「ペルソナ」とは?ターゲットとの違いやペルソナ設定の重要性までやさしく解説
ニジボックスのUXデザインフローや案件事例をご紹介!
昨今マーケティングにおいて頻繁に登場するキーワード「ペルソナ」。
「ターゲット」とどう違うの? なぜ今「ペルソナ」が重要なの? 設定する上での留意点は?
この記事では、「ペルソナ」の基礎基本を分かりやすくおさらいしていきます。
目次
ペルソナとは?
マーケティング上でのペルソナとは、自社の商品やサービスにおける、典型的な顧客像のことです。
年齢や性別などのデモグラフィック情報だけではなく、性格やライフスタイル、普段接するメディアやSNSなど、細かな点まで設定して、架空の具体的な人物像を作り上げます。
「ターゲット」と「ペルソナ」はどう違うの?
「ターゲット」は、幅を持たせたデモグラフィック情報に限られるのに対して、「ペルソナ」は、ターゲットとなるユーザーの具体的な、1人の人物像として設定されます。
具体的なペルソナ設定の例をみていきましょう。
ターゲットの場合
- 20-30代の既婚女性、東京在住
ペルソナの場合
ペルソナには、以下のような情報が含められ、実在するかのような人物像を設定します。
- 年齢・居住地・職業などのデモグラフィック変数(人口統計学的情報)
- 価値観やライフスタイルといったサイコグラフィック変数(心理的特性)
- ビヘイビア(行動変数)
ペルソナのデモグラフィック変数
- 年齢:28歳
- 居住地:東京都港区在住
- 職業:IT企業(秘書)勤務
- 家族構成:昨年結婚したメーカー勤務の夫と2人暮らし
ペルソナのサイコグラフィック変数
- 趣味・志向:SNS(特にInstagram)の利用頻度が高く最新コスメやトレンド情報の収集に活用
- ライフスタイル:コスメ・ファッションに月3万円程度支出し、女子会・飲み歩きが大好き
- 価値観:もっと効率的に家事をこなしたいと考えている
なぜペルソナを設定することが重要なのか?
ペルソナを設定することが重要な理由は、ペルソナの設定がマーケティングの方向性を定めるために不可欠なためです。
マーケティングには多くの関係者が関与します。
そんな中、前述の限られたターゲット情報(20-30代の既婚女性、東京在住)だけが提示された場合、関係者間で全く異なるターゲット像を思い浮かべてしまう恐れがあります。
既婚女性といっても、子供の人数、両親との同居の是非、また、働き方(フルタイム・パートタイム等)によってもライフスタイルは大きく変わってきますし、価値観はさらに多様性を極めます。
関係者が異なるイメージのターゲット像を元に商品開発や販売方法の検討を進めてしまうと、マーケティングの方向性が定まらず、せっかく開発されたサービス・商品が誰にも「響かない」可能性が出てきます。
一貫性のあるマーケティングを行うためには、関係者が共通認識を持つことが不可欠であり、そのためにペルソナが有益なのです。
ペルソナを設定する2つのメリット
ペルソナを設定するメリットは、主に2つあります。
1. ニーズの的確な把握
ペルソナを設定することにより、ユーザー層ではなく具体的な人物像であるペルソナを軸に考えていくため、「何に困っているのか」「何を必要としているのか」を的確に掴むことができ、需要とのズレを防げます。
たった一人の”ペルソナ”を目指したマーケティングが、結果としてペルソナの後ろにいる、同様の価値観・ニーズを持つ多くのユーザーへのリーチを可能にするのです。
2. マーケティングの効率化
前述のターゲット(20-30代の既婚女性、東京在住)を前提とすると、子供がいる場合いない場合、両親と同居している場合いない場合、女性がフルタイムで働く場合パートタイムの場合と、さまざまなケースを広く検討する必要が出てきます。
その場合、検討に多くのリソースを割かなければなりません。
ペルソナの要求に応えるアイディアを集中的に考えることで、タイムロスを防ぐことができ、コストカットにもつながるのです。
ペルソナマーケティングを成功に導くための留意ポイント3点
ペルソナマーケティングを行う上で留意しなければならない点もあります。
1. 恣意的にならぬよう、客観的なデータを活用する
せっかくペルソナを設定しても、「こういう人に使ってもらいたい」といった作り手の恣意的な意図や思い込みといった主観によってペルソナが設定されては意味をなしません。
それを防ぐため、客観的なデータを活用し、根拠のあるペルソナを設定することが肝要です。
客観的なデータとしては、インタビューやアンケート、SNSでの口コミなど、一次情報で集めるとより精度高いペルソナ設計ができます。
集めた情報をデータ化して、属性を分析していくと良いでしょう。
インタビューやアンケート調査については下記の記事で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
2. 誰にでもイメージできるような設定をする
ペルソナが想像し難いものであったり、関係者が異なる人物像を思い描くような解釈の余地があったりするようでは、適切なペルソナとはいえません。
ペルソナは誰にでもイメージしやすく、かつ、印象に残りやすい設定とする必要があります。
ペルソナのイメージ写真を用いることは、効果的な方法の1つです。また、身近にいるペルソナに近い人をイメージしながら設計するという手法もあります。
ペルソナは設計がゴールではなく、関係者で共通認識を持つことが重要なので、イメージを共有できるように工夫しましょう。
3. 定期的なブラッシュアップを行う
上記を満たすペルソナを設定したからといって、安心してはいけません。
一度設定したペルソナをそのままにしては、マーケティングが時代遅れとなってしまう恐れが出てきます。
ターゲットの需要の変化を見逃さぬよう、例えば半年〜1年など、定期的なペルソナの見直しとブラッシュアップが必要です。
また、マーケティングをしているうちに、自分たちが想像していたペルソナとは違う属性へのアプローチの必要性が生じることもあります。
その場合は、複数のペルソナを設定することも効果的です。
ただし、あまりにたくさんのペルソナを作ってしまい、人物像がぼやけてしまうことには注意しましょう。
ペルソナ設定の手順4STEP
ここでは、ペルソナ設定の具体的な手順を紹介します。
1. 自社・競合の分析をする
まずは、自社の商品・サービスについて市場分析・競合調査を行います。
3C分析や4P分析、ポジショニングマップなどで、市場の立ち位置を見極めていきましょう。
また、自社と競合とのペルソナの違いなどもイメージできるようになるため、競合調査も有効です。
自社の分析や競合調査をさらに詳しく知りたい方は下記の記事もぜひ併せて参考にしてください。
2. ペルソナ設定する項目を決める
ペルソナを設定する上では、できるだけ細かく項目を決めることで、より精緻な設計ができます。
ただし、時間や労力もかかるため、自社に関連のあることを中心に先に項目を決めておきましょう。
例えば、Webマーケティングを中心に考えているのであれば、普段利用するアプリやSNSも設定しておいた方が、戦略を考える上で考えやすくなります。
ペルソナのイメージが関係者全体で一致していれば、必要に応じて都度新たな項目をすんなり考えられます。ですので、最低限一致したイメージを共有できる項目は設定しましょう。
3. データを収集して、具体的な設定をする
次に、ペルソナ設定に必要な情報を収集して、具体的な設定をしていきます。
情報は、口コミやアンケートなど一次情報を中心に収集して、データ化していきます。データ化できたら、属性ごとに分析して項目ごとに設定していきましょう。
ある程度の設定ができたら、関係者で議論をしながら、細かな設定を作っていく手法も効果的です。
下記の記事では、ペルソナの情報をまとめるペルソナシートについて紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
4. 情報収集を継続して、定期的に見直す
一度、ペルソナを設定してもマーケティングを進めると、「間違っていた」「不足していた」というケースも出てきます。
そのため、ペルソナは、課題が出てきたときや、定期的に見直していきましょう。
そのためにも、ペルソナ設定をした後も、口コミやアンケートなどで情報収集は欠かさず行うことが肝心です。
客観的なデータが集まればより精緻なペルソナ設定もできるため、情報収集は継続的に行いましょう。
ペルソナシートのテンプレート(ダウンロード可能)
ニジボックスでは、ペルソナの情報をまとめるペルソナシートの作り方とテンプレートをまとめたPowerPoint資料を配布しています。
シンプルな作りなので、簡易的にすぐ作成したい人におすすめです。
最後に
この記事では、ペルソナについて、定義やメリット、手順について解説をしてきました。
価値観の多様化が進む昨今、ターゲットを明確化し、効率的で一貫性のあるマーケティングを行うために、ペルソナが使われることは一般的になりつつあります。
ただし、闇雲にペルソナを設定すればいいわけではありません。
設定したペルソナが、客観的データに基づいているか? 関係者間で共通認識を持てるものになっているか? 時代遅れになっていないか?
可能な限りペルソナを見直すことで、より精度の高い結果が得られると思います。
ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があり、ペルソナの作成からサービスの設計、開発まで数多く実施した経験がございます。
下記資料にて、これまでニジボックスがUXデザインを用いてどのようにビジネス立ち上げや成功を支援してきたのか、事例を一部ご紹介しています。
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元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
X:@junmaruuuuu
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