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【保存版】Webサービスの成長に必要な改善業務の「全プロセス」

【保存版】Webサービスの成長に必要な改善業務の「全プロセス」

Webサービスの成長を目指す上でデータ分析やユーザーインタビューの重要性は理解していても、実際どのような手順で進めれば良いのか?と不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、Webサービスの成長のために必要な改善業務の進め方を、具体的なプロセスに沿って紹介します。

Webサービスの成長に向けて必要な改善業務とは?

スモールKPI再選定

Webサービス成長のための改善業務は、

  • まず必要な準備を行う【準備】
  • 改善サイクルを回していく定常業務に取り掛かる【実行】

に分けて考えます。

準備段階では、目標達成のためには、どんな指標に着目すれば良いか?を明確にした上で、効果的な改善サイクルを回す体制を整えます。

事前に準備した情報を基盤として、実行段階では以下の改善サイクルを回していきます。

  1. 詳細データ分析
  2. ユーザーインタビュー等の定性分析
  3. 施策案出し・実施
  4. 振り返り・評価

本記事では以下、着目するべき指標を明確にするための4ステップを順に紹介します。

  1. KGI/KPI策定
  2. 全体データ分析による重要指標候補の洗い出し
  3. 重要指標の策定&スモールKPI選定
  4. 自動モニタリングシートの作成

■参考記事
【基本編】ユーザビリティテストとは?基礎知識やメリット、準備するものまでやさしく解説!

Webサービス成長のためのステップ1:KGI/KPI策定

Webサービス成長のためには、まず最初に、「どこに向かえばいいのか?」を明確にします
まずは、ビジネス上の指標である、「KGI」と「KPI」を策定するところからはじめましょう。

「KGI」「KPI」の違いは?

KGI(Key Goal Indicator)とは、事業の最終目標の達成度合いを定量的に表す指標のことです。
具体的には、売上高や営業利益などがこれに当たります。

KPI(Key Performance Indicator)とは、KGIの達成度を定量的に評価するための指標のことです。
例えば、WebサイトのCV数や営業の受注数、店舗の来店数などが挙げられます。

KGIが事業全体の最終目標であることに対して、
KPIは営業やマーケティングなど各部署の最終目標となる、と捉えるとわかりやすいかもしれませんね。

担当者が日々着目すべき「重要指標」の必要性

KGIKPI策定

KGIとKPIはあくまで「最終目標」です。
この目標を達成するために、KPIをブレークダウンさせた、KPIの達成度を定量的に評価するための指標を定めておく必要があります。
この指標のことを「重要指標」と呼びます。

例えば、WebサイトのCV数(KPI)に対する重要指標は

  • ページAのリピート率
  • ボタンBのクリック数
  • 申込フォームへの到達率

などが(可能性として)挙げられます。

ここまで細分化するメリットは3つあります。

  • 改善サイクルを効率的に回せる
  • 実施施策の定量的な評価が可能
  • 目標達成に必要な要素や、精度の高い施策検討が可能

つまり、注力すべき箇所(=重要指標)を明確にした結果、関係者間の意思疎通をスムーズにし、かつ改善業務の無駄をなくしながら、各担当者がKPI達成のための具体的なタスクに取り組めるのです。

次のステップ以降は、この重要指標を選定するためのフローを解説していきます。

KPIツリーではなくユーザー視点での目標設定を

「KPIツリーの作成を通して指標を選定するのが効果的」という考えがありますが、Webサービスの場合、KPIツリーの作成は向かないと考えています。

そもそもKPIツリーとは、「事業全体の最終目標であるKGIを達成するためのロジックツリー」を指し、機械的なフレームワークといえます。
抜け漏れなく指標(になりそうなもの)を洗い出すのには有効ですが、「着目すべき指標」が不明瞭になりやすいのが弱点です。

前提として、Webサービスはサービスを利用するユーザーの行動を軸に、成功要因となる指標を洗い出すことが不可欠です。
そのためには「どんなユーザーが、どのように目標に到達しているのか」を第一に考え、改善を進める上での重要指標を見つけていく必要があります。

Webサービス成長のためのステップ2:全体データ分析で重要指標のある「導線」を探す

重要指標は慎重に選定する必要があるので、ステップ2、3で分けて解説します。
重要指標の選定を宝さがしに例えると、ステップ2では宝の地図を探し、ステップ3でその地図を見ながら実際の宝を探すイメージです。
それでは、まずは重要指標の「地図」ともいえる、着目するべきユーザー行動の導線を見極めていきましょう。

KPIまでのユーザー行動には莫大な導線と指標がある

膨大な導線と指標

Webサービス内の目標(KPI)に至るまでのユーザー行動には、さまざまなパターンが存在します。

例えば、「申込フォームからの問合せ」に至るまでには、Webサイト到達→フォーム到達→フォーム入力まで、膨大な導線が存在するのが分かると思います。
さらに、各導線上に複数の指標(遷移率や到達率など)があるので、どの指標に着目すれば良いか、一目で判断するのは非常に難しいです。

そのような場合に頼れるのが「5W1H」です。

「5W1H」で全体データ分析を

5w1hの活用
Webサービス成長の改善業務で大切なのは、ユーザー行動を第一に考えることです。

これを5W1Hにあてはめると、

  • どこで(Where):対象Webサイトにおいて
  • 誰が(Who):どんなユーザーが
  • いつ(When):どのようなタイミングで
  • どのように(How):どのような経路で
  • なにを(What):コンバージョンをする
  • なぜ(Why):どのような心理で

を明らかにするのが重要指標を見極める指針となります。

CV主要導線

具体的に、Googleアナリティクス等の分析ツールから、対象Webサイトの5W1Hを分析していきます。

重要指標の選定のためには、特に「どのように」に注目してみましょう。
コンバージョンの発生数の多い経路、つまり「コンバージョン主要導線」を抽出し、膨大な経路の中から絞り込みを図るのです。

同時に、

  • どんなユーザーが
  • どのようなタイミングで
  • どのような心理で

コンバージョンするのかを考察しておくと、次のステップがスムーズになります。

「誰が」「いつ」は定量で測れますが、「なぜ」は、できません。別途、ユーザーインタビューなどの定性調査を行う必要があります。

この記事では割愛しますが、「なぜ」を明らかにする具体的な方法は、定性調査のユーザビリティテストに関する以下の記事をご参照ください。
【基本編】ユーザビリティテストとは?基礎知識やメリット、準備するものまでやさしく解説!

データ分析の前提と目的について

まず前提として、データ分析には多くの覚えるべき用語や機能、見るべき数値があります。
Googleアナリティクスなどの分析ツールは、このような細かい指標や数値が、すぐにかつ簡単に確認できます。

これはメリットともいえますが、一方で良くない点でもあります。
なぜなら、指標や数値が目につきやすいぶん、その確認ばかりに気を取られてしまいがちだからです。

数多くの指標や数値は、あくまで目標達成の手段です。数値の確認が目的となってしまわないように注意しましょう。

その上で、データ分析の目的とは「成果に繋がる要因の発見や、成果を妨げる課題の発見を通して、正しい施策を実行し、目標達成に繋げる」ことです。
そしてその施策が「改善インパクトが大きく、実現性が容易であるか」を確認することも大切です。

Webサービス成長のためのステップ3:重要指標の洗い出し&スモールKPI選定

ステップ2で、「着目するべきユーザー行動の導線」を発見しました。あとは、ここから重要指標を抽出していくだけです。

ユーザー導線から重要指標を洗い出す

重要指標の洗い出し
「コンバージョンへの貢献度の高い導線」には、KPI向上のカギとなる要素が必ず存在しているはずです。
つまり、導線にある指標=重要指標と考えられます。

各ボタンのクリック数、各ページの遷移率など、導線上にある指標を抜け漏れなく出していきましょう。

厳密には、コンバージョン向上に貢献しない指標もあるかもしれませんが、
全ての指標をモニタリングするわけでは無いので、なるべく細かい単位で洗い出しをすることが重要です。

最も優先度の高い「スモールKPI」を選ぶ

スモールKPI
次は、洗い出した重要指標の中から、特に優先的に改善すべき1つの指標である「スモールKPI」を選定します
1つの指標に着目する理由は、多くの指標を並行して管理すると、施策を実施した際の効果検証が、煩雑になってしまうからです。
ただし、複数指標を管理できる社内体制・リソースがある場合は、問題ありません。

スモールKPIは、以下2つの観点から選定しましょう。

  • 改善インパクトが大きい
  • 実現性が容易

改善によってKPIが大きく向上する可能性があり、かつ、実行コストが少ない指標が理想になります。

この際、ステップ2で分析した、「どんなユーザーがサイトを使っているか」「どんな心理でアクションしているか」を参考にすると、判断がつきやすいです。

Webサービス成長のためのステップ4:自動モニタリングシートの作成

モニタリングシート

Webサービス成長のための【準備編】最後のステップは、スモールKPIの自動モニタリングシート作成です。
これは、モニタリング結果のレポート内の数値取得を自動化し、運用工数を大幅に削減するためです。

例えば、GoogleアナリティクスであればGoogleスプレッドシートとの連携、Adobe AnalyticsであればExcelとの連携により、自動化レポートの作成が可能です。

スモールKPI再選定

【実行編】の定常業務における改善サイクルでは、スモールKPIを常にモニタリングします。
そして1つのスモールKPIが改善しきったと判断した場合、別の重要指標をスモールKPIと定義し改善活動を続け、さらなるWEBサービスの成長を図っていきます。

まとめ

この記事で重要な事項を以下にまとめたので、きちんと理解できているか再度確認をしましょう。
まだ理解できていないと感じたら、該当の項目に戻って復習することが重要です。

  • 「KGI」は事業全体の最終目標、「KPI」は各部署の最終目標(ステップ1)
  • 「重要指標」はKPIを更にブレークダウンさせた、KPIの達成度を定量的に評価するための指標(ステップ1)
  • 重要指標は、「5W1H」を軸にした定量分析を通して洗い出す(ステップ2・3)
  • 「スモールKPI」は重要指標の中から選定した、優先的に改善すべき1つの指標(ステップ3)
  • スモールKPIは、重要指標の中から改善インパクトと実行コストを鑑みて選定する(ステップ3)
  • 重要指標とスモールKPIの定点モニタリングが可能な、自動化レポートを作成する(ステップ4)

Webサービスの改善業務を効果的に進めるには、適切な事前準備が必要です。

Webサービス運用に携わったばかりの方、現状の運用方法に見直しの必要性を感じている方は、ぜひ今回お伝えしたことを、サービスの成長や改善に活かしてくださると嬉しいです!

とはいえ、手順は理解できても、実践し成果を出すことに難しさや不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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