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BtoBビジネスモデルの特徴や成功のポイント|BtoCとの違いも解説

BtoBビジネスモデルの特徴や成功のポイント|BtoCとの違いも解説

ビジネスモデルは事業開発において「価値を創造」して「顧客に価値を提供する」ための設計図です。根本的な考え方は、BtoCであれBtoBであれ同じですが「顧客」の定義が変われば、戦略などさまざまな要素も変わってきます。

この記事では、BtoBビジネスモデルの概要から特徴、成功させるポイントと併せて、さまざまなビジネスモデルの型について紹介します。

ビジネスモデルとは

ビジネスモデルにはさまざまな定義がありますが、一般的には事業開発において顧客に価値を提供する仕組みを指します。前述のとおり「価値を創造」して「顧客に価値を提供する」ための設計図ともいえるでしょう。

ビジネスモデルを構築するにあたり、重要なことは「価値の創造」と「顧客」という部分です。

例えば、一般消費者を顧客とするのであればBtoC、企業を顧客とするのであればBtoBなど、誰を顧客に設定するかによって、価値の提供方法や戦略も異なってきます。

今回は、価値の提供元と提供先に着目して、ビジネスモデルのパターンや特徴を解説します。

ビジネスモデルにおけるBtoBとは

BtoBとはBusiness to Businessの略で、企業対企業のビジネスを意味します。

一口にBtoBといっても、「メーカーに部品を販売する」「小売店に商品を卸す」「企業にソフトウェアを提供する」など、さまざまなパターンが存在します。

具体的な例を挙げると、以下のとおりです。

  • 病院などに医療機器を販売する小売モデル
  • 自社媒体に広告を掲載して掲載料をもらう広告モデル
  • 人材派遣会社などに代表されるマッチングモデル
  • サーバーレンタルなどのサブスクリプションモデル

この他にもさまざまなビジネスモデルが存在し、事業の利益を生み出し新規事業を開発する際に欠かせない仕組みとなっています。

ビジネスモデルの詳細については以下の記事をご覧ください。

■関連記事:
【今さら聞けない】ビジネスモデルとは?作り方や定番パターン、欠かさえない3つの条件を詳しく解説!

BtoBビジネスモデルの特徴

他のビジネスモデルと比較した際のBtoBビジネスモデルの特徴を5つ紹介します。ビジネスモデルを構築するにあたり、顧客を誰に設定するのかを判断する基準にもなるため、一つずつ見ていきましょう。

市場規模が大きい

BtoBは企業間の取引であるため、BtoC(DtoC含む)やCtoCと比べて市場規模が大きい点が特徴です。

例えば、日本の電子商取引(EC)の市場規模を見てみると、2021年のBtoC市場規模は約20.7兆円であるのに対し、BtoBは約372.7兆円でした。※1

市場規模が大きくなると、それだけ利益を上げやすくなります。また、はやり廃りの影響を即座に受けにくい、というメリットも挙げられます。

安定したビジネスモデルを構築するにあたり、規模の大きな市場に参画できる点が、BtoBビジネスモデルのメリットの一つです。

※1参照元:令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf)(2023年2月13日に利用)

顧客単価が高い

一般消費者が顧客となるビジネスモデルの場合は、1回の取引額が低くなりがちです。これに対して、BtoBの場合は高額な商品・サービスを扱うことが多く、1回の取引額が数千万~数億円になることも珍しくありません。

一般消費者が顧客となる場合でも、例えば、自動車や不動産などの売買であれば取引額は高くなるでしょう。
しかし、一個人の取引額としては非常に高額なため、取引頻度はそれほど多くないと考えられます。

一方で、BtoBでは企業同士の取引となるため、個人よりも動かせる金額は大きくなります。市場規模が大きいことと併せて、この点も利益を上げやすい要因の一つといえるでしょう。

信頼関係や実績が重要視される

BtoBのビジネスモデルでは、必然的に高額な商品やサービスをやりとりするため、企業間の信頼関係が重要視されます。また、信頼を得るにあたりこれまでの実績も重要になるでしょう。

一般消費者の場合は一人で決定し、感情に任せて商品やサービスを購入することが多いといえます。しかし、企業は成約までに複数人で検討し、論理的に判断を下す場合がほとんどです。

信頼できる相手か」「値段に見合う価値を提供できるのか」という点をより厳しく検討し、「企業利益につながるのか」という一般消費者とは異なる視点でのチェックも入ります。

その際に重要なのが実績です。期待に応えられるだけの実績を提示できないと、契約につながらない可能性も考えられます。

意思決定が組織的に行われる

BtoC(DtoC含む)やCtoCなどの場合、商品やサービスを購入するかどうかは、対象となる一般消費者本人の気持ち次第のことも多いです。本人が気に入り購入を決定すれば、決済までスムーズに進むでしょう。

一方でBtoBの場合は、担当者・課長・部長・取締役・社長のように、段階を踏んで意思決定がされます。
一つの取引に多くの人の考えや思惑が交錯するため、全ての人を納得させるだけの材料の準備が必要です。

よって、成約までの期間は長期化しやすくなっています。

長期的な取引になりやすい

ここまで解説したとおり、高額な商品やサービスを扱うBtoBは、実績などのさまざまな観点から取引先を検討・交渉し、意思決定も段階を踏む傾向が強いといえます。
そのため、新たな取引先の開拓には時間も手間もかかります。

一般的に労力のかかる作業・工程となるため、なるべくこの負担を発生させたくないと考える場合が多いでしょう。
そのことから、一度成約し問題がなければ取引が継続しやすいというのがBtoBの特徴です。

BtoCのように一般消費者を顧客とした場合は、商品やサービスが一度の取引のみとなることも少なくありません。しかし、BtoBの場合は、信頼のおける相手として年単位で取引を継続することもあります。

BtoBビジネスモデルを成功させるポイント

BtoBビジネスモデルを成功させるために、重要となるポイントが5つ存在します。ここでは、それらのポイントについて一つずつ解説していきます。

ニーズを正しく捉える

第一に、顧客のニーズ(需要)を正しく捉えることが重要となります。

ビジネスの基本は需要と供給です。需要を把握できなければ適切な供給も行えないでしょう。そのため、ターゲットとなる企業にどのようなニーズがあるのかを事前に調査し、明らかにすることが重要です。

企業・法人を一人の人間として捉えて、何に困っているのか、どのように解決したいのか、などを事細かに把握することが求められます。

ターゲットのニーズを正しく捉えることができれば、自社の強みを生かした最適な商品やサービスを提供できます。

信頼関係を築く

顧客と良好な関係を築き、ロイヤルティを高めることも重要となります。

BtoBは意思決定が組織的に行われるため、信頼関係を築く相手は特定の一人とは限りません。各関係者との関係性を築き信頼を構築していくことが、企業・法人全体の信頼へとつながります。

近年では、コンテンツマーケティングやインサイドセールスなどによって顧客との接点を積極的に作り、コミュニケーションの中で信頼関係を築くことが重要だとされています。このように、さまざまなチャネルを利用した信頼関係の構築手段が存在します。

強固な信頼関係を築くためにも、顧客ニーズや自社商品・サービスに対する関心度などに応じて適切なアプローチを続けていくことが重要です。

提供のタイミングを見極める

顧客のニーズに合っていても、予算や導入時期のタイミングが合わないと成約には至りません。そのため、顧客の予算状況や今後の予定なども考慮した上で、提供のタイミングを見極めることが重要となります。

どのタイミングで商品やサービスを提供すべきか、そのためにはいつ・どのような情報を提供すべきかなどを見極めるためにも、インサイドセールスの活用を検討しましょう。

インサイドセールスとは、「資料請求をした」などの受注確度の高いユーザーに対して、対面営業(フィールドセールス)や電話やメールなどを活用して非対面で行う営業活動のことです。
すでに一度資料請求などをしていることから、自社サービスに関心があることがわ分かるため、提案やクロージングが行いやすくなります。

また、顧客情報の整理や管理も行います。対面式の営業であるフィールドセールスと分業化することで、一人の顧客に費やす時間が増えるため、商品やサービスを提供する最適なタイミングを見極めやすくなるでしょう。

意思決定フローとキーパーソンを把握する

意思決定が組織的に行われるBtoBでは、意思決定フローとキーパーソン(意思決定者)を把握し、コネクションを作ることが重要です。

企業の規模などによっても異なりますが、大企業の場合は役員や部長クラス、中小企業の場合は社長自らがキーパーソンとなっていることがあります。

キーパーソンが何人存在し、どのような意思決定フローなのかを把握するためにも、顧客とのミーティングや交流会などの機会を設けて情報を集めましょう。

競合と差別化する

BtoBビジネスモデルに限らず、競合他社はビジネスを展開する上で多かれ少なかれ存在します。顧客のニーズを前提とし、競合他社と比較した際の自社商品・サービスの強みを見つけて差別化をすることが重要です。

競合他社と比べて、自社の商品やサービスは何が違うのか、どの点が優れているのか、という点を把握して、顧客にアピールし、ベネフィット(利益)として顧客に何を提供できるのかを提案しましょう。

顧客は、商品やサービスが優れているか否かということよりも、自身にとってより多くのベネフィットをもたらすか否かを重要視する場合があります。
そのため、営業や商談の際は差別化のポイントとしてしっかりとアピールしましょう。

自社の製品やサービスと顧客の状況やニーズを可視化するためには、「バリュープロポジションキャンバス」の活用がおすすめです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

■関連記事:
バリュープロポジションキャンバスとは?基礎基本からやさしく解説!

BtoB以外のビジネスモデル7つ

ここまでBtoBについて解説してきましたが、その中でいくつか似たような言葉が出てきて気になった方も多いのではないでしょうか。ここではBtoB以外の7つのビジネスモデルについて簡単に紹介します。

BtoC

BtoC(Business to Consumer)は、商品・サービスを企業から一般消費者へと提供するビジネスモデルです。BtoBと並ぶ代表的なビジネスモデルの一つといえるでしょう。
BtoCビジネスモデルを採用するケースは多く、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店、アパレルなどが該当します。

BtoBと比較すると、BtoCはターゲットが多く、購入につながりやすいという特徴を持ちます。ただし、顧客単価は低い傾向にあるため、いかにして多くの顧客を獲得するかが課題となります。

BtoBとBtoCの大きな違いは、顧客が企業か一般消費者かという部分であり、ビジネスモデルとしての根本的な考え方はあまり変わりません。
しかし、顧客が変わることで市場規模や重要視されることなども変わるため、とるべき戦略も異なってきます。

BtoBtoC

BtoBtoC(Business to Business to Consumer)は、BtoBとBtoCを組み合わせたようなビジネスモデルです。

例えば、企業Xが企業Yから商品を仕入れ、企業Yの代わりに一般消費者に販売するなど、ある企業が仲介人となり、別の企業と一般消費者を結びつけるビジネスモデルを指します。

特に、企業Yの知名度や実績が足りない場合や、販路がない場合などに重宝されるビジネスモデルです。

分かりやすい例としては、Amazonや楽天市場などのプラットフォームが挙げられます。

BtoE

BtoE(Business to Employee)は、商品やサービスを企業から従業員へ提供するビジネスモデルです。
社員食堂や従業員向けの割引販売などが該当し、ビジネスモデルというよりも福利厚生としての要素が強いといえるでしょう。

しかし、近年では従業員を顧客の一人とみなし、自社の商品やサービスのファンになってもらうことで、SNSなどを通じて宣伝してもらう、または良いイメージ作りをする、といった目的で力を入れる企業も存在します。

BtoEの例としては、Facebookに社内のイベントや社員紹介、社内の様子を画像や動画を使って公開して採用活動に利用しているケースや、食材・菓子の置き配サービスなどのケースが挙げられます。

BtoG

BtoG(Business to Government)は、企業が政府・官公庁・地方自治体に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルです。
例としては、地方自治体などに対するオフィス用品の販売や公共事業の請負などが挙げられます。イメージとしては、BtoBに近いといえるでしょう。

ただし、企業の取り決めで事が進むわけではありません。行政側が任意に特定の企業を選択して締結する「随意契約」の場合もありますが、原則は入札によって受注可否が決まります。

BtoGは、行政を取引相手とすることや、原則、入札方式を採用していることから、対価の不履行がなく確実に回収できる、取引の透明性や公平性が確保されている、自社の社会的信用と実績につながる、といったメリットがあります。

CtoC

CtoC(Consumer to Consumer)は、一般消費者同士の取引モデルです。企業としては入り込む余地がないように思えますが、一般消費者同士が取引をするためのプラットフォームを提供することでビジネスモデルとして成立します。

例えば、メルカリなどのフリマアプリやヤフオク!などのオークションサービス、Airbnbなどの民泊サービスが該当します。企業は一般消費者間の契約が成立した際の手数料などを受け取ることで利益を得ることが可能です。

DtoC

DtoC(Direct to Consumer)は、企業が一般消費者に直接商品やサービスを提供するビジネスモデルであり、BtoCの形態の一つともいえます。

BtoCの場合は、自社商品やサービスを一般消費者のもとに届けるために卸売業者や小売業者を介する必要があります。しかし、DtoCはそれらの業者を介さず、自社の直営店やECサイトで一般消費者に直接(ダイレクト)販売します。そのため、仲介業者に依存しないことでそれらにかかるコストを削減できます。

ただし、DtoCでもBtoCと同じように集客が課題となります。広告やSNSなどを活用し、自社や商品を一般消費者に認知させることが必要となるでしょう。

GtoC

GtoC(Government to Consumer)は、政府・官公庁・地方自治体が一般消費者に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルです。公営住宅などのインフラに関するものや、税金のオンライン申告など、住民の負担を軽減するサービスが中心となっています。

企業のように利益を追求するのではなく、あくまでも住民の負担を軽減して生活をより良いものにすることを目的としている点が大きな特徴です。

まとめ

BtoB(Business to Business)のビジネスモデルは企業対企業のビジネスを意味します。BtoB以外にもビジネスモデルには さまざまなパターンが存在しますが、BtoBビジネスモデルは次の特徴を持ちます。

  • 市場規模が大きい
  • 顧客単価が高い
  • 信頼関係や実績が重要視される
  • 意思決定が組織的に行われる
  • 長期的な取引になりやすい

今回は、BtoBビジネスモデルを成功させるポイントと併せて、BtoB以外のビジネスモデルも紹介しました。この記事を参考に、自社にとって最適なビジネスの在り方を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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