アクセス解析とは?目的や進め方、実施する際のポイントなどを徹底解説!
成果が見えづらいといわれるWebサイトの運営には、数字の「見える化」が不可欠です。
アクセス解析はサイト全体のアクセス数、コンバージョン数、ユーザー行動といった要素を深掘りし、改善策を具体的に示す指標となります。
本記事では、アクセス解析の概要と活用方法、おすすめの無料ツール、実施する際のポイントについて解説します。
目次
アクセス解析とは?
アクセス解析とは、Webサイトの現状を定量的に分析し、課題を明確化することです。
具体的にはツールを用いてページビュー数(PV)やセッションといったサイト全体のアクセス数、コンバージョン数(CV)、ページ内のユーザー行動などを分析します。
Webサイトの現状を定量的に把握できるため、課題点を明確化するのに役立ちます。
アクセス解析は、Webサイト運用の成果が思うように出せない、どの程度効果が出ているのかが分からない場合に有用な手段です。
あいまいな改善策ではなく、根拠に基づいてWebサイトの改善を正確に行えるでしょう。
また、アクセス解析はWebサイトのシステム障害、検索順位変動といったリスク対策のためにも重要といえます。
訪問者数の減少やサイトへの流入停止などの異常が突然発生した場合に、迅速に検出して対策するといった対応も可能です。
アクセス解析の3つの目的
アクセス解析を行う目的は、主に「Webサイトの現状の把握」「行った施策の効果検証」「定点観測」の3つです。
いずれもWebサイトの運営に欠かせない要素です。
1.Webサイトの現状の把握
アクセス解析の1つ目の目的は、Webサイトの現状の把握です。
アクセスログに蓄積される属性データ・行動データ・技術環境データを分析すれば、以下のように訪問者の具体的な属性を捉えられます。
アクセス解析では、PV数やCV数といった代表的な指標だけでなく、サイト内の行動データなどを把握しておくことも重要です。
Webサイトの改善には訪問者の行動把握が不可欠であるため、行動データに着目することでWebマーケティング戦略の精度向上が見込めます。
2.行った施策の効果検証
2つ目のアクセス解析の目的は、実施した施策の効果検証をすることです。
アクセス解析によりSEO対策やWeb広告など、Webサイト集客のために実施した施策がどの程度の効果を上げているのかを確認できます。
例えば、新規のランディングページを制作した場合に訪問者数や滞在時間、目標とするアクション(商品購入、問い合わせ、ダウンロードなど)を行ったかどうかを具体的な数値で把握可能です。
また、実施した広告がどのような流入をもたらしたのか、サイトのどの部分で成果を生んだのかといった広告のパフォーマンス評価にも役立ちます。
施策の効果が出ていない場合は要因の解明、改善策の検討が必要です。
アクセス解析で導いた数値の変化に対し実際に行った施策を照らし合わせれば、サイトの評価や改善を行いやすくなります。
3.定期的なモニタリング
アクセス解析の3つ目の目的は、定期的なモニタリングです。
アクセス解析を用いて、Webサイトで設定した月間PV数や資料ダウンロード、問い合わせなど、コンバージョン数の目標達成度のモニタリングが可能です。
個々のページのパフォーマンスや、ユーザーの行動パターン、サイト内の流動性なども視覚的に把握できます。
目標達成に向けた進捗を定期的に確認し、達成度が想定を下回っている場合は、適切な対応策を講じられます。ページ改善やサイト内のナビゲーションの最適化など、具体的な施策を立案・実行するための指標となるでしょう。
目標の設定や改善施策をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
■参考記事:
【保存版】Webサービスの成長に必要な改善業務の「全プロセス」
アクセス解析の実施前に必要な3つの準備
アクセス解析を最大限に活用するためには「目標決定」「データ収集の環境整備」「指標の把握」といった事前準備が不可欠です。
それぞれの具体的な準備方法を見ていきましょう。
1. 目標の決定
Webサイト運営におけるゴールを明確にするためには、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。
KGIはビジネスの最終目標であり、通常は売上増加やリード獲得など、事業目的と直結する具体的な成果を指します。
一方、KPIはKGI達成までのプロセスにおいて達成すべき中間目標です。例えば、Webサイトの訪問者数増加や特定ページへの訪問率向上などが該当します。
KGIとKPIを設定した後は、特定のページのデザイン変更が訪問者の行動にどのように影響するかなど、具体的な仮説を設定します。
「仮説→検証→改善」のPDCAサイクルを意識し、各ステップにおける施策と効果を定量的に評価しましょう。
2. 正しいデータが収集できる環境を整える
Webサイトのアクセス解析を行う場合、正確なデータ収集環境の確保は重要です。
データが正しく収集されていなければ、Googleアナリティクスでの二重計測などにより、実際のアクセス数に比べて多くカウントされるケースもあります。
二重計測のよくある例は、次のようなものが代表的です。
- 同一ユーザーがPCとスマホなどの異なる端末からアクセスした場合に別のユーザーとして計測されてしまう
- 内部スタッフやボットなどによるアクセスがデータに含まれてしまう
不正確なデータが計測・反映されるとアクセス解析の質が落ち、適切な施策が立案できません。
そのため、IPアドレスやユーザーエージェントのフィルタリング設定などを行い、正確なデータが収集できる環境を整備しましょう。
3. アクセス解析の主な指標を把握しておく
アクセス解析をよりスムーズに進めるために、主な指標を事前に把握しておきましょう。
Webサイトのアクセス解析における主な指標には、次の7つがあります。
1. セッション数
セッション数とは、一定期間内にユーザーがWebサイトを訪れ、活動を行った回数です。
ユーザーがサイトを訪れてから30分間無活動の場合、新たなセッションが始まります。
サイトへの訪問頻度や利用度を理解するために有効な指標となります。
2. ページビュー数(PV)
ページビュー数はWebサイト内の特定のページが表示された回数で、特定のページがどれだけユーザーに注目され、閲覧されたかを示す指標です。
同一ユーザーによる複数回の閲覧もカウントに含まれます。
3. ユニークユーザー数(UU)
ユニークユーザー数とは、一定期間内にサイトを訪れたユーザーの総数で、単に「ユーザー数」と呼ぶ場合もあります。
サイトがどれだけの個別のユーザーに届いているかを示す指標です。
同一ユーザーは一度だけカウントされる仕組みとなっています。
4. 回遊率
回遊率とは、1つのセッション内でユーザーが複数のページを訪れる割合です。
回遊率が高い場合はユーザーがサイト内を深く探求しており、コンテンツの魅力が高いといえます。
5. 直帰率
直帰率はユーザーが1つのページだけを訪れ、何も操作せずにサイトを離れる割合です。
直帰率が高い場合、ユーザーが求めていた情報をサイトが提供できていない可能性が考えられます。
逆に、直帰率を下げれば、サイトの滞在時間やページビュー数の増加が期待できます。
6. 離脱率
離脱率は各ページでユーザーがサイトを離れる割合です。
どのページでユーザーがサイトを離れてしまうかを把握し、ページごとの改善点を探り出せます。
離脱率が高いページはユーザーが求める情報が提供できていない可能性があるため、改善の余地があるといえるでしょう。
7. コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)とは、目標とする成果(例:商品購入、エントリー)に至ったユーザーの割合を指します。
コンバージョン率が高いほど、効率よく成果を出せているといえるでしょう。
コンバージョン率の計算方法や改善施策について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
■参考記事:
【知っておきたい】CVRとは?改善の進め方や計算方法を事例を交えて解説!
アクセス解析の大まかな進め方4つのステップ
アクセス解析は大まかに次の4つのステップで行われます。
- 一次情報の獲得
・Webサイトへの訪問者に関する一次情報を収集する
・一次情報の例:ページビュー数(PV)、ユニークユーザー数(UU)、利用端末など - 最終目標や中間目標を達成しているかの分析
・設定した目標(KPI)が達成されているかどうかを確認する
・目標の例:商品の販売数や問い合わせ数など - 目標達成までの仮説課題や改善ポイントの分析
・目標を達成するまでに存在する課題、改善ポイントを分析する
・ユーザーの行動パターンやWebサイトの設計などを考慮に入れながら行う - 改善策の提案
・上記の分析をもとにした改善案を策定する
・具体的なアクションプランの作成と、実施に向けて動き出す段階
4つのステップによってWebサイトのパフォーマンスを向上させ、目標達成に向けた道筋とします。
アクセス解析の際に活用できる無料ツール5選
無料で導入できるアクセス解析ツールを5つご紹介します。それぞれ機能やUIなどの特長が異なるため、使いやすいツールを選択しましょう。
1. Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Webサイトのアクセス解析ツールです。サイトの訪問者数や行動、コンバージョン数などを定量的に観察でき、Webサイトの改善点を明確にし、集客やマーケティング施策の効果測定が可能です。
注意点として、既存プロパティであるUA(ユニバーサルアナリティクス)の計測は2023年7月1日に終了します。既にGoogleアナリティクスを使用している場合、次世代のGA4(Googleアナリティクス4)へ移行が必要です。
2. Googleサーチコンソール
GoogleサーチコンソールはWebサイトのパフォーマンスを監視し、Google検索結果での可視性を向上させるSEO特化型ツールです。最大の特長は、ユーザーがサイトに流入する前の情報が取得できる点にあります。
Googleアナリティクスでは視覚化できない検索クエリーやランキング、インデックス状況などを詳細に把握できます。SEO効果を最大化するための戦略を策定するのに役立ちます。
3. Similarweb
SimilarwebはWebサイトのトラフィック・エンゲージメント・検索キーワードなどを分析し、競合他社とパフォーマンスを比較できるアクセス解析ツールです。業種や地域ごとの市場分析も提供しており、データベースは多岐にわたります。
また、トラフィックのトレンドを追跡し、特定のWebサイトの月間トータルトラフィックを明示します。そのため、特定のサイトにトラフィックを生み出すマーケティングチャネルを見つけ出すことも可能です。
4. Ptengine
Ptengineは、サイト運営を直感的に最適化するプラットフォームです。タグを1つ設置するだけで、分析からABテストまでさまざまな機能を活用できます。地域ごとのアクセス情報も取得でき、地域別の宣伝予算などを効率的に手配可能です。
また、Ptengineではリアルタイムで顧客のアクセス情報を分析でき、色と数字でさまざまな分析ができるヒートマップも扱っています。初心者でも扱いやすく、無料から利用可能です。ただし、無料プランでは1カ月あたり3,000PVまでの計測制限があります。
5. 忍者アクセス解析
忍者アクセス解析は、リアルタイムでサイトのアクセス状況を確認できる無料のアクセス解析サービスです。ユーザーの動きや情報を細かくキャッチし、アクセスログを4カ月間保存できます。
また、携帯電話からのアクセスやさまざまなブラウザーの利用状況も解析できます。そのため、ユーザーの属性や行動パターンをより詳細に分析したい場合に役立つでしょう。
アクセス解析を実施する際のポイント3点
アクセス解析はWebサイト運営の核心的な部分です。
ただデータを収集するだけではなく、何を示しているのかを理解し、適切な戦略を立てる必要があります。
ここでは、アクセス解析を行う際の重要なポイントについて見ていきましょう。
1. 過去のデータとの比較を行い外部要因も考慮する
アクセス解析を実施する際は1回限りの結果と捉えず、過去データとの比較が重要です。
時間軸に沿って変動するトレンドをチェックすれば、サイトのパフォーマンスが向上したのか、あるいは下降したのかを把握できます。
また、競合他社の動きや社会的な出来事も影響を及ぼす場合があります。
アクセス解析でより正確かつ深い洞察を得るためには、内的要因だけでなく外的要因にも注目が必要です。
例えば、特定の期間のトラフィックが上昇した場合に新たなマーケティングキャンペーンの影響なのか、季節性や業界全体のトレンドによるものなのかを考慮しましょう。
2. 分析レポートを共有しユーザー視点の考えを持つ
アクセス解析の結果を単に自分だけで理解するのではなく、レポートはチームや関係者と共有しましょう。
アクセス解析のデータは、Webサイトの問題点を見つけ出し改善するための材料となります。
そのため、共有すれば全員が同じ目標に向かって効率的に取り組みやすくなります。
また、アクセス解析の結果を分析する際には、常にユーザー視点を心掛けましょう。
ユーザーがサイトで何を求め、どのような体験を期待しているのかを推測することで、よりよいサイト改善の方向性を見つけ出せます。
3.ページの優先順位とPDCAサイクルを重視する
アクセス解析データを参考にWebサイトの分析・改善を行う際は、「ページの優先順位をつける」「PDCAサイクルを回す」の2点を重視することを推奨します。
いずれもWebサイトによる成果を向上させるための重要な要素です。
ページの優先順位をつける
Webサイトの全ページを等しく扱うのではなく、各ページの重要度に基づいて分析・改善を行いましょう。
特に、ビジネス目標に直結するページやユーザーエンゲージメントが高いページは、パフォーマンスが全体の成果に大きな影響を与えるため優先度が高いといえます。
PDCAサイクルを回す
Webサイトの改善は一度きりで済ませるのではなく、PDCAサイクル(計画・実行・チェック・改善)を用いて継続的に行うとより高い効果を得られます。
新たな改善点を見つけるためにも、定期的なアクセス解析とデータに基づく改善を行いましょう。
まとめ
アクセス解析は一過性の活動ではなく、サイトの成長と共に継続的に行うべきものです。
PDCAサイクルを用いて情報を定期的に分析し、結果をもとに改善を行えば、Webサイトのパフォーマンスを持続的に向上させることができます。
「長年Webサイトを運営していても成果が出せない」「実施中のマーケティング施策が本当に効果的なのかを知りたい」といった課題を抱えている場合は、まずGoogleアナリティクスなどの無料ツールからアクセス解析を試してみましょう。
とはいえ、手順は理解できても、実践し成果を出すことに難しさや不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があり、実際にサービス成長支援に関しても数多くの案件を経験しています。
下記資料にて、これまでニジボックスがご支援してきた実績を一部ご紹介しています。
ご興味のある方はぜひお気軽に、下記リンクより無料ダウンロードください!
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
X:@junmaruuuuu
note:junmaru228