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【イベントレポート】UX&Service Sketch#23 に行ってきた

更新日 2019.12.10
【イベントレポート】UX&Service Sketch#23 に行ってきた

こんにちは、最近髪をばっさり切ったデザイナーの諏訪です。洗って乾かすまでが本当に楽ですね。
さて、今回は先日参加した株式会社リクルートホールディングスMedia Technology Lab.が企画・主催を行なっているUXの勉強会「UX&ServiceSketch#23」のレポートをお送りしたいと思います。

会場はYahoo!JAPANのコワーキングスペース「LODGE」。
飲食OK、他者との積極的なコミュニケーション推奨、広くて綺麗で、今どきな感じです。
(室内の写真を撮るのを忘れてしまったので、気になる方は公式ページを見てみてください。)

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入り口にいた「けんさく」と「えんじん」
キャラクターは見たことがあったのですが、名前は初めて知りました。

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リクルート流-新たな価値のつくり方

今回のテーマは、「リクルート流-新たな価値のつくり方」。リクナビやゼクシィ、ホットペッパーなど、誰もが知っているサービスばかりのイメージのリクルートですが、それががどのように作られているのか、どんなお話が聞けるのか、とても楽しみです!

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「意識」を捉えて届ける体験デザイン

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最初の登壇者は、リクルートジョブズUXDグループマネージャーの福田基輔さんです。人のライフイベントに価値を提供するリクルート社の事業の中で、アルバイトをしたい人に対するプロジェクトを行っている「リクルートジョブス」の仕事の進め方を、事例を挙げて紹介してくだいました。

LINE公式アカウント「パン田一郎」

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福田さんが関わったプロダクトの中で、今回はLINE公式アカウントの「パン田一郎」の制作を例に挙げてお話ししてくださいました。バイトが決まると登録解除やアプリを落とすユーザーが多い中、ほとんどのユーザーが所持している「LINE」で、コミュニケーションをとり続けるために生まれたのがLINE公式アカウントの「パン田一郎」だそうです。2015年度のグッドデザイン・ベスト100も受賞されています。
サービスの継続利用を促す目的と同時に、パン田一郎がユーザーと仲の良い友人になれるよう、ユーザーの意識を考慮した様々な工夫がされていました。

友達っぽくするための施策

【1】返信のタイミング

すぐに返信が来ると自動的・機械的で冷たい印象を感じるため、実際に人とLINEをしているような、程よいタイミングで返信くるように作られているそうです。

【2】口調

facebookやツイッターなど、ファブリックな場所では敬語なのに対し、LINEでも敬語だと仲が良い感じがしないので、部分的にカジュアルな言いまわしをするようにしたそうです。

【3】返答の長さ

当初は「パン田一郎が気が利いてるな〜」と思われるような文言を書いていたそうなのですが、反応が悪かったため修正。仲が良いほど短い文章で会話をするということを感じ、短い文章で返答するようにしたそうです。

話してみた

ユーザーがどう感じるか、パン田一郎がどうしたらユーザーに近い存在になれるか、とても細かく修正されていることがよくわかりました。ここまで聞くとパン田一郎と話してみたくなりますね!早速LINEで友達になってみました。

すごい!本当にそれらしい返答が来ますね。敬語過ぎず、語尾の「…」や「〜」が若干ウザい感じ(笑)も、CMで良くみるパン田くんのダメっぽさとリンクして面白いです。返信もすぐ返してくれるので、無意味に話しかけたくなります。

リクルートジョブス的デザイン思考の取り組み方

最後にリクルートジョブス的デザイン思考の取り組み方についてお話ししてくださいました。
ベースの考えは「LPTDサイクル」。
LPTDとは…
L:Look:見る・振り返る
P:Plan:作る・提供する
T:Think:考える・解釈する
D:DO:計画する
の4つです。プランから始めず、工夫と試行錯誤の繰り返しがポイントということでした。このサイクルで今後もパン田一郎に磨きがかかってくるそうなので、(アルバイトの予定はありませんが)しばらくパン田一郎とは仲良くしたいと思います!

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可能性を信じ、チャレンジし続ける

最後の登壇者はリクルート住まいカンパニーの河本晃卓さんです。
河本さんはさまざまな新規事業に関わっていらっしゃるそうなのですが、その中で子供の見守りサービス「COCOMO」の制作を例に挙げ、ご自身の経験も含めたリーンな事業開発についてお話ししてくださいました。

子供の見守りサービス「COCOMO」

私は初めてこのサービスを知ったのですが、リクルート住まいカンパニーでは不動産を扱うSUUMO以外にも、「住まいを中心とした暮らしの進化を追求し、幸せな個人や家族をもっと増やす」ということミッションとして、いろいろなサービスを展開されているそうです。
COCOMOは2016年度のグッドデザイン賞も受賞しています。Good Design Awardのサービス紹介がとてもわかりやすいので以下に参照させてもらいます。

COCOMOは、登下校をはじめ「今、子どもがどこにいるのか」がわかるようになるサービスです。直径3㎝程のビーコン端末を子どもに持たせると、学校や公園を通ったときに設置された機器が端末を検知し、子どもの位置情報を保護者に通知します。小型で軽量なことに加えて、月額300円と低価格で手軽に利用できます。子どもだけでなく認知高齢者の徘徊防止・捜索にも活用可能です。また、スマホでも検知できるので、地域住民もアプリを入れるだけで見守りネットワークに参加できます。見守りを通じて地域貢献のハードルを下げ、地域コミュニティの活性化による安心安全な社会の実現を目指しています。ビーコンを活用した地域見守りサービス [COCOMO] | 受賞対象一覧 | Good Design Award

なぜこのサービスを考えたのか?

元々地域コミュニティを作りたかったという河本さん。調査すると、親や友人とのつながりはSNSで回復傾向にある一方、地域住民間のつながりは一番薄れていて、またその対応策として様々な取り組みが既に実施されているがなかなか人が集まらない・集まるきっかけがない、という現状がわかったそうです。

そこで、アプローチを変えないといけないと思い、少ない人でもまわる強烈な課題にフォーカスして、徐々に広げていくかたちを考え、地域コミュニティのどんな領域で何が一番必要か?→防犯防災である→その中でも誰に一番に必要か?→小学生の子供を持っている親御さんが必要としている→ここに対するサービスが提供できないか?という流れで、COCOMOの制作がスタート。

そこからはPTAや社内の子供がいる人へヒアリングを行い、子供の居場所、子供がどこにいるかが一番心配しているということで、ビーコンを使った見守りサービスにたどり着いたそうです。

新規事業立ち上げはトラブルばかり

最初は順風満帆に進んでいたものの、ビーコンの検知精度が低かったり、協力的だった先生やPTAの方が子供と一緒に卒業してしまったり、メンバーがミッションから外れ、自分も別プロジェクトを進めなければならないなど、さまざまなトラブルや壁にぶつかったそうです。

とにかく当たってみる。

そんな様々な壁を突破する方法として、「とにかく当たってみる、ドミノを突ついてみる。」ということが大切だとおっしゃっていました。PTAや保護者、町長さんや行政など多様なステークホルダーと接触して関係を構築したり、地域特性を把握して効率よく導入する方法を検討したりと、様々な方向から当たってみることで、一箇所でダメだと言われても別の箇所から突破口が開けることがあるとのことでした。

リーンな事業開発について

最後に、COCOMOの立ち上げから学んだ、新規事業の立ち上げのポイントをまとめてくださいました。

VISION実現に向けた道筋を戦略的に考える

カスタマに自ら会いに行き、友達になる

小さなテストをたくさんする

VISIONを語り、あらゆるチャネルを活用して仲間を増やす

可能性を信じ、チャレンジし続ける(1番大事!)

先に聞いた様々な壁を乗り越えたお話しや、グッドデザイン賞を受賞するまでに至った現在を知るとどれも本当に説得力がありますね!

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感想

大きなサービスを作られているイメージなので、もっと壮大なプロジェクトが動いているような想像をしていたのですが、ひとつひとつ、小さな課題を乗り越えることで、多くの人に愛されるサービスができあがっているということがよくわかりました。ニジボックスでも社内サービスが更に成長できるよう邁進したいと思います!