NIJIBOX

ユーザーテストとは?実施目的やメリット、ユーザビリティテストとの違いを解説

ユーザーテストとは?実施目的やメリット、ユーザビリティテストとの違いを解説

ニジボックスのユーザビリティテストご支援事例を紹介!


ユーザーテストとは、UXデザインとUX改善に欠かせない重要な手法です。
また、ユーザーテストはサービス全体の設計や改善にも役立つため、UXデザイナーはもちろんプロダクトマネージャーやディレクターなど、幅広い職種の方も重要性を押さえておきたいテストです。

そんなユーザーテストの概要と目的、メリット、実施するための方法について網羅的に紹介します。
混同されがちなユーザビリティテストとの違いについても詳しく解説していきます!

ユーザーテストとは?

ユーザーテストとは、端的にいうとプロダクトをユーザーが使ってくれるかを見極めるテストです。

プロダクトは、ユーザーの課題を解決するために生み出すものです。
プロダクトやサービスに関する仮説を検証するため、実際にユーザーの反応を見ながら進めるテストの総称を、ユーザーテストと呼びます
ユーザーテストでは、「このプロダクトで本当にユーザーの課題が解決されそうか?」といった価値検証を行うことができます。

ユーザーテストの目的

上記で述べたように、「プロダクトをユーザーが使ってくれるのかを見極める」ことがユーザーテストの目的です。

提供するプロダクトのコンセプトはユーザーにとって魅力的なものか、プロダクトがリリースされたら実際に使ってみたいと思うかなど、
リアルなユーザーの意見を元に検証し、プロダクトの必要性を判断するためにユーザーテストを実施します。

また、ユーザーテストはプロダクトのコンセプト設計や、ペルソナの初期仮説を明らかにする目的で実施することもあります
まだアイデアベースに過ぎないものをコンセプトまで磨き込みたい、ペルソナに関する仮説を明らかにしたい、そんなタイミングにおいてもユーザーテストは有効です。

ペルソナについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

■参考記事:

誰に対して、どんなテストをするのか?

ユーザーテストにおけるユーザーとは、プロダクトやサービスの仮想ユーザーです。
例えば20~30代の男性をターゲットとした「デート向きの飲食店を検索できるアプリ」なら、「気になる相手とデートするお店を探している人」のように、プロダクトを利用してくれると想定される人が仮想ユーザーとなります。

テスト内容は、主にインタビューやワークによるユーザーのプロダクトに対する評価です。
プロダクトをイメージできるストーリーボードやプロトタイプなどを用いて、「プロダクト/サービスがユーザーにとって価値あるものなのか(=ユーザーの抱える課題を解決できるか)」を深く掘り下げます。
インタビュー対象のユーザーとの会話やユーザーを観察した結果を分析することで、仮説の検証やプロダクトの課題発見が可能です。

ユーザーインタビューについては、下記の記事もぜひ併せてご覧ください。

■関連記事:

3つの観点からみる、ユーザビリティテストとの違いは?

ユーザーテストと似た言葉に「ユーザビリティテスト」があり、同じ意味の言葉として使用されることもあります。
ここではユーザビリティテストは、プロダクトの使用感の検証に特化したもの、ユーザーテストは仮説検証に特化したものとして、両者の違いを整理してみました。

目的

ユーザーテストの目的

「ユーザーがプロダクトを必要としているか」や、サービスのコンセプトやペルソナにおける仮説を検証するため。

ユーザビリティテストの目的

ユーザーがプロダクトを問題なく使えるのかを検証し、ユーザビリティ上の課題を発見すること。

テスト内容

ユーザーテストの内容

アイデア・コンセプト・ペルソナなどの仮説検証や、課題を明らかにするためのインタビューやワークを実施
必ずしも実際に利用できる制作物がなくてもテスト可能。

ユーザビリティテストの内容

プロトタイプや実装レベルのプロダクトを実際に操作してもらい、使いやすさをテスト。

アウトプット

ユーザーテストのアウトプット

ブラッシュアップされたコンセプトやペルソナ、プロトタイプ。

ユーザビリティテストのアウトプット

ユーザビリティが磨かれたプロトタイプや制作物。

ユーザビリティテストについては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

■参考記事:

ユーザーテストを実施するメリット

ユーザーテストをする大きなメリットは、プロダクト開発におけるコストの削減です。

初期段階でユーザーテストをしておけば、特定のユーザーから評価されたコンセプトやプロトタイプを元に開発を進められるため、実装時の修正も少なくなります。
実装に近いタイミングになって、「実際に使ってみると、想定していた課題を上手く解決できるものになっていない」という問題が発生するリスクを避けることができます。
ほとんど開発がほとんど終わったタイミングで大幅な修正が必要になるケースと比較して、コストが大きく削減されるでしょう。

また、潜在的な機会の発見というメリットもあります
ユーザーテストを進める中で、ユーザーからはさまざまな意見を集めることができます。
「こんな風に改善したらより魅力的になりそう」「こんなプロダクトなら使ってみたい」といった意見が出てくれば、当該プロダクトはもちろん、それ以外の製品やサービスにフィードバックするヒントを得る機会も得られるでしょう。

【プロセス別】ユーザーテストで得られる3つのこと

ユーザーテストは、開発のさまざまなフェーズで実施されています。
それぞれのフェーズごとにユーザーテストの実施によって得られることをまとめたので、参考にしてみてください。

①【コンセプトデザイン】コンセプトやペルソナのブラッシュアップ

コンセプトデザインの段階でユーザーテストをおこなうことで、よりユーザー視点に即したコンセプトへとブラッシュアップすることが可能です。
ユーザーのリアルなインサイトを理解することで、ペルソナの解像度を高めることも可能です。

一方で、コンセプトやペルソナの想定と実態に「ずれ」があることが分かる場合もあります。
特に事前の調査・分析を十分実施せずにコンセプトやペルソナを設定した場合、プロジェクトメンバーのバイアスがかかったものである可能性があるため、ユーザーテストによる検証をしておくと安心です。

■参考記事:

②【プロトタイプ制作】デザインプロセス初期段階でのUX改善

プロトタイプができた段階でのユーザーテストは、ユーザーは利用シーンをより明確にイメージできます。
つまり、コンセプトデザインの段階よりも、ユーザーは自身の思考を言語化しやすくなるのです。
その結果、解像度の高い情報を開発側にフィードバックしやすくなることにつながります。
また、デザインや開発プロセスの初期段階でユーザーからのフィードバックを得ておくことで、リソースや費用の損失を防ぎます

■参考記事:

③【プロダクト提供後】リアルなユーザー心理・プロダクトの課題の発見

ユーザーテストは、既存プロダクトのリニューアルにも有用です。
特にBtoCのアプリやWebサービスは、開発側とユーザーが直接コミュニケーションする機会が少ないため、プロダクトを利用した際のリアルなユーザー心理を知ることは、効果的な改善につながります。

また、テストを通してプロダクトの課題が発見できるケースもあります。
ユーザーが感じた不満を改善すべき課題として、より価値のあるプロダクトにするためのヒントを得ることができます。

ユーザーテストの進め方

ここから、ユーザーテストの準備・当日の流れを解説します。

ユーザーテストに必要な5つの準備

ユーザーテストの準備は、対象者のリクルーティングや当日のタスク確認、会場準備など多岐に渡ります。
下記に沿って、1つずつ準備を整えていきましょう。

1. ユーザーテストで明らかにしたい仮説の設定

まずは、どのような仮説をユーザーテストによって明らかにしたいのかを設定しましょう。

アイデアの仮説、ペルソナの仮説、課題に対するソリューションの仮説など、フェーズに応じて明らかにすべきことは異なるはずです。

明らかにしたいことが曖昧だと、テストの内容にぶれが生じて、アウトプットにつながる良い意見を集められない結果につながってしまう恐れがあります
これをプロジェクトや、ユーザーテストに関わるメンバー内で共有しておきましょう。

2. 対象ユーザーのペルソナの把握

次に、ユーザーテストを行う対象のペルソナを設定しましょう

ユーザーの属性(年齢や職業、住居エリア、家族構成など)などを明らかにし、ペルソナまで落とし込むことで、彼らの抱える課題をより正確に把握することができます。

■参考記事:

3. 対象ユーザーのリクルーティング

ペルソナを設定したら、ペルソナに合致するユーザーを探します。
プロジェクトメンバーの人脈で調達するか、パネル会社を利用して調達する2つの方法があります。

前者はよりペルソナに合致したユーザーをリクルートしやすいメリットがある反面、人力で探すため時間がかかることがデメリットです。
後者は効率的に探すことができるメリットがある一方、探したいペルソナ像のユーザーをパネル会社が抱えていないリスクがあります。

4. ユーザーテストで使用するものとタスクの準備

テスト中に対象ユーザーに見せる、プロダクトのイメージができるものを用意しましょう。
ストーリーボードプロトタイプなど、実際の製品・サービスでないものでも構いません。
また、競合のプロダクトを用いてテストをするのも、よりユーザーが利用シーンをイメージしやすくなるため有効です。

続けて、ユーザーへのインタビュー内容やワークの内容を決めます。
いずれも、1で設定した「仮説」を明らかにするということを念頭においた設計をすることが重要です。
インタビューであれば質問リスト、ワークであればテスト対象者にやってもらうことを決めていきましょう。

それぞれのタスク詳細と、誰が実施するのかを1枚のシートにまとめておくと、当日安心です。

ストーリーボードやプロトタイプについては下記の記事もぜひ併せてご覧ください。

■参考記事:

5. 会場準備

最後に、当日の会場と機材を準備しましょう。
会場は自社会議室またはレンタルスペースを押さえておきます。
機材は録音機器や筆記用具、契約書、謝礼が最低限必要なものです。
その他、必要に応じてカメラ(当日の様子や対象者の撮影)や時計も準備しておくといいでしょう。

ユーザーテストの流れ4つのステップ

インタビューなのかワークなのか、テスト形式によっても多少異なりますが、一般的には以下のような流れで実施します。

1. ユーザーテストに関する事前説明

「テストします」と言われると身構えてしまい、プレッシャーを感じてしまう人も多いです。
あくまでプロダクトのテストであり、対象者自身について評価するものではないこと、リラックスして思ったことを口に出してもらいたいという旨を伝えます。

2. ユーザーの利用シーンをヒアリング

テストしたいプロダクトに近しい製品・サービスや、競合のプロダクトを利用しているか、利用しているとすればどのような時に利用しているのかなど、明らかにしたい仮説に基づいた質問で、ユーザーの普段の話をヒアリングしていきます。

このとき、できるだけユーザーの普段の利用シーンを具体的に聞き出すことで、次のステップがスムーズになります

3. リアルな状況設定

2でヒアリングした情報をもとに、ユーザーが日常の中で対象プロダクトを利用するイメージが湧くような状況を設定します。
例えばデート向きの飲食店検索アプリなら、「気になる相手の好きな食べ物を聞いた日の夜に、自宅のソファで食後のビールを飲みながら、グルメ雑誌を参考にしながら検索」のように細かく設定してみましょう。

状況設定について説明しながら、テスト対象となるプロダクトのコンセプトや目的、できることも提示します。

4. ユーザーが感じた価値のヒアリング

プロダクトに対してユーザーがどのように思ったか、適宜質問します。
「これがどんなプロダクトだと理解しましたか?」「今どのように考えていますか?」のようにユーザー心理を引き出す質問を意識しましょう。

ユーザーテストのポイント

ユーザーテストを有益なものとするために、下記のポイントを意識しながら進めていきましょう。

1. テスト対象者は5人前後で

ユーザビリティテストやユーザーインタビューなどの定性調査は5人に対して実施すれば、ほとんどの発見が得られるといわれています。(※)
ユーザーテストも定性調査なので、同じく5人前後の実施を推奨します。

(※)Webサイトのユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセンによると、ユーザビリティテストは5人に行えば約85%の問題を発見できるそうです。その他の「質的な調査」を目的とした定性調査においても、5~6人に行えばそれ以降は新しい発見が得られない傾向にあります。

2. 誘導質問は避ける

「このプロダクトを使いたいと思いますか?」のような、ユーザーを誘導する質問は避けるようにしましょう。
オープン質問からユーザーのリアルな声を拾って分析してこそ、意味のあるテストになります。

まとめ

本記事では、ユーザーテストとは何かについて解説してきました。
よりよいプロダクト・サービス設計・開発を目的としたUXデザインのため、ユーザーからのフィードバックを得る調査方法は多々ありますが、ユーザーテストもその一つです。

ニジボックスではサービスアイデア創出からサービスリリース後の成長支援まで、様々なフェーズにおけるユーザーテストの実施・分析をご支援しています。
また、下記資料では、ニジボックスのユーザビリティテストのご支援内容や、これまでの実施例を一部ご紹介しています。

ご興味のある方はぜひお気軽に、下記リンクより資料を無料ダウンロードください!

ユーザービリティテスト実績資料DLバナー

また、UXデザインのための調査手法についてもっと知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください!

■参考記事:

監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
note:junmaru228