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RFPとは?作成するメリットや書き方の手順、ポイントを解説

公開日 2024.7.26
RFPとは?作成するメリットや書き方の手順、ポイントを解説

ニジボックスの案件事例をご紹介!


RFP(提案依頼書)は、システムの開発や導入において発注者と開発会社の認識のズレを解消するために作成する文書です。発注者がRFPによって、自社が解決したい課題や要望などを明確にすることで、スムーズな開発につなげていけるでしょう。

この記事では、RFPを作成するメリットや書き方の手順、ポイントなどを詳しく解説します。

RFPとは

RFP(Request for Proposal)とは、「提案依頼書」のことです。システム開発などを業務委託する際に、発注者から提案してもらう開発会社に対して作成する文書であり、自社のシステムの要件や解決したい課題を明らかにするために提示します。

システム開発や導入のシーンで用いられるものであり、発注者が開発会社からの提案を受ける前に提示するのが一般的です。

RFPを作成する目的

RFPを作成することで、発注者は自社の要望や解決したい課題などをきちんと伝えられるので、開発会社から適切な提案を受けやすくなります。

また、実際にプロジェクトを進める際にRFPを作成しておくことで、発注者と開発会社の考えの擦り合わせが行いやすくなり、実際にプロジェクトを進める際に認識のズレが生じるのを防げます。

RFPとRFIの違い

RFPと似ている言葉に、RFI(Request for Information)があります。RFIは情報要求書や情報提供依頼書などと呼ばれています。

こちらは開発会社に対し、企業情報や製品情報、提供可能なサービスの情報などの提示を依頼するための書類です。ただし、企業情報や製品情報などは開発会社のWebサイトから得られる場合もあるため、RFIの作成を省略するケースもあります。

RFIによって依頼する候補となる会社の下調べを行い、開発会社から提案を受ける前にRFPを提示することで、最終的な依頼先を選んでいく流れとなります。

RFPを作成する4つのメリット

RFPを作成することで、発注者は多くのメリットが得られます。具体的には、次のような点が挙げられるでしょう。

・要望をきちんと伝えられる
・トラブルの防止につながる
・複数の企業の提案を比較できる
・自社の現状を把握するのに役立つ


それぞれのメリットについて解説します。

要望をきちんと伝えられる

RFPを作成すれば、発注者の要望をまとめることができ、開発会社に漏れなく伝えられます。要件や要望をきちんと伝えることで、開発会社から適切な提案を受けられるでしょう。

また、RFPの形でまとめておけば、自社の要求をその都度説明するといった手間を省けるので、依頼先の選定をスムーズに行えます。

トラブルの防止につながる

書類としてきちんと残しておくことで、コミュニケーション不足による無用なトラブルの発生を防げます。プロジェクトに関する情報や要望を明文化しておけば、予算やスケジュールなどの部分で認識のズレが起こるのを防げるでしょう。

口約束でお互いが理解をしたつもりになっていても、プロジェクトを進める上で認識のズレが起こることもあります。

最悪の場合、システムの開発に遅れが生じて、予定していたタイミングでシステムが使えないといった問題も起こる可能性があるので、口頭で済ますのではなく文書で認識をそろえながら進めていくことが必要です。

複数の企業の提案を比較できる

RFPを作成しておけば、複数の企業から提案を受けても、同じ要件についての提案となるので、比較・検討する際に迷わなくて済みます。RFPという評価基準を設けておくことで、各社の提案を比較しやすくなるでしょう。

自社にとって、最適な提案内容を選びやすくなるというメリットがあります。

自社の現状を把握するのに役立つ

RFPの作成を通じて、自社の現状を客観的に見直すきっかけになります。これまで気付かなかった問題点や、抱えている課題を冷静に見極めることができるでしょう。

これらをしっかりと認識することで、プロジェクトを進める上でも、システムの要件や条件などでブレを生じさせることなく、進められるでしょう。

RFPの主な記載項目

RFPの形式には決まった形はありませんが、発注者と開発会社の認識のズレをなくすという目的のために、必要な項目はあります。主な記載項目として、以下のものが挙げられます。

・概要についての記載事項
・提案依頼の内容
・提案のスケジュールや方法


各項目の内容について解説します。

概要についての記載事項

概要では、プロジェクトの目的や背景、依頼したいプロジェクトの範囲、目指すべきゴールなどを記載します。また、システムの利用シーンや自社情報についても記載しておきましょう。

システムの利用シーンとしては、利用人数やどのような課題を解決したいかなどの項目を盛り込みます。自社情報に関しては企業情報の他に、ソフトウェアやサーバーなどの情報、自社が抱えている課題やシステムを利用する予定人数などもあわせて記載しておきましょう。

提案依頼の内容

RFPの概要をまとめたら、次に提案依頼の具体的な内容を記載します。どのような提案を行ってもらいたいか、システムに搭載してほしい機能(または不要な機能)、プロジェクトの体制、サポート体制などが挙げられます。

また、発注から開発・納品までの全体的なスケジュール、概算費用、契約内容に関する条件などの項目も盛り込みましょう。

提案のスケジュールや方法

最後に提案書の提出期限やプレゼンの有無、選考結果の連絡日などを記載します。提案書の提出先や担当者の氏名、メールアドレスなども忘れずに記載しましょう。

また、複数の企業から提案を受けて選考する場合には、その旨も記載しておきます。評価を行うときに重視するポイントなども書いておくと、良い提案を受けやすくなるはずです。

RFPを作成する手順

初めてRFPを作成する場合であっても、基本的な手順に沿って進めていけば問題ありません。RFPの基本的な作成手順は以下の通りです。

・プロジェクトの目的やゴールを明確にする
・要望を具体的かつ簡潔に記載してRFPを作成する
・各社からの提案を受ける契約先を確定して、手続きを進める


それぞれの手順について解説します。

1.プロジェクトの目的やゴールを明確にする

RFPを作成する際は、プロジェクトの目的や目指すべきゴールを明らかにすることが大切です。目的やゴールが曖昧なままでは、開発会社から良い提案を受けづらくなるでしょう。

自社が抱える課題を洗い出し、現状を分析するために社内にプロジェクトチームを設けてみるのも一つの方法です。開発するシステムについて、関連するそれぞれの部署から横断的にメンバーを集めることで、多様な視点で現状を把握することができ、プロジェクトの目的や目指すべきゴールの設定につなげやすくなります。

2.要望を具体的かつ簡潔に記載してRFPを作成する

課題や問題点を把握したら、次に自社でどこまで対応できるのかを整理してみましょう。不足しているリソースやノウハウなどを明らかにすることで、外部に依頼するプロジェクトの範囲を決められます。

依頼すべき範囲が決まったら、具体的な依頼内容をまとめるためにRFPの作成に取りかかりましょう。「課題解決のためにどのような機能が必要か」「新たなシステムを使うことで、どういった効果が得られるか」「予算やスケジュールに問題がないか」など、さまざまな角度から検討してRFPに記載します。

3.各社からの提案を受ける

RFPの作成が終わったら、候補となる企業に提示して、各社からの提案を受けることになります。RFPの基準に沿った提案書や見積書であるかを比較・検討していきます。

開発会社からの質問に対応するなど、コミュニケーションを重ねながら複数の企業から提案を受けてみましょう。

4.契約先を確定して、手続きを進める

各社から受け取った提案書や見積書の内容を精査して、最終的な契約先を確定します。契約先を決める過程で調整が必要な場合は、契約締結前に擦り合わせを行っておきましょう。

そして、契約内容を双方で確認して、正式に契約手続きを進めます。契約を締結してから、実際にプロジェクトをスタートさせていきます。

RFPを作成するときの3つのポイント

RFPをうまく作成するには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。次の3つのポイントについて解説します。

・過去のプロジェクトを参考にする
・自社における課題点を具体的に記載する
・ステークホルダーの意見もヒアリングする

過去のプロジェクトを参考にする

RFPはプロジェクトの内容にもよりますが、記載項目が多くなりがちです。そのため、一から作成しようとすると手間と時間がそれなりにかかる可能性があります。過去のプロジェクトでRFPを作成しているのであれば、ひな形として活用してみるのもいいでしょう。

RFPのサンプルやテンプレートとして活用できるものがあれば積極的に用いて、作業の省力化を図ることが大事です。実施するプロジェクトによっては、それほど多くの時間を割けない場合もあるため、RFPを作成する前にどのような方法と手順で作成するのかを事前に決めておいたほうが無難です。

自社における課題点を具体的に記載する

RFPは自社の要望や要件をまとめるために作成するものですが、書類の作成そのものが目的ではありません。あくまで自社が抱える課題の解決を図り、各社から最適な提案を受けることで、プロジェクトの成功や企業そのものの成長につなげていく必要があります。

開発会社にも、そうした点をきちんと理解してもらうために、RFPの概要部分にプロジェクトを実施する目的や背景、解決したい課題などを具体的に盛り込んでおきましょう。

ステークホルダーの意見もヒアリングする

RFPの作成においては、ステークホルダーの意見や考えもきちんと盛り込むことが欠かせません。従業員や取引先、顧客など、開発するシステムとそれに関連する人の意見を反映させたものとして仕上げてみましょう。

自社の課題をRFPに具体的に記載し、どのようにすれば解決できるのかを提案してもらうことが大事です。RFPを作成する際は、ステークホルダーにヒアリングやアンケートなどを行って、多くの意見を集めてみましょう。

RFP作成時の3つの注意点

RFPを作成するときは、注意すべき点もあります。以下の注意点について、それぞれ解説します。

・初めから完ぺきな内容を目指さない
・現場の担当者や各部署の意見をもらう
・RFP作成後の追加要求は避ける

初めから完ぺきな内容を目指さない

RFPでは、自社が求める要件や要望などを漏れなく記載することが重要です。しかし、最初から完ぺきなものを作成しようとすれば時間ばかりがかかってしまい、思うように前に進まないこともあるでしょう。

必要最低限の項目だけまとめたら、あとは開発会社とコミュニケーションを重ねるなかで、ブラッシュアップしていくほうが結果的にスムーズに進められます。また、過去に実施したプロジェクトにおいて作成したRFPなども参考にして、作成作業の手間を減らしていくことが大切です。

現場の担当者や各部署の意見をもらう

RFPを作成するときに気をつけておきたい点として、現場の担当者や各部署の意見もきちんと反映させることが挙げられます。プロジェクトの目的や目指すべきゴールの設定に問題がなかったとしても、現場の業務フローに合わないシステムになると、実際にシステムを稼働させたときの負担が大きくなってしまいます。

そのため、あらかじめ実際にシステムを利用するメンバーや部署の意見を確認しておくと良いでしょう。

RFP作成後の追加要求は避ける

RFPの作成後に注意しておきたいこととして、後から大幅な内容変更を行うことを避けるといった点が挙げられます。RFPに盛り込んでいない内容や項目を後から加えれば、提案書や見積書の前提が崩れる恐れがあります。

予算やスケジュールの再調整が必要になってしまい、開発会社の負担が大きくなってしまうでしょう。余分な工数が発生してしまえば、プロジェクトの進行が遅れる原因となるため、RFPを提示する前に内容に問題がないかを入念に確認しておきましょう。

まとめ

RFPとは提案依頼書のことであり、システム開発や導入の場面で作成されるものです。発注者と開発会社の認識のズレをなくすために用いられ、事前に作成しておくことでプロジェクトをスムーズに進めていけるでしょう。

RFPに記載すべき項目や作成手順を押さえておけば、初めて取り組む場合も難しく捉える必要はありません。自社にとって相性の良い会社を選び、適切な提案を受けるために、RFPの作成に取り組んでみましょう。

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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