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クリティカルシンキングとは?メリットや実践方法を徹底解説!

クリティカルシンキングとは?メリットや実践方法を徹底解説!

現代は、企業に求められるニーズが頻繁に変化し、また価値観の多様化が進んでいることから、物事の本質が分かりにくくなっている状況といえます。

この状況はビジネスにも影響が大きく、企業側も物事やニーズの本質を見抜きにくくなっています。そのため、物事の本質を理解できる人材を重要視する企業が増加しており、その一環としてクリティカルシンキングが注目を集めています。

クリティカルシンキングとは、従来の習慣や状況などに影響されず、柔軟な視点から物事の本質を見極める思考方法です。本記事では、クリティカルシンキングのメリットや実施時のステップなどについて詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。


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クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは、物事を批判的な観点から見て本質を判断する思考方法のことで、日本語では「批判的思考」と訳されます。しかし、クリティカルシンキングは欠点の指摘が目的ではありません。物事を検討する際に、前提条件となる考え方について、以下のような視点を重要視する思考法です。

  • 本当に正しいか?
  • 考え方に偏りがないか?
  • 客観的な思考での意見か?

つまり、課題に対してあらゆる視点から疑問を持ち、正しい理論を導き出す思考方法といえます。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

ロジカルシンキングとは、課題や問題に対して筋道を立てて考えながら、主張と根拠を論理的に説明する思考方法です。一方クリティカルシンキングは与えられている前提条件を検証し、他の情報はないか、考えが主観に偏っていないかを検証する思考方法です。

これらの思考方法の違いとしては、ロジカルシンキングは論理的整合性が取れている場合、思考の偏りまでは検証しない点が挙げられます。そのため、過程として論理的な思考を行ったとしても、前提が正しくないまま検討を始めた場合は、結論が誤ったものになる可能性があります。

例えば前提条件が誤っている場合、次の例のように誤った結論が出てしまうため注意しましょう。

  1. 前提①・・・売り上げが伸びている企業はどこも社員数が多い
  2. 前提②・・・自社は売り上げを伸ばしたい
  3. 結論・・・だから採用人数を増やしていく
    ※上記はロジカルシンキングの演繹法(確定した情報や大きな枠組みの原則を用いて、個別の物事を考える推論方法)の例

上記の例の場合、前提①の「売り上げが伸びている企業は社員数が多い」が誤りだった場合、社員数を増やしても売り上げが伸びない可能性があります。つまりロジカルシンキングだけで考えると、考えた結論や施策が意味をなさなくなるリスクがあるということです。

クリティカルシンキングではそもそも前提の検証や不完全性まで含めて考えるため、結論や施策の精度を高めることに役立ちます。

クリティカルシンキングが注目される理由

クリティカルシンキングは近年、特に注目されている考え方です。ここではなぜ注目されているのかについて理由を解説します。

ビジネスでは、時代に合った意見や判断を選択して、顧客のニーズに応えたり、自社の課題を解決したりするアプローチが必要不可欠です。近年は時代の変化や顧客ニーズの変化が激しいため主観的な意見や判断よりも客観的な視点が重要視される傾向にあります。

柔軟な対応が必要となった

顧客ニーズの多様化などによって、ビジネスでは今までの常識が通用しないケースが多くなっています。現代は環境変化の予測が困難な時代ですので、環境の変化に対して柔軟に対応する必要があります。

このような背景から、物事を多角的に捉えて精査や検証を行い、本質を捉える思考法であるクリティカルシンキングが注目を集めているのです。

価値観の多様化

現代はグローバル化の進展やデジタル機器の普及によって、あらゆる文化や生活を学べるようになったことで価値観の多様化が進みました。そのため、企業にはさまざまな価値観に対応して、自社の課題や顧客のニーズに応えることが求められています。

このことから企業には客観的な視点を持った考え方のニーズが高まっているため、クリティカルシンキングを習得した人材が求められているのです。

クリティカルシンキングで得られるメリット

現代社会では多様な価値観やニーズに対応するため、クリティカルシンキングは必要なスキルの1つとされています。そこで、ビジネスにおいてクリティカルシンキングを取り入れて得られるメリットについて詳しく解説していきます。

問題解決能力を高められる

問題の解決方法を検討する際には、状況把握や適切な選択肢の提示など俯瞰的な視点を持って考えないと、ミスやトラブルが起きるリスクが高まります。そこで役立つのがクリティカルシンキングであり、以下のような観点から情報を熟考することが可能です。

  • 適切なアプローチを選択する能力を磨いて、問題解決能力を高められる
  • 物事の矛盾や思考の漏れを見つけて、無駄な情報を切り離せる

そのため、議論や問題解決に向けた取り組みを効率的に行えるようになるでしょう。

物事の本質を見極めやすくなる

クリティカルシンキングは、前提条件から思考を始めるため、答えを導き出す過程で生じる主観や臆測、矛盾点などをそぎ落とせます。客観的な視点を持ちながら不要な情報を減らせるため、議論や意見の内容を核心に近づけられます。

例えば、アイデアの整理や評価を行う際にクリティカルシンキングを活用すれば、本質的な課題解決につながるアイデアを実行できるようになるでしょう。客観的に物事を捉えて本質を理解すれば、ビジネスにおける判断の精度を高められます。

新しい視点やアイデアが生まれる

クリティカルシンキングを身につければ、事実と根拠を多角的な視点から分析を行ったうえで結論を導き出せます。例えば、ある視点では対応策が1つしかないと思われる問題があったとしましょう。しかし、クリティカルシンキングを行えば、前提から見直すため新しい視点の発見や異なる対応策を思いつくことなどが期待できます。

クリティカルシンキングにおける5つの基本姿勢

クリティカルシンキングは、たとえ概要を理解してもすぐに実践することは難しいです。そこで、クリティカルシンキングを身につけるために普段から心がけたい5つの姿勢をご紹介します。

1.前提を疑ってみる

前提を疑うことによって、曖昧な言葉や目的に注目できるようになり、本質を問うことで思考が鍛えられます。また、疑った前提に対して本質を見極められるようになれば、クリティカルシンキングの質を高められるでしょう。

2.目的を常に意識する

「何のために思考するのか」の目的を常に意識することも重要です。例えば、ビジネスでは売り上げの向上や詳細な顧客ニーズの把握などが挙げられます。

正しい課題や目的が定められていないと、無意味な議論や思考に時間を費やす可能性が高くなってしまいます。そのため設定した目的に対して本質的な思考を行うことを意識すれば、目的が明確になりやすいので無駄な手間や時間を省けるようになるでしょう。

3.自分の思考の偏りを意識する

人は生まれ育った環境や経験から、無意識に思考パターンが決まります。そのためクリティカルシンキングでは、自分の思考の偏りをあらかじめ考慮することが大切です。

自分の思考の偏りを意識できれば、「自分の考え方が間違っている可能性がある」「多角的な見方ができていなかった」と自己批判的な思考ができるようになるでしょう。そのため、他の視点や異なる考え方から自分の思考を検証できるようになります。

4.問い続ける姿勢を持つ

クリティカルシンキングでは、目的や課題に対して問い続ける姿勢が重要です。さまざまな課題に対して、思考を継続的に繰り返す必要があります。
例えば、サービスや商品の企画・開発では前提条件から実施方法、マーケティングの展開まで常に検討しなければなりません。たとえ、決定した事柄だとしても状況の変化でその前提条件や決定事項が正しくなくなることもあります。そのうえで、思考として問い続ける姿勢を持つことができればより良い結果につながったり、結果からの改善案を提案しやすくなったりします。

5.事実と意見を見極める

事実とは実際に起きた出来事を指し、意見は出来事に対する一個人の考えを意味します。例えば、「製品の売上が昨日よりも多い」という発言があったとすると、以下のような判断ができます。

  • 「昨日と比べて10%多い」というデータを基に発言している場合は事実
  • 製品が多く売れたという体感・経験談を基に発言している場合は意見

答えが同じ場合でも事実と意見では根拠が異なるため、クリティカルシンキングによる見極めが大切です。

クリティカルシンキング実践時の5ステップ

次に、クリティカルシンキング実践時の5ステップを解説します。このステップに沿って実践すれば、個人における思考だけでなく、議論を複数人で行う場面などでもクリティカルシンキングを有効に活用できるでしょう。

STEP1.目標や目的を明確にする

まずは、クリティカルシンキングを行う目標や目的を明確にしましょう。具体的に「何を」「いつまでに」「どの程度」を設定することが重要です。目指すべき目標や目的が明確ならば、達成に必要な情報やどのような視点で問題を捉えればよいかを把握できます。

STEP2.前提が合っているか正しく把握する

前提に対して、常に疑念を持ちながら検証を進めましょう。物事の検証には、自分の経験や固定観念などの主観が入ってしまうと、分析結果に誤りが出やすくなるため、事実に基づいた検証が大切です。

前提条件に不備があることを想定し、違和感があった場合には納得がいくまで調べたり考えたりすることが重要です。

STEP3.現状の把握と分析を行う

最初に設定した目標や目的の実現に向けて、現在の状況について詳細に把握しましょう。現状把握の精度は、目標・目的達成の可否を大きく左右するため、調査項目の設定を適切に行うことが重要です。

入手した情報に対しては、「意見ではなく事実なのか?」「具体的に数値で表すとどの程度?」などクリティカルシンキングの考え方を活用できれば、現状把握の精度を高められます。

STEP4.課題や矛盾点を書き出す

感情と主観は一切入れず、以下のような手順で事実に基づくポイントを書き出します。浮かび上がった課題や矛盾点が多くある場合には、ジャンルや項目別に分けて記録しましょう。

  1. 具体的に課題や矛盾点を書き出して、視覚化する
  2. 視覚化で明らかになった現状の問題点を分析する

なお、想定外の矛盾や抜け漏れを見つけるためにも、クリティカルシンキングを活用し、念入りに分析を行いましょう。

STEP5.問題の解決策を考える

課題が明らかになった後は、具体的な解決策を考えましょう。解決策を決める際には、「誰が」「何を」「いつまで」「どこで」「どのように」などを具体的に決めることが大事です。また、解決策を実行した後もPDCAサイクルを回し、検証を重ねていきましょう。

クリティカルシンキングを鍛える方法

クリティカルシンキングは自然に身につけられるものではないため、鍛えられる環境を用意したり、意識を変えたりしなければなりません。そこで、クリティカルシンキングを鍛える方法について解説します。

第三者の視点を意識する

第三者の視点を意識すれば、客観的に物事を考える習慣を身につけられます。主観的視点で見れば「うまくやっている」と思っていた場合でも、客観的視点からでは「課題があった」と判明するケースもあるでしょう。

さまざまなシーンで第三者の視点から物事を考えるようにすれば、前提条件を疑う習慣が身につき、クリティカルシンキングを鍛えられます。

日々の生活や仕事でもクリティカルシンキングを意識する

日常的な事柄や業務内では、以下のようにクリティカルシンキングを実践しましょう。

日常的な事柄を深掘りする

常に日頃から目や耳にする事象に関して、なぜそうなるのか、本当にそうなのかという視点を持って深掘りして前提や根拠を疑う

日常業務で鍛える

上司から指示された内容について、認識した情報を主観ではなく、客観的に判断する。多角的な視点から確認すべき内容が明らかになるため、業務の精度向上が期待できる

また会議や打ち合わせの場で積極的に活用できれば、より有意義な内容にできるでしょう。

研修に参加する

クリティカルシンキングは学ぶべき内容が多岐にわたるため、研修形式で学ぶ方法も有効です。具体的には集合型研修、Web研修、社外で開催の集合型研修へ派遣するなどの研修形式があります。

集合型研修はグループワークによる演習であるため、実践的なクリティカルシンキングの習得に適しています。しかし、スケジュールや集合場所の調整が必要であるため、参加者の負担が大きいといえるでしょう。またWeb研修はネット環境と時間を確保すればどこからでも参加できますが、グループワークは行いにくい点がデメリットです。

社外で開催されている集合型研修では、社内での準備や運営の手間がかかりません。しかし、開催している期間内に参加する必要があります。

お伝えしたそれぞれの研修のメリットやデメリットをふまえて、クリティカルシンキングを鍛える手段を検討してみてください。

まとめ

クリティカルシンキングは、物事を捉えるタイミングで前提条件となる考え方や嗜好について振り返り、正しい理論を導き出す思考方法です。クリティカルシンキングを習得することで問題解決能力が高まり、物事の本質を見極めやすくなるといったメリットがあります。

しかし、実施する場合には基本姿勢や実践時のポイントを把握したうえで実施することが大切ですので、本記事で解説した内容を参考にしてください。第三者の視点を意識して、スキルとして鍛えつつビジネスシーンで活用しましょう。

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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