ペルソナシートとは?活用目的から作り方まで事例つきで詳しく紹介!
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ペルソナシートとは、ユーザーの具体的な人物像である「ペルソナ」の情報をまとめたものです。
ペルソナシートを利用することで、サービスが価値提供する対象のユーザー像をイメージしやすくなります。
この記事では、ペルソナシートの基礎から実践的な作り方まで、具体的な記入例を交えながら詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ペルソナの基本情報については、こちらの記事で紹介しています!ぜひ併せてご覧ください。
目次
ペルソナシートとは?
ペルソナシートとは、「ある特定の商品・サービスの架空のユーザー像」であるペルソナの人物像を具体的に表すために、年齢や職業、思考・行動傾向などをまとめたものです。
ペルソナシートは、ユーザーの心理や行動を理解する上で重要なツールです。
まずは、ペルソナシートを作る目的や注意点など、基礎知識を理解しましょう。
ペルソナシートのテンプレート(ダウンロード可能)
ニジボックスではペルソナシートの作り方とテンプレートをまとめたPowerPoint資料を配布しています。
シンプルな作りなので、簡易的にすぐ作成したい人におすすめです。
ペルソナシートを作る3つの目的
ペルソナシートを作る目的は「顧客理解」「ニーズ把握」「チーム間共有」など多方面に渡ります。
1. 顧客理解のため
ペルソナシートを作ることで、ターゲットとなるユーザー像を詳しく表現できます。
その結果、顧客が普段どんなことを考え、どんな生活をしているかが理解できるようになるのです。
2. ニーズ把握のため
開発側の視点で「この商品の売り」と考えていたものが、顧客視点に立つと魅力を感じられないことはよくあります。
ペルソナシートを作ることで、顧客視点で商品・サービスの課題やその解決法を考えられるようになり、ニーズを正しく把握することが可能です。
3. チーム間共有のため
年代や性別のみ設定したターゲット像だけでは、チームメンバー内で理解の不一致が生じます。
だからこそ、ユーザー像の認識にぶれが生じないよう、より詳細な設定と共有を行うことが必要となります。
チーム内で共通認識を作ることも、ペルソナシート作成の重要な目的です。
ペルソナシートは、「どんな人が商品に魅力を感じ、買ってくれるのか」を明確にしてくれるツールです。
この「どんな人」=ユーザー像をチーム全体で共有し、商品・サービスの開発や改善に取り組むため、ペルソナシートを活用しましょう。
ペルソナシート作成時、知っておくべき3つの注意点とは?
ペルソナシートを作成する上で、注意しなければならない点は3つです。
1. 具体性のある内容にすること
「20代男性」のような幅を持たせたターゲットと違って、ペルソナは具体的な一人の人物像である必要があります。
「普段の生活圏」「仕事に対する考え方」「余暇の過ごし方」のような、詳細な情報まで作成し、実在するかのような人物像を設定しなければ、ユーザーのニーズを正しく捉えることができません。
ペルソナシートを作成するときは、この具体性を常に意識することが重要です。
2. 設定するペルソナを精査すること
具体性が高く、人物像をはっきりとイメージできるペルソナシートを作成したとしても、そのペルソナが商品・サービスに見向きもしないような人物では意味がありません。
極端な話、車を売りたいのに中学生のペルソナを作ったところで、マーケティングには活かせないでしょう。
ペルソナシートの作成に取り組む前に、「どんな人が商品・サービスに魅力を感じてくれそうか」を精査しましょう。
ペルソナシートの作成自体には、ユーザーをセグメントすることや、セグメントしたユーザーグループから適切なターゲットを絞りこむ、という手順は含まれていません。
よって、ペルソナシートを作成する前に、どんなユーザー層を対象にサービスを提供するのか、価値を提供するのかを明確にすることが必要です。
どういうユーザーセグメントにおいてペルソナを作成するべきか不明確な場合は、まずはユーザーセグメントのための調査・分析を行いましょう。
■参考記事:
3. 妄想だけで作らないこと
ペルソナシートの作成は、仮説を立てて検証を繰り返しつつ進めていきます。
ペルソナとは架空のユーザー像のことを指しますが、チームの都合にあわせ伸縮自在に変化するユーザー像は「ゴムのユーザー」と呼ばれます。
場面ごとに都合のよいユーザー像を描いたり、個人の想像でユーザー像を描いたりしてしまうと、サービスの開発やデザインの方向性にぶれが生じてしまいます。
想像のみに頼り都合の良いユーザー像を作らないよう、ペルソナはユーザー調査の結果を基に作成し、そして都度ブラッシュアップを繰り返すことが重要です。
ペルソナシート作成の成功のカギは「情報収集」
ペルソナシートを作る上で最も重要なのは、「情報収集」です。
具体性があり、商品・サービスに合ったペルソナを描けるかどうかは、その構成要素となる情報の質・量に大きく左右されます。
UXを意識しながらリサーチする内容を決める
ペルソナシートには、年齢や職業などさまざまな項目があります。
ある程度優先順位をつけて項目立てし、リサーチする内容を絞り込むことが必要です。
そこで基準としたいのが、商品特性やUX(ユーザー体験。その商品を利用することでユーザーが何を得て、どう感じるか)です。
ペルソナを作りたい商品・サービスが車なのか、お菓子なのか、またはWebサービスなのかによって、「必ず押さえておきたい項目」は変わるはずです。
効率よくペルソナシートを作成するためにも、情報収集の前に「何をリサーチするか」を明確にしておきましょう。
アンケートやユーザーインタビューで情報収集
情報収集は、大きく定量調査と定性調査の2種類に分けられます。
定量調査は、作成するペルソナの大まかな方向性(年齢や職業など)を絞り込むのに有効です。
顧客アンケートや購買データ等の集計を用いて、描くべきペルソナ設定を精査しましょう。
一方、定性調査は思考や行動など、より具体的な情報を集めるために行います。
ターゲットユーザーに対して、ユーザーインタビューを行い深掘りしていきましょう。
顧客接点をもつ営業・スタッフへのヒアリングも定性調査の手法として有効です。
定量調査や定性調査、アンケート調査、ユーザーインタビューについては以下の記事で解説しているので、こちらの記事もぜひご覧ください。
ペルソナシートの作り方5つのステップ
それでは、ここからペルソナシートの作り方を5つのステップに分けて解説します。
1. ペルソナシート作成項目の決定
まずは、ペルソナシートに記載する項目を設定しましょう。
取り扱うサービスや商品によって、ペルソナシートで描くべき項目は異なります。
ペルソナは単なるユーザーのプロフィールではなく、自分たちのサービス開発やデザインのヒントになるものです。
したがって、ペルソナシートの内容には、それぞれのサービスに関連した内容の項目を設定すべきです。
他社が作ったペルソナの項目を例としてそのまま利用しても、実際活用する際にあまり参考にならないことがあります。
とはいえ、ペルソナを描く際におさえるべき項目は共通しているものがいくつかあります。
絶対に必要なものではありませんが、以下がペルソナ作りでよく用いられる項目です。
ぜひ参考にしてみてください。
【ペルソナの項目例】
- 名前、愛称
- ペルソナの最終目的・ゴール
- 生活・仕事に置ける役割
- 調査対象における知識レベル
- 商品・サービスの利用経験、頻度
- 商品・サービスの利用シーン、利用環境
以降では、婚活マッチングアプリのペルソナとして、真剣に結婚を考えている男性サラリーマンのペルソナシートの作り方を解説していきます。
2. 情報収集
次に行うのは、情報収集です。
ターゲットとなる男性サラリーマンに対して、定量・定性情報を集めましょう。
定量データを集めるアンケートでは、まず年齢や職業・年収などの基本情報から、休日の過ごし方やよく利用するWebサービスとアプリ・SNSの利用についてなど、行動に関わる情報を質問項目として設定します。
そして、婚活マッチングアプリ開発のためのペルソナシート作成という前提を鑑み、そもそも結婚願望はあるかなど、結婚や恋愛についての質問も用意しましょう。
定性データを集めるユーザーインタビューでは、より深掘りした情報を取得するための質問を用意して実施します。
なぜ結婚をしたいのか、結婚するために課題に感じていることは何かなど、特に心理的側面に踏み込んだ情報を集めるようにしましょう。
アンケート調査、ユーザーインタビューについては以下の記事で解説しているので、こちらの記事もぜひご覧ください。
3. 集めた情報の共通項を抽出
情報を一通り集めたら、そこから「共通項」を抽出します。
婚活アプリを利用してくれそうな(結婚したいと考えている)人は、「年齢はどれくらいか」「年収はどれくらいか」「普段どんな生活圏で、どんな行動をしているか」「結婚することで何を得たいのか」など、共通するものが見えてくるはずです。
共通項を抽出して、その情報をもとにペルソナシートを作成することで、偏りのない、妄想ではないユーザー像を描くことが可能です。
4. ペルソナのゴールの設定
抽出した共通項から、「ペルソナは何をしたいと思っているか?」を見極めます。
このペルソナのゴールが、商品・サービスが解決する課題であり、すべての指針となります。
今回の例では、「仕事が忙しく、プライベートな時間をなかなか確保できない」無駄な時間とお金は使いたくない」といった共通項が抽出できたとします。
そこで、ペルソナのゴールとして、「忙しい合間を縫って、効率的に自分に合う人と出会いたい」を設定しました。
5. 情報をシートに書き出し、まとめる
最後に、収集・分析した情報をシートに書き出していきます。
まとめる内容は大きく分けて以下の3つです。
- 基本情報(年齢や職業など)
- 詳細情報(行動・心理傾向)
- 利用時コンテキスト(商品・サービスを利用するときのストーリーイメージ)
それぞれの具体例を記載したペルソナシートを紹介します。
基本情報
・名前/中村誠
・性別/男性
・年齢/27歳
・職業/コンサルティング会社に所属
・収入/700万円
・家族構成/父母、妹(現在は上京して一人暮らし)
・居住地/中目黒
詳細情報
・休日の過ごし方/勉強会やセミナー、異業種交流会
・よく利用するサービス/Facebook。Webメディア。
・仕事に対する考え方/一番優先順位が高い。いずれは起業したいと考えている
・悩み/仕事は好きだし充実しているが、このままだとずっと独り身ではないかと悩んでいる
・いつまでに結婚したいか/2,3年以内には
・相手に求める条件/仕事に対して理解があること。穏やかな性格であること
利用時コンテキスト
ここでは、今回設定したペルソナ「中村誠さん」が、婚活マッチングアプリを利用するときのシーンをストーリー化してみましょう。
共感マップやカスタマージャーニーマップを事前に作って参考にすると、より精度の高いストーリーを作成することが可能です。
【ストーリー化の例】
もともと結婚願望が高く、なんとなく「20代の内に結婚したい」と考えていた。
27歳となった今、会社の同僚でも結婚する人がちらほら出始め、結婚に対する気持ちはどんどん高まってきている。
しかし、以前付き合っていた相手と別れて既に2年以上が経ち、最近は仕事が忙しくなってきたこともあり、出会いも少ない。
忙しい合間を縫って合コンやパーティに足を運んでいますが、なかなか「これだ」という人と出会えず、リアルな出会いの場に限界を感じている。
共感マップやカスタマージャーニーマップについては以下の記事で解説しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
ペルソナシートを使ってUXをデザインし、事業を成長させる
ここまで、ペルソナシート とは何か、そして作り方についてご紹介してきました。
ペルソナシートを活用することで、「ユーザーが真に求めていること」を解像度高く捉えることが可能です。
そして、ユーザーニーズを明確にすることで、自社の商品・サービスが提供する価値へとフィードバックできることもあります。
特に新規事業においては、最初に考えていたアイデアがそのまま商品化することは稀です。
ニーズを的確に捉え、それに沿ったUXをデザインすることが、事業の成長につながるのです。
UXと聞くと次のように思う方は少なくないかもしれません。
・UXという言葉は知っているが、実際どんなものかはよく分からない
・現状のビジネスで安定した収益を確保できているのでUXの必要性を感じない
・ユーザーの声を聞くという話は分かるが、具体的にどうすればいいかは分からない
下記資料では、「ビジネスにUXが重要な理由」について、事例を交えて分かりやすく解説しています。
ぜひUXの理解を深めることにお役立てください。
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
X:@junmaruuuuu
note:junmaru228