新規事業のアイデア創出のための5つの型とフレームワークを徹底解説!
「ビジネスにUXが重要な理由」を事例を交えて解説!
「新規事業のアイデアを出す必要がある」
そんなとき、あなたはどのように考えますか?
あてもなく途方に暮れてしまいそうな人も多いのではないでしょうか?
そんな方に向けて、この記事では、効率的な新規事業のアイデアの創出方法を事例を交えながら解説していきます。
目次
新規事業アイデアを考える前に知っておきたいこととは?
新規事業に限らず、何かアイデアを考えるときに頭の片隅に置いておきたい言葉を紹介します。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
-『アイデアのつくり方』(ジェームス W.ヤング著)
アイデアとは、何も無いところから突然湧き出るものではありません。
必ず、何か土台があって、複数の組み合わせから生まれるのです。
つまり、思うに任せて新規事業のアイデアを考えてみても、それが出てこないのは当たり前です。
既存の要素の「組み合わせ方」を知らなければなりません。
具体的には、
アイデアの出し方の「型」を知る
ことで、要素を組み合わせることができるようになります。
また、
- アイデアの出し方の「フレームワーク」を知る
- アイデアを考えることをサポートする「ツール」を使う
ことで、より効率的にアイデアを出すことができます。
このことを常に意識しながら、記事を読み進めるようにしてください。
新規事業のアイデア「5つの型」
新規事業のアイデア創出方法には、いくつかの「型」があります。
ここからは、5つの「型」について解説していきます。
どれも「既存の要素をどのように組み合わせるか」を基本としたバリエーションです。
1.コアスキルを軸にアイデアを出す
1つめの型は、会社の持つコアとなるスキルを起点として、新規事業のアイデアを出す方法です。
そのコアスキル自体が独自性があり、高いレベルである場合におすすめです。
既に一定のレベルでのスキルを持っている状態からスタートするので、フィジビリティなど、事業を開始するにあたってのファーストステップに進みやすいのがメリットです。
(例)ネジ製造を営んでいる町工場が、高い技術を活かして家具の製造にチャレンジ
2.顧客の「不」からアイデアを出す
2つめの型は、顧客の抱える「不=課題」からアイデアを出す方法です。
不安に不満、不足など「不」はアイデアの種です。
満足しない理由がわかれば、それを解決することが、新しい事業のアイデアにつながる可能性を秘めているためです。
この型は特に、顧客の数が多く「不」を集めやすいBtoC領域において有効な型です。
(例)買い物の手間が面倒な人向けに、ネットスーパーをはじめた
3.新しいテクノロジーからアイデアを出す
3つめの型は、新しいテクノロジーからからアイデアを出す方法です。
AIにIoT、ブロックチェーンなど、テクノロジーは日々進化し続けています。
テクノロジーとは、「今まで不可能だったことが実現できる」ようになるツールです。
このテクノロジーを起点に考えることで、今までにないアイデアが生まれるかもしれません。
この型は発想ひとつで勝負できるので、資本の少ないスタートアップにも向いています。
(例)AIの音声認識を活用して、レストラン予約を自動化するサービスをはじめた
4.異業種のノウハウを引用してみる
4つめの型は、異業種のノウハウを引用してアイデアを出す方法です。
ある業種の常識は、他の業種では非常識であるケースが多々あります。
異業種のノウハウを、そのまま自身の業種にあてはめてみるだけで、斬新なアイデアになることも。
(例)博物館を参考にしてラーメン博物館をつくった
5.海外からアイデアの種を輸入する
5つめの型は、海外からアイデアの種を輸入する方法です。
4つめの型と少し似ていますが、よりジャンプしたアイデアを閃きたいならこちらの型をおすすめします。
実際、アメリカやヨーロッパでヒットした商品・サービスを参考にした事業が成功をおさめている事例もたくさんあります。
(例)海外の事例を参考に、日本人と親和性の高いSNSをつくった
海外からビジネスアイデアを取り入れる方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
ex.「型」自体も組み合わせることができる
これらの型を複数組み合わせてアイデアを出す方法もあります。
例えば、
2.顧客の「不」からアイデアを出す
4.異業種のノウハウを引用してみる
の2つを組み合わせてみましょう。
顧客からの不満を集めて分析し、異業種でも同様の不満が無いかを調査するということ。
調査でわかったことを用いて、新しいアイデアを生み出すことができそうです。
新規事業のアイデアを生むためのフレームワーク
型はわかったけど、実際にアイデアを出すやり方がわからない…。
そんな方に、3つの「フレームワーク」を紹介します。
KJ法
KJ法は、単純なアイデアから新しいアイデアのヒントを生み、その流れでアウトプットまでできてしまう有名な方法です。
≪KJ法の流れ≫
- ポストイットなどにアイデアを書き出す
- 似たアイデアをグループ化する
- 各グループの相関性を図解する
- グループ名や相関を文書化する
KJ法については以下の記事でも紹介しています。ぜひ併せてご覧ください!
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストとは、アイデアを多角的に考えるためのチェックリストです。
ひとつひとつチェックをしながら、新しいアイデアを考えていきます。
≪9つのチェックリスト≫
- 【転用】他の使い道や、改善することで新しい使い道はないか?
- 【応用】何か、真似できるアイデアはないか?
- 【変更】見た目や音、匂いなどを変えてみるとどうなる?
- 【拡大】何かを加えることで、大きく・強く・高くできないか?
- 【縮小】何かを減らすことで、小さく・弱く・低くできないか?
- 【代用】他に代用できるものはないか?
- 【置換】要素・パターンを入れ替えてみたらどうなる?
- 【逆転】後ろ向きにしたら?上下・左右をひっくり返したら?
- 【結合】組み合わせたり混ぜてみたらどうなる?
ブレインストーミング(ブレスト)
これは、聞いたことがある人も多いでしょう。
アイデアは、ひとりで考えるだけではなく、複数人で出し合った方が、いいものが出る場合があります。
そんなときに使いたいのがブレインストーミングです。
「自由に発言すればいいんでしょ?」と捉えている人もいるかもしれませんが、実施の際に以下の4つのルールを設定すると、さらに実りあるブレストが可能です。
≪ブレストの4つのルール≫
- 他人の発言を批判しない
- 奇抜で斬新、自由な発言を歓迎する
- 質よりも量を重視する
- 他人のアイデアに便乗してよい
より効率的にアイデアを生み出すためのツール利用
アイデア創出の型とフレームワークを理解したところで、次はさらに効率的にアイデアを生み出すために必要なやり方を見ていきましょう。
結論からいうと、「ツールを使う」ことです。
「考える」ことだけに集中するためにツールを使う
例えば、新規事業のアイデア「5つの型」の項で紹介した、2.顧客の「不」からアイデアを出す場合、「不」を集めるだけで膨大な時間がかかってしまうこともあります。
顧客一人一人にアンケートを取って、そのアンケートをエクセルにまとめて…、といったプロセスでは、顧客の少ない業種であれば手作業でもなんとかなりますが、数千、数万単位の顧客がいる場合は無理です。
そこで、本来最も重要かつ人間だけができる、「考える」時間を確保するために、情報収集・分析のツールを上手く使っていきましょう。
例えば、化粧品メーカーがユーザーの「不」を読み取るためにCRM(顧客関係管理)ツールを駆使して、そのデータをもとに新たな商品を開発するケースなど、さまざまな業界でツールが活用されています。
海外から事業アイデアの種を発見するツール事例
ニジボックスでも、上記のようなアイデア創出サポートツール「Traxn」を使った海外調査サービスを提供しています。
ほとんどのサービスは、「顧客/課題/解決策」という構造になっています。
つまり、「誰の/どんな問題を/どうやって解決するか」で捉えることができます。
具体例として、ソーシャルプラットフォーム領域における新規事業のアイデアを出すために調査した事例を紹介します。
1.Tracxnから同カテゴリのサービスを抽出
まずは、Tracxnを使って、海外のソーシャルプラットフォーム市場での既存サービスを抽出します。
続けて、抽出された複数のサービスから、ディスカッションを通して最も調査目的に適した1つのサービスを厳選しました。
2.サービス詳細を調査
1.で選んだイスラエルの「Homeis」というサービスの概要調査、サービス画面、CPS(※)分析を行いました。
(※Customer=顧客、Problem=課題、Solution=解決法)
「概要調査」では、そのサービスの運営企業の情報から特徴までをくまなく調べます。
「サービス画面」では、各機能ごとの実際の画面から、それぞれの機能を詳しく分析します。
「CPS分析」では、主な顧客と彼らが抱える課題、そして課題を解決する機能を分析します。
3.「課題」に着目し、日本でのユーザーニーズを検証します。
「Homeis」は、外国に移住を予定している/移住した人向けのサービスです。
CPS分析で明らかになった顧客の抱える課題は、以下の3つでした。
- 移住先に住んでいる同国出身の人と知り合いたい
- 移住先の情報収集をしたい
- 移住先に関する疑問を解決したい
よって、日本でも同じような課題感を持つユーザー層が存在しないか調査し、その結果をもとに新規事業のアイデアにつなげました。
■参考記事
新規事業のアイデアをカタチにする「想いを現実にする力」の重要性
新規事業のアイデアを効率よく出すためには、
- 型から考える
- フレームワークを使う
- ツールを使う
ことが重要だと理解いただけたかと思います。
でも、この時点ではあくまで「アイデア」止まりです。現実のものにしなければ意味がありません。
では、アイデアをつくった後はどうすればいいのでしょうか?
新規事業は「アイデア」だけでは意味が無い
まず最初に、そのアイデアが実現可能か、新しいビジネスとしての可能性があるのかなど、各種フレームワークを使って評価をすることでブラッシュアップします。
その後ビジネスモデルキャンバス等を使って、より具体的な顧客セグメントやチャネル、リソース等、実際にアイデアをカタチにするための要素を明確にした「新規事業プラン」を立案します。
そして、そのプランをもとに品質を担保しながら、スケジュールを遵守しつつプロジェクト推進していきます。
このように、新規事業のアイデアをプランに昇華しアクションにつなげることで、はじめて会社の収益につながるのです。
アイデアをカタチにするために必要なこと
ここまで、新規事業のアイデア創出について説明してきました。
とはいえ、どんな手法やフレームワークでも、ただそれを知っているだけではビジネスの結果には結びつきません。
結果として実らせるためには、実際に実践する中で経験を積み、手法を自分のものにしてゆく必要があります。
下記資料では、新規事業の立ち上げからリリースまでを具体的にどのように進めるべきなのかについて、よくあるご質問を交えながら解説しています。
ぜひUXリサーチを用いた事業推進への理解を深めることにお役立てください。
また、ニジボックスは、社内新規事業立ち上げのご支援にも携わっています。
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元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
Twitter:@junmaruuuuu
note:junmaru228