オウンドメディアではカスタマージャーニーが重要! 有効な理由や運営のコツを解説
オウンドメディアの集客を成功させ、効果的に活用するには、カスタマージャーニーの活用が効果的です。オウンドメディアの運用は、効果が出るまでにある程度の時間を要するため、途中で施策の方向性や目的を見失ってしまう方もいるのではないでしょうか。
事前にカスタマージャーニーを作成しておけば、ユーザーのニーズに沿った施策が可能になります。
この記事では、オウンドメディアの運用においてカスタマージャーニーが有効な理由や、運営のコツを紹介します。
目次
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社の商品やサービスを訴求するために企業が立ち上げ、さまざまな情報を発信するメディアのことです。Webサイトや自社ブログだけでなく、パンフレットや広報誌なども広義ではオウンドメディアに含まれます。
オウンドメディアはペイドメディアやアーンドメディアと並び、企業におけるマーケティングを支えるトリプルメディアの一つです。
- オウンドメディア
企業が自社で立ち上げて保有するメディア(Webサイトや自社ブログ、広報誌、パンフレットなど) - ペイドメディア
有料広告を出稿できるメディア(リスティング広告、ディスプレイ広告、テレビCMなど) - アーンドメディア
SNSなど第三者の情報発信により信頼や評判を獲得するためのメディア(SNS、個人ブログなど)
近年は、企業側がユーザーの課題解決に役立つ情報を提供し、ユーザーに商品やサービスに魅力を感じてもらうことで購入に結びつける「コンテンツマーケティング」の活用が一般的です。
企業は、このように特徴が異なるトリプルメディアを併用することで、商品やサービスの情報をユーザーに効率良く届けられます。
オウンドメディアを作る目的・メリット4点
まずは、企業がオウンドメディアを制作する目的や、メリットを解説します。
1.商品・サービスの認知度を高める
オウンドメディアを制作する主な目的には、以下が挙げられます。
- 有益な情報を発信してユーザーの獲得を目指す
- 自社の商品やサービスを知ってもらいファンを作る
- SNSや検索エンジン流入で継続的に閲覧してもらうことで認知度を高める
オウンドメディアには、商品やサービスに直接関係する情報だけを掲載するわけではありません。ターゲットが悩みや課題について検索した際に、自社のオウンドメディアのページがヒットして、商品・サービスを知ってもらうきっかけにすることを目的として運用します。
オウンドメディア内で、商品・サービスのページ以外からのアクセスを増やせば、結果的に自社の商品・サービスを多くの人に知ってもらうことにつながります。
継続的に閲覧してもらえれば、自社商品・サービスに対する認知度が次第に高まり、最終的には新規ユーザーの増加が見込めるでしょう。
2.ユーザーへ新しい価値を与える
オウンドメディアを運用して、ユーザーに商品・サービスの活用方法や新商品・新サービスの情報などを伝えていくと、次第にユーザーの商品・サービスに対する理解度が深まります。そうした積み重ねにより、ユーザーの中で企業への好感度が上昇する効果が期待できます。
オウンドメディアですでに発信した情報をSNSでも公開すれば、自社とユーザー間でSNSを通じてコミュニケーションをとることも可能です。
こうして自社のファンを増やし、ユーザーと信頼関係を築いていく施策は、長期的な継続購入などの成果を生むことにつながります。
3.潜在顧客を獲得する
SEOを意識してオウンドメディアを制作すると、検索エンジンからの流入が期待できます。コンテンツSEOにより、Googleなどで検索されているキーワードに対応するコンテンツを作成すれば、効果的に商品・サービスのPRが可能です。
例えば、ユーザーが「料理 苦手」と検索する際、本心では「使いやすい調理道具」と考えている可能性があります。自社が調理道具を販売している企業なら、ここで「使いやすい調理道具」を紹介するコンテンツを作成すると、このユーザーに見てもらえる可能性があるのです。
このような流れで、オウンドメディアにコンテンツをストックしていくと、ユーザーになりうる潜在層の獲得や、将来的な売り上げアップにつながる効果を期待できるでしょう。
また、オウンドメディアでは、自社の商品・サービスをすぐに購入したいと思っている顕在層のユーザーを集客することも可能です。
顕在層のユーザー向けには、インタビュー記事や体験談などのコンテンツを作成し、実際に自分が商品・サービスを利用しているイメージを持ってもらうことで成果につなげやすくなるでしょう。
4.広告を避ける人へアプローチする
オウンドメディアでは、あくまで自然検索による流入を狙います。自然検索は広告ではないため、広告をブロックしているツールでも問題なく表示されます。
魅力的なコンテンツを作ってストックしておけば、長きにわたってユーザーを集客できる点も、オウンドメディアのメリットです。その点、広告は費用を支払って出稿するため、その効果は一過性といえます。
また、オウンドメディアのコンテンツは、非公開にしない限りインターネット上に残り続けるため、費用をかけずに長期的な流入が期待できます。
商品やサービスを認知する入り口として、広告のほかにオウンドメディアがあれば、潜在層のユーザーにも幅広くアプローチできるでしょう。
オウンドメディアでカスタマージャーニーが有効な5つの理由
カスタマージャーニーとは、ユーザーが商品・サービスを認知して利用・購入するまでの過程を指します。オウンドメディアを効果的に運用するためには、カスタマージャーニーを活用してユーザーの行動を事前に想定することが大切です。
ここでは、オウンドメディアの制作において、カスタマージャーニーが必要になる理由を解説します。
1.オウンドメディアの方向性や狙いを決定できる
カスタマージャーニーでは、購買行動における一連のユーザー体験を、スタートからゴールまで具体的に考えて設計します。
そのため、オウンドメディアの運用を始める前にカスタマージャーニーを作成すれば、どのようなメディアにするのか、方向性や狙いを具体的に決められるでしょう。
そして、カスタマージャーニーを可視化したカスタマージャーニーマップを作成すれば、オウンドメディアのコンテンツ作りに活用できます。
カスタマージャーニーマップを作成すると、ターゲットとなるユーザー像や現状のユーザー体験における課題などの認識をチーム内で共有可能です。
結果としてコンテンツ制作におけるチームの方向性が定まり、作成するコンテンツの優先順位が決まるため、オウンドメディア運用の効率化にもつながるでしょう。
カスタマージャーニーマップについては以下の記事で解説しています。
■関連記事:
カスタマージャーニーマップとは?As-IsとTo-Beの2種類の作り方までやさしく解説!
2.プロセスごとのユーザーニーズに合わせたコンテンツを作れる
オウンドメディアを運用するには、まずユーザーニーズの理解が重要です。
カスタマージャーニーを基にカスタマージャーニーマップを作成すれば、タッチポイントやプロセス、フェーズごとにユーザーが必要としている情報や、ユーザーが抱く感情などを整理できるようになります。
こうしてユーザーニーズを把握することで、ユーザーのフェーズごとに合ったコンテンツを作成し、ユーザーが欲しい情報を提供して感情を動かすことが可能になります。
3.コンテンツの内容がブレない
オウンドメディアでは、一貫性のあるコンテンツ作りが重要です。
オウンドメディアの運用を始める前にカスタマージャーニーを作成すると、その後作成するコンテンツの内容がブレにくくなり、常に同じターゲットに向けたコンテンツが作れるようになります。
ここで、ポイントとなるのがペルソナです。カスタマージャーニーの作成時には、まずターゲットとなるユーザー像としてペルソナを設定します。
ペルソナとは、商品・サービスを利用・購入する架空の人物像のことであり、年齢や職業、居住地、趣味などできるだけ詳細に設定するものです。ペルソナの設定によって、カスタマージャーニーの具体性が高まれば、より効果的なコンテンツを作成できるでしょう。
ターゲットとなるユーザーの検索意図に沿って、一貫性のある適切なコンテンツを投入していくと、商品やサービスに対するユーザーの認知度を効果的に高めることが可能です。
カスタマージャーニーを作成すると、自社の対応にブレがないかをタッチポイントごとに検証できます。検証を積み重ねれば、企業の好感度を高め、自社のファンを増やすことにもつながるでしょう。
ユーザーのファン化は、商品やサービスの継続利用・購入に欠かせません。
カスタマージャーニー作成時にペルソナを設定する際は、以下の記事も参考にしてください。
■関連記事:
カスタマージャーニーにおけるペルソナの重要さと設定方法を解説
4.目標を共有できる
オウンドメディアを制作する際、ユーザーの行動や感情、思考などの情報をカスタマージャーニーマップで可視化すると、ユーザーに対する認識やメディアの課題をチーム全体で統一できます。チーム全体で認識の共有が進めば、ユーザーに対して常に一貫性のある対応が可能になります。
そのため、カスタマージャーニーやマップの作成は、社内における連携強化に欠かせない工程といえるでしょう。
5.運用結果から目的に向けて再設計できる
オウンドメディアの実際の運用結果と、カスタマージャーニーマップと照らし合わせることで、どのプロセスがうまくいっていないのかを具体的に把握しやすくなります。
うまくいっていない箇所をカスタマージャーニーマップで確認して見直しを図り、検証と改善を加えれば、目的に向けてオウンドメディアを再設計することが可能です。
オウンドメディアの運用が順調なケースでも、定期的にカスタマージャーニーの見直しを図りましょう。そうすることで、市場・社会環境の変化に合わせたより効果的なコンテンツ作りが可能になります。
オウンドメディアを効果的に運用するコツ
カスタマージャーニーの質が良くても、オウンドメディアで成果が出ないケースがあります。
ここでは、カスタマージャーニーの効果を最大限生かすためのオウンドメディア運用のコツを解説します。
1.ペルソナを設定する
オウンドメディアを効果的に運用するためには、まずどのような人をターゲットにして制作するのかを考えることが大切です。カスタマージャーニーを作成するときは、より具体的なターゲットを定めるためにペルソナを設定しましょう。
以下のように、まずはターゲットとなるユーザー像を大まかに決め、そのターゲットに対して詳細なペルソナを設定します。
例)ターゲット
- 30代の既婚女性
例)ペルソナ
- 年齢:32歳
- 居住地:東京都世田谷区
- 職業:IT企業勤務
- 家族構成:4年前に結婚したメーカー勤務の夫と2歳の子どもとの3人暮らし
- 趣味:最新コスメの情報収集
- 価値観:効率的に家事をこなせるようになりたいと考えている
ターゲットを基に、自立した人物像としてペルソナを設定することで、よりユーザーのニーズを把握しやすくなります。また、潜在層のユーザーと、オウンドメディアの価値観を近づけることにもつながります。
ペルソナについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
■関連記事:
「ペルソナ」とは?ターゲットとの違いやペルソナ設定の重要性までやさしく解説
2.カスタマージャーニーを見直しながら、コンテンツを見直していく
カスタマージャーニーでは、ユーザーが商品やサービスを購入・利用するにあたって、以下のような「課題・興味関心」から「共有・拡散」までのフローを通ります。
<カスタマージャーニーのフロー>
- 認知・興味
悩みなどを抱えたユーザーが自社商品・サービスと出会い、興味関心を抱く段階 - 情報収集・比較検討
ユーザーが商品・サービスの情報を集めつつ、類似商品・サービスと比較検討する段階 - 行動
お店に足を運んで試着するなど、実際に商品を手に取ってみる段階 - 決定・購入
ユーザーが商品やサービスの購入・利用を決断する段階 - 共有・拡散
ユーザーが商品やサービスの感想を知人などとシェアする段階
そして、上記を可視化したカスタマージャーニーマップを定期的に見直しながら、コンテンツ作りのアイデア出しやWebサイトの改善を行うことが重要です。
コンテンツマーケティングでは、成果が出るまでに時間を要するケースが多いため、途中で施策の方向性や目的を見失いやすい傾向にあります。カスタマージャーニーの見直しを定期的に行えば、施策や方向性のブレを修正することが可能です。
3.情報の鮮度を意識する
オウンドメディアは、扱っている情報が新しいほど、ユーザーにとって有用となります。Webメディアは変化が激しいため、情報が古いとユーザーに怪しまれるなどして、イメージダウンにつながりかねません。
常にユーザーを満足させるためには、古くなった情報を適宜更新し、情報の鮮度を維持していくことが大切です。
4.良質なコンテンツを多く作る
コンテンツが多くても質が低いと効果は薄れ、質が良くても量が少ないと多くの人の目に触れることができません。そのため、オウンドメディアでは、質と量をどちらも重視しながらコンテンツを作り続けることが重要です。
また、SEOを意識してコンテンツを作ることはもちろん、ユーザーが求めている内容を提供して満足感を高めることも大切です。コンテンツをユーザーの視点で作成するなど工夫して、良質なコンテンツを多く作成しましょう。
オウンドメディアでは、一度コンテンツを作れば長期にわたりそれが資産として残ります。
オウンドメディアを閉鎖しない限り、ユーザーを集客し続けられる可能性があることを意識して、長期的な目線でコンテンツ作りをしていきましょう。
5.長期的な運用を想定する
オウンドメディアは成果が出るまでに、早くても3ヶ月、一般的には6ヶ月以上かかると言われています。そのため、オウンドメディアの制作に取り組む際は、はじめから長期的な運用を想定し、継続してコンテンツを作ることが必要です。
そのためには、短期的な成果に振り回されず、長期的な視点で成果をあげられる体制作りを目指しましょう。リソース不足でオウンドメディアの内製化が難しいなら、外注化を検討するのも一つの方法です。
まとめ
オウンドメディアの運用で結果を出すためには、カスタマージャーニーをうまく活用して、ユーザーの行動を事前に想定することが大切です。カスタマージャーニーを賢く活用すれば、オウンドメディアの方向性が定まり、ユーザーニーズに合わせた一貫性のあるコンテンツを作り続けることができます。
カスタマージャーニーを可視化したカスタマージャーニーマップを作成すると、チーム全体でユーザーに対する認識やオウンドメディアの運用における目標を共有できるのもメリットです。また、オウンドメディアの運用結果を見直す際にも、カスタマージャーニーマップを活用することで再設計がしやすくなります。
オウンドメディアのコンテンツに関しては、情報の鮮度や質・量を意識して、継続して作り続けられる体制作りを整えることも重要です。
完成したカスタマージャーニーは定期的に見直して、コンテンツを改善していきましょう。
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元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
X:@junmaruuuuu
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