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タグラインとは?具体事例を交えて解説!キャッチコピーやスローガンとの違いも紹介

更新日 2024.2.27
タグラインとは?具体事例を交えて解説!キャッチコピーやスローガンとの違いも紹介

ニジボックスの案件事例をご紹介!


タグラインという言葉を聞いたことがあるけれど、キャッチコピーとどこが違うの?と思っている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、タグラインの定義がよく分からないという方や、これからタグラインを作りたい方に向けて、その本来的な意味や効果、作り方を4STEPで分かりやすく解説します。

タグラインとよく似た言葉である、キャッチコピーやスローガンとの役割の違いもしっかり説明しています。

タグラインとは?

タグラインとは、企業や商品が顧客に提供できる価値を、想いとともに分かりやすく表した短いフレーズのことです。

企業ホームページのTOPでロゴマークに近接していたり、TVコマーシャルで企業名と一緒に出てきたりするので、見覚えのある方も多いかと思います。

<タグラインの例>

  • 株式会社ニトリ 「お、ねだん以上。」
  • カルピス株式会社 「カラダにピース。「カルピス」」
  • カゴメ株式会社 「自然を、おいしく、楽しく。」
  • 小林製薬株式会社 「あったらいいなをカタチにする」
  • 味の素株式会社 「Eat Well, Live Well.」
  • 日立グループ 「Inspire the Next」
  • ナイキ 「Just Do It.」

タグラインの意味

タグラインの意味_画像

タグラインは英語でtaglineと書き、「タグ(tag)」は、物事を認識・識別する付け札やレッテル、またはそれを付けること、「ライン(line)」は一筆、一節を意味します。
直訳するとタグラインは「(企業やブランドを)認識するための一節」です。

例えばお菓子メーカーのタグラインが「すべての人に、からだにやさしいお菓子を」だとしたら、数あるお菓子メーカーの中でも「健康に配慮したお菓子を提供している企業」として認識してもらうための一節と言えます。

タグラインが重要な理由

タグラインは、企業やブランドと顧客との重要なコミュニケーションの手段です。
顧客に対して「あなたにこういうメリットをもたらす商品・サービスです」と示すタグラインは、顧客と交わす「約束」でもあります。

タグラインで企業やブランドの普遍的な価値が明確化されることで、そのアイデンティティを確立し、競合他社との違いや市場におけるポジションを分かりやすくするという効果もあります
このことは自社にとっても、ブランド戦略を展開するうえでの大切な土台となります。

タグラインを補足するステートメント

タグラインを補足するために「ステートメント」という文章を添えることもあります。

ここでのステートメントは、コーポレートステートメントやブランドステートメントとも言われるもので、企業やブランドの価値観や想い、存在意義や使命などを明文化したテキストです。

企業やブランド、商品にかける想いやビジョンをワンフレーズで端的に示すタグラインと、文章で顧客への手紙のように語りかけるステートメントで、一貫したメッセージを伝えることができます。

タグラインと似た言葉との役割の違い

タグライン・キャッチコピー・スローガンの違い

ブランディングにおいて重要な意味を持つタグラインですが、タグラインと区別しづらいと言われる言葉に、「キャッチコピー」と「スローガン」があります。

それぞれの役割をしっかり理解した上で使い分けることが、ブランディングの効果・効率アップのためには大切です。
ここで、3つの言葉の違いを明確にしておきましょう。

タグラインとキャッチコピーの違い

キャッチコピーは、言葉で顧客にメッセージを伝えるという点ではタグラインと共通していますが、キャッチコピーの役割はその名の通り「キャッチすること」です。

生活者全体でなく、特定のターゲットに向けた“キャッチー”な言葉で気を引いて顧客を振り向かせ、販売促進するのが目的です。

ブランドのあり方を定義して中長期的に使い続けるタグラインに対し、キャッチコピーは商品や戦略、トレンドに合わせて頻繁に変更したり、細かなターゲット設定ごとに何種類も使い分けたりします。

また、分かりやすさや伝わりやすさを重視するタグラインと異なり、トレンドを意識した言葉、関心を引きやすい言葉を使ったりするのもキャッチコピーの特徴です。

タグラインとスローガン

スローガンは、企業やブランドの理念や目的を簡潔に言い表した標語やモットーのことです。
マーケティングにおいては主にブランドスローガン、コーポレートスローガンの意味で使われ、企業やブランドの、顧客に対する約束を示したものです。

スローガンの示す内容はタグラインとも共通していますが、タグラインが顧客に向けたメッセージであるのに対し、スローガンは主に社内に向けて作られるという点で異なります
企業やブランドが、自らの価値を定義付け、自分たちの志すべき方向を示したものがスローガンと言えます。

スローガンもタグラインと同様、中長期的に使い続けます。

タグラインの作り方4STEP【事例あり】

タグライン_作り方

タグラインはどのようにして作るのか、その具体的な流れと心がけたいポイントを、事例を交えながら4STEPで解説していきましょう。

ご紹介する事例は、株式会社リクルート様(以下、リクルート様)の『Airリザーブ』のタグラインリニューアルです。
事例紹介ページはこちら

≪予約システム『Airリザーブ』とは?≫
銀行や病院、スクール、ジムなどの来店予約を一括管理できるサービス。POSレジアプリ『Airレジ』をはじめとする、リクルート様の業務・経営支援サービス「Air ビジネスツールズ」のプロダクトの一つ。

【STEP1】企業(商品)のビジョン、ミッション整理

はじめのステップでは、タグラインを作りたい企業・ブランド・商品がどのようなビジョンやミッションを持っているかを整理します。

『Airリザーブ』の場合

  • どのようなビジョンやミッションを持っているか
    「Air ビジネスツールズ」としてのブランドステートメント(ブランドのミッションや価値観、ポジショニングなどを明文化したもの)は、次のように表されています。

     VISION:商うを、自由に。
     MISSION:事業をとり巻く煩わしさを減らす。
     VALUE:【機能的価値】シンプル、カンタン、スマート 【情緒的価値】誰にでも手が届く、信頼
  • どのような課題を持っているか
    元々のタグラインは5年前に作られた「予約管理をシンプルにするWebサービス」でした。
    しかし、このタグラインは今の顧客や社会にとって伝わりづらいものではないか?という課題感を抱えており、リニューアルすることになったのです。

    一方、どのプロダクトにおいても「Air ビジネスツールズ」のブランドステートメントは守りながら顧客体験をアップデートしたいという前提がありました。
    『Airリザーブ』のタグラインリニューアルにおいても、ブランドを正しく理解した上でユーザーにサービスの魅力をより分かりやすく伝えることをリクルート様は望んでいたのです。

【STEP2】同じ業種・業態における他サービス調査

次に、タグラインを作りたい企業や商品・サービスについて、下記を調査・整理します。

  • どのような業種・業態に分類されるか
  • その業種・業態の中でどのような立ち位置であるか

ここでは業種・業態内での自社のポジショニングを把握し、競合他社の動向を知ることが大切です。

【STEP3】サービスの強みの言語化

3つ目のステップは、下記の観点から企業や商品・サービスの強みを洗い出すことです。

  • 顧客にどのような価値を提供しているか
  • 商品やサービスを通して顧客が得られるものは何なのか
  • どんな問題を解決してくれるのか

そして出てきた強みの中から、タグラインに入れたいサービスの強みを言語化しましょう。

強みと言っても、独りよがりに自慢や決意を言葉にするのではありません。
重要なのは、顧客のインサイトを意識してそれに答えることです。
顧客の不安や不満・要望などの深層心理を言語化し、そのインサイトに対して、どんな内容で応じられるかを考えます。

顧客インサイトを捉えるには、商品やサービスが必要となる象徴的なシーンや、顧客との接点を発見するのも有効です。

インサイトについては下記の記事で詳しく説明しています。ぜひ併せてご覧ください。

『Airリザーブ』の場合

『Airリザーブ』の強みを全て洗い出し、「予約システム」の中で競合優位となる要素が複数ありました。
その中でも「どの強みを一番に押し出すのがベストか」をチームで議論しました。

その結果、「毎日の業務負荷が減る」という強みを改めて言語化し、この要素を新しいタグラインに入れることとなりました。

【STEP4】表現の精査

タグライン作成で最後に行うのは、タグラインに入れたいサービスの強みについての表現の精査です。

下記2点を大切にしながら、言葉選びをしていきます。

  • 最も意図が伝わりやすい言葉であること
  • 顧客視点で、インサイトに寄り添う言葉であること

難しい単語や回りくどい言い回し、長すぎるタグラインは避け、誰にでも直感的に理解してもらえるシンプルな分かりやすさを心がけます。

タグラインを設計することは、顧客の体験を設計することでもあります。
企業や商品・ブランドのビジョンやミッションと、顧客のインサイトに応じて設計された顧客体験、そしてタグラインが、一気通貫している状態がゴールです。

これらを全てクリアしていることを前提に、韻を踏んでいたり、リズミカルで頭に残りやすいタグラインにブラッシュアップしたりできると、さらに認知拡大に繋げやすいでしょう。

『Airリザーブ』の場合

「毎日の業務負荷が減る」という強みをどんな言葉で表現するか精査し、最終的に「毎日の業務がカンタンになる予約システム」というタグラインに決定。

例えば「業務」という言葉は「運用」「仕事」「タスク」など、業務と似た意味を表す言葉はいくつかありますが、想定ユーザーにとって馴染みがある表現としては「業務」がベスト、のように一つひとつの言葉選びを慎重に検討しました。

『Airリザーブ』の事例については以下のページで詳しく紹介しているので、こちらもぜひご覧ください!

タグライン単体ではなく、ロゴやデザインと一緒に考えることが重要

タグラインは、コーポレートアイデンティティをテキストで表現したものです。
そのため、タグライン単体ではなく、ロゴやデザインといったビジュアル表現とも連携していくことが大切です。

ニジボックスでは、タグラインやビジュアル表現を含め、ブランディング支援から手掛けるコーポレートサイト制作をお手伝いしています。

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UIデザイン実績資料_ニジボックス
監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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