプロダクトをデスクリサーチしてみてください。
「同質」の観点では、全く同じ具体的テーマの類似機能やデザインを参考にします。
例えば、マラソンのメニュー表を作りたい場合、ランニングアプリのスコアグラフを参考にします。
「異質」の観点では、全く異なるテーマの機能やデザインを参考にします。
例えば、マラソンのメニュー表を作りたい場合、料理のレシピメニューを参考にします。
時間が確保できない場合、このステップは省略しても構いません。
実際のプロトタイプ制作時に精度をあげていきましょう。
②ストーリーボードをつくる
キーとなる体験のストーリーが一目見て誰にでも伝わるように、ストーリーボードを描きましょう。
弊社では、清書はデザイナーが担当していますが、成果物として納品する必要がないのであれば、絵のクオリティが高い必要はありません。
絵に自信のない人も、思いのまま描いてみましょう。
まず、6コマで表現して大筋の流れを考え、パネルリストをつくります。
そのあと、それぞれのパネルごとのスケッチを描き、その下に説明文を書きましょう。
誰が、どんな場面で、どのような行動をとり、どのような感情になったのかが読み手に伝わるとよいでしょう。
最初はポストイットにイメージを描き起こし、イメージが固まった後にストーリーボードに清書してもよいです。
【Step5】テスト
1.目的
ユーザーに対しコンセプト検証をする
ストーリーボードをつかって、ユーザーテストを行います。
ユーザーテストは、インタビューやアンケートなど様々な種類がありますが、今回はアンケートで定量的な評価を得る方法をご紹介します。
インタビューの実施ではない場合、このステップに限ってはワークショップスタイルで進行する必要はありません。
2.事前準備
ワーク開始前に、次のものをご準備ください。
・【Step4】で作成したストーリーボード、その他備品
3.ワーク内容
ユーザーテスト
①モニターを集める
まずは想定ターゲットとなるモニターを集めましょう。
実際のスプリントでは予算が限られていたので、社内や関係者の中から協力者を募ってユーザーテストを行いました。
③アンケートをつくる
アンケートの収集は紙などオフラインで行うこともありますが、オンラインであれば時間や場所を問わずできるため便利でしょう。
実際のスプリントでは、Googleフォームを利用しフォームを作成しました。
フォームに数種類のストーリーボードを画像として挿入し、モニターにそれぞれ点数をつけていただき、合わせて理由を回答いただけるようにするとよいでしょう。
④アンケートを配信する
期限を決めてモニターへアンケートを配信しましょう。
回答理由をもっと深くヒアリングしたい場合、直接モニターへの追加インタビューを実施してもよいでしょう。
⑤結果を分析する
アンケートを回収できたら、どのストーリーボードが一番高得点だったのか、またはどのような理由が多かったのか確認しましょう。
サンプル数が少ない場合は、定量的に評価するよりは定性的に判断することをお勧めします。
最終的には、この結果をもとに決裁者の判断に従って、どのコンセプトを採用するのかを決定します。
どのコンセプトも評価が低かった場合は、原因を分析しステップを戻して、コンセプトを見直してみるとよいでしょう。
おわりに
これまで3回のシリーズにわたって、ニジボックスの5ステップデザインスプリントの実践方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
方法論は理解できても、実践するのは難しいものですよね。
より詳細な方法や、異なる実践方法などを教えて欲しい!と思っていただいた方は、ぜひニジボックスにご相談ください。
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元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
X:@junmaruuuuu
note:junmaru228