【イベントレポート】フォーカスイシュー・トークVol.4「技術と情報」を聞いてきた
こんにちは、最近はカンヌライオンズが熱いニジボックスデザイナーの諏訪です。生々しい表現やブラックジョークなど、日本ではなかなか難しそうな、エッジの効いた海外の広告がたまりませんね。
さて、カンヌとは関係ないですが、トークイベントに行ってきました。
GOOD DESIGN MARUNOUCHIで開催されていた「今デザインができること」展。この展覧会の関連イベントである「フォーカスイシュー・トーク」を聞いてきました。
“フォーカスイシュー”というのは、グッドデザイン賞が2015年度から設定している「デザインがいま向き合うべき重要な領域」のことで、2016年のフォーカスイシューは9領域。今回私が拝聴したのは、【情報と技術】の領域のディレクターであるドミニク・チェンさんと、2016年度グッドデザイン賞審査委員長の永井一史さん・副審査委員長の柴田文江さんによるトークです。
目次
《2016年6月8日開催》フォーカスイシュー・トークVol.4「技術と情報」
▲写真は左から柴田さん、永井さん、ドミニクさん
トークのはじまりは、グッドデザイン賞の審査についてでした。普遍的に変わらない骨格やフォルム(見た目)、より魅力的なかたち・クオリティの高さが求められる一方で、新しいテクノロジーや社会変化に対して未来を先取りしたものを評価していこう・選ぼうという流れがあり、相反する価値観の中でどの辺りが適正か考えていくことが、グッドデザインの醍醐味だとおっしゃっていました。
【情報と技術】のテーマは“オープン”
ドミニクさんは【情報と技術】のフォーカスイシューディレクターに選ばれた時に、“オープン(オープンデザイン)”ということが情報技術のキーワードになると考えたそうです。メディアアーティストとして作品を作られた経験や、会社でのアプリ開発、NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン設立理事であることからその活動など、他にも多くの事例を挙げつつ“オープン”という軸に沿った内容を話してくださいました。
個人的には、その中でもクリエイティブ・コモンズについてのお話が特に気になりました。普段の仕事でも著作権フリーの画像を検索したり使用したりするので、なるほど、と思うことが多くありました。上の画像はドミニクさんの著書で、著作権や、クリエイティブ・コモンズについてぎっしり書かれています。内容が内容なだけに専門用語も多く、なかなか気合を入れて読む必要がある内容ですが、クリエイティブな仕事をしていたら一読の価値はあるかと思います。
▼こちらのページからフリーダウンロードで読むことができます。
フリーカルチャーをつくるためのガイドブック-クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
デザインの中のグッドデザイン
トークの後半に、デザインという言葉がいろんな領域によって多様な解釈がされている、というお話がありました。ドミニクさんはクリエイティブ・コモンズに出会ったことで、プロダクトとしてのデザイン、システム(設計)としてのデザインを意識するようになったそうです。
年々新しい基準が生まれ、デザインの領域が広がっているとはいえ、なんでもかんでも「デザイン」ではなくやはりGマークは「デザイン」である → その境界線があるとしたら、クオリティなのか、意図なのか → なんでも凄ければいいというわけではない。みんなが「そうなったら正しい」というものをグッドデザインと言いたい → ツールであるということ。ミッション、役割があるということ → デザインの中でも「グッドデザイン」には基準がいる。デザインはいろんなデザイナーが言語化しようとしているができていない → 言語化はできているが、共有言語化できていない(←このやりとりが個人的にたまらなく好きでした。
ここまでは私の独断と偏見で、全体のほんの一部の紹介しかできていないので、少しでも興味が湧いた方は、Youtubeに公式ログが残っているので実際のトークを聞いてみてください。(上に書いた私の好きなやりとりは50:45〜あたりから聞けます)
感想
普段つくったり考えたりしている狭い世界のデザインではなく、もっと大きいスケールで見た“デザイン”のお話しを聞くことができました。フォーカスイシューディレクターのドミニクさんが、「破壊的イノベーションと言われるほどアップデートが日々行われる中で、1年に1回のアワードで間に合うのかと思う。」とおっしゃっていたほどに最近の技術進化が凄まじく、うかうかしてられないな…というのが素直な感想です。情報社会のアップデートに置いて行かれないよう精進したいと思います><!