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UXデザインを本で学びたい人におすすめの書籍7選を紹介

UXデザインを本で学びたい人におすすめの書籍7選を紹介

「UXデザインに興味があるけれど、何から始めれば良いのか分からない」「すでにUXデザインを行っているけれど、より知識を深めたい」など、UXデザインの本を探している方のニーズは人それぞれだと思います。

この記事では、UXデザインに関するおすすめの本を、初心者向け4冊と、中・上級者向け3冊の合計7冊紹介します。自分のレベルに合った、最適な本を選ぶ際の参考にしてください。

UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは

UXデザインのUXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、ユーザー体験を指します。商品やサービス、システムなどを利用する上でユーザーが得る体験の全てを表しています。

例えばビデオ会議ツールであれば、「画面を共有してお互いの顔を見て会話できる」という機能だけでなく、「すぐに使えて便利だった」「移動時間の節約になった」といった体験やそれに伴う感想も全てUXです。

そして、UXデザインとは「ユーザーが最適な体験を行えるよう設計(デザイン)すること」を指します。
UXデザインはUXを直接設計(デザイン)するものではなく、「より良いUXを実現するために設計(デザイン)すること」と考えると分かりやすいでしょう。

UXデザインを行うプロセスには、人間中心設計・ユーザー中心設計、UXリサーチ、ユーザビリティテストなどがあります。

初めてUXデザインに取り組む方は、何から始めれば良いのか分からないと感じることも多いかもしれません。
その場合は、まず初心者向けの本を読み、UXデザインの具体的なやり方を学ぶことがおすすめです。

また、すでにUXデザインを行ったことがあっても、詳しい理論やプロセスの意味について理解している人は少ないかもしれません。
体系的な知識を得た上でUXデザインを実践したいと考えるのであれば、中・上級者向けの本でUXデザインを学び、そのプロセスを行う意味や妥当性への理解を深めていきましょう。

UXデザインについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。

■関連記事:
UXデザインとは?UIとの違いや考え方UXデザイナーの仕事内容など解説

初心者におすすめのUXデザインの本4選

まずは、UXデザインを学び始めたばかりの人におすすめの本を4冊紹介します。

UXデザインに興味があるけれど、何から始めれば良いのか分からない」という方は、この中から自分に合った一冊を選び、UXデザインの基礎を学んでいきましょう。

1.ユーザビリティエンジニアリング

UXデザインを行うプロセスとして、「人間中心設計」や「ユーザー中心設計」という考え方があります。

人間中心設計・ユーザー中心設計とは、ユーザビリティを優先的に考えた設計を行い、設計を実現するためにデザインを進める考え方です。

『ユーザビリティエンジニアリング』は、主に以下の点について解説しています。基本的なUXデザインの考え方や、調査設計手法の基礎・基本を分かりやすく紹介している一冊です。

【例】

  • 「ユーザー中心設計とはどういったものか」といった概論
  • ユーザーインタビューの注意点・設計方法
  • プロトタイプ作成
  • ユーザーテストの概要・実施方法
  • 組織にユーザー中心設計を広める際の成熟度モデルの存在 など

この本では抽象的な概論だけでなく、具体的な手法にも言及されています。
それぞれのプロセスをどのような手法で、どのようなことに注意して行えば良いかのTipsも書いてあるため、実践のためのヒントを得られる点が魅力です。

『ユーザビリティエンジニアリング』は、以下のような人におすすめの本です。

  • ユーザー中心設計とは何か、一から知りたい人
  • ユーザー調査にはそれぞれどのような調査手法があり、どのようなことに気をつけて実践すべきか、基礎を知りたい人 など

■参考書籍:
オーム社、樽本 徹也  著 『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法』

https://amzn.asia/d/7AkNMq6

2.UXリサーチの道具箱

UXリサーチとは、ユーザーがサービスを使用した際に、どのような体験をするのかを把握するために行う調査全般です。

その中でも、ユーザーの課題や潜在的なニーズを含めて、ユーザーが何を求めているかの調査をユーザー調査と呼びます。UXデザインでは目的に応じて適切なユーザー調査を行います。

『UXリサーチの道具箱』では、ユーザー調査におけるインタビューなどの「質的調査」と、アンケートなどの「量的調査」の違いを解説しています。

その上で質的調査にフォーカスし、ユーザーインタビューの際、具体的にどのようなことに注意する必要があるのかなど、具体的な点に言及した一冊です。

また、質的調査の結果をもとに生成するペルソナやユーザーシナリオ、カスタマージャーニーについても、それぞれどのようなもので、基本的にどのように作っていくのかを理解できます。

各章の末尾では、その章のトピックスについてより理解を深めたい方への推薦図書が掲載されています。このように、学びを加速させる道標を示してくれる点も、この本のおすすめのポイントです。

『UXリサーチの道具箱』は、以下のような人に適した本です。

  • ユーザー調査(質的調査)のやり方を具体的に知りたい人
  • ユーザー調査の分析方法を具体的に知りたい人

■参考書籍:
オーム社、樽本 徹也  著 『UXリサーチの道具箱 ―イノベーションのための質的調査・分析』

https://amzn.asia/d/2dD2S3Z

3.UXリサーチの道具箱Ⅱ

いかにユーザーが該当サービスを使いやすいかを表す指標として、ユーザビリティと呼ばれるものがあります。そして、ユーザーがサービスに対して抱える問題の解決策を「検証」するための評価的手法の一つが、ユーザビリティテストです。

『UXリサーチの道具箱Ⅱ』は、このユーザビリティテストにフォーカスし、具体的に説明した一冊です。
この本では、ユーザビリティの定義やどのようにタスク設計をすべきかなどを具体的に解説しています。

『UXリサーチの道具箱』と同様、各章の末尾では、その章のトピックスについての推薦図書が掲載されており、気になる項目に関してより理解を深められます。

『UXリサーチの道具箱Ⅱ』は、以下のような人に適した本です。

  • ユーザビリティテストのやり方を具体的に知りたい人
  • ユーザビリティテストの分析方法を具体的に知りたい人

■参考書籍:
オーム社、樽本 徹也  著 『UXリサーチの道具箱II ―ユーザビリティテスト実践ガイドブック』

https://amzn.asia/d/cXFuBcB

4.はじめてのUXリサーチ

最適なUXリサーチの内容は、自分自身や自身の所属する組織が現状、どのような段階(ステージ)にあるかによって異なります。
『はじめてのUXリサーチ』は、UXデザインを実践するステージを示した上で、以下のような点を実践知に基づいて丁寧にひも解いた一冊です。

【例】

  • ユーザー調査を実施する価値
  • ユーザーの声を聞き続けられる状態を作る方法
  • ステージごとに必要な活動

この本を読めば、UXリサーチの理解・実践・深化・浸透・相互学習について、それぞれの段階でどのようなことを知り、何を行うと良いのかを理解できます。

UXリサーチの実践については「今から始めたい人」「すでに始めているが巻き込み方が分からない人」など、状況によって抱えている悩みも異なると考えられます。
この本は、その悩みを分解した上で、各ステージにおいて有用な情報を実践に基づいた形で提供している点がおすすめです。

『はじめてのUXリサーチ』は、以下のような人におすすめの本です。

  • UXリサーチを始めたいが何から始めれば良いか分からない人
  • UXリサーチの実践方法の具体ケースを知りたい人
  • UXリサーチを組織へ広めるコツを知りたい人

■参考書籍:
翔泳社、松薗 美帆、草野 孔希  著 『はじめてのUXリサーチ ユーザーとともに価値あるサービスを作り続けるために』

https://amzn.asia/d/21IqgGo

中・上級者におすすめのUXデザインの本3選

ここからは、UXデザインを学び始め、ある程度慣れてきた人におすすめの本を3冊紹介します。
これらの本では、UXデザインの理論やプロセスに関する体系的な知識が得られます。UXデザインへの理解をより深めた上での実践を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

1.UXデザインの教科書

『UXデザインの教科書』は、UXデザインの理論やプロセス、実施手法について、学問的な知識を重視して整理した一冊です。

UXデザインの手法やルールを裏打ちする理論やプロセスを学ぶことで、知識を深めていけます。UXデザインの基礎・基本を知った初学者から、現場におけるUXデザインの実践者まで、幅広い方におすすめの本です。

UXリサーチを行ったことはあるものの、具体的にどういった理論に裏打ちされているかを理解していないケースは案外多いかもしれません。

そのままUXリサーチを進めていくよりも、理論やプロセスを理解した上で体系的な知識をもとに実践できれば、その調査を行う意味や、その調査手法を適用する妥当性についても説明しやすくなります。
そういった点で、UXリサーチの実践と深化をつなぐ一冊としてもおすすめです。

『UXデザインの教科書』は、以下のような人におすすめの本です。

  • UXデザインに関する基礎知識を一通り持っており、それらの知識を理論やプロセスと絡めて、もう一段階深化させたい人

■参考書籍:
丸善出版、安藤 昌也  著 『UXデザインの教科書』

https://amzn.asia/d/9d4sRh9

2.人間中心設計の基礎 HCDライブラリー第1巻

良いUXを生み出すためには、人間中心設計のプロセスを経ることが必要です。

『人間中心設計の基礎 HCDライブラリー第1巻』は、人間中心設計の概要やプロセス、各ステップで用いられる手法、必要とされるコンピタンス、人間工学や認知心理学の知識までを理解できる一冊です。
この本を読めば、人間中心設計の歴史や考え方について知識を深められます。

人間中心設計という言葉はよく耳にするものの、「具体的にどういった歴史があり、どのような考え方で、付随して知るべき関連情報は何なのか」が分からないという人は、この本を読むことでそれらについての理解を深めることが可能です。

『人間中心設計の基礎 HCDライブラリー第1巻』は、以下のような人におすすめの本です。

  • 人間中心設計は知っているが、歴史やプロセス、各ステップで用いられる手法について知識をもう一段階深めたい人

■参考書籍:
近代科学社、黒須 正明  著、松原 幸行、八木 大彦 、 山崎 和彦 編集 『人間中心設計の基礎 HCDライブラリー第1巻』

https://amzn.asia/d/gJ4dNkd

3. The Elements of User Experience 5段階モデルで考えるUXデザイン

UXの要素を戦略・要件・構造・骨格・表層の5段階に分類した考え方を、「UXの5段階モデル」と呼びます。

UXの5段階モデルはUXデザインの指針となる概念図で、優れたユーザー体験を構築するための各要素と、そのつながりを説明したものです。
戦略をベースに、徐々に具体的な段階に進めていくことで、当初の目的から脱線せずに商品・サービスの開発を行えます。

『The Elements of User Experience 5段階モデルで考えるUXデザイン』は、UXの5段階モデルについて、分かりやすく具体的に説明した一冊です。

戦略・要件・構造・骨格・表層の各段階で整理すべきことは何か、それらがなぜ相互にひもづいている必要があるのかを理解する手助けになるでしょう。

この本では、戦略・要件・構造・骨格・表層の各段階について十分なページ数が割かれているため、各段階で何を整理すべきかを明確に把握できます。

また、各段階が相互にひもづくことがなぜ重要なのかについても記載されているため、より理解を深めることが可能です。

『The Elements of User Experience 5段階モデルで考えるUXデザイン』は、以下に当てはまる人におすすめの本です。

  • 優れたユーザー体験を構築するためにはどのような要素が必要か理解したい人
  • UXの5段階モデルの概要は理解した上で「具体的に何を整理すれば各段階の整理が完了したといえるのか」「そのために気をつけるべきポイントは何か」を知りたい人

■参考書籍:
マイナビ出版、ジェシー・ジェームズ・ギャレット  著、ソシオメディア株式会社、上野 学、篠原 稔和 翻訳、 『The Elements of User Experience ~5段階モデルで考えるUXデザイン』

https://amzn.asia/d/09z7uAr

UXデザインは他のデザインを参考にすることで学ぶこともできる

UXデザインは、本でやり方や理論を学ぶ方法もありますが、他の商品・サービスのデザイン事例を見て、どのような効果が得られているのかを確認しながら学ぶことも可能です。

すでに成功しているデザインのポイントや事例を参考にすれば、自社での成功確率を高めることにもつながります。

これから本で学ぼうとしている方も、成功事例も併せて確認することで、より具体的なイメージをつかみやすくなるでしょう。

デザインの参考事例については、以下の記事で紹介しています。

■関連記事:
UI UXのデザインやウェブサイトのデザインの参考になるおすすめサイト39選を紹介

まとめ

UXデザインを学び始めたばかりの人におすすめの本は、『ユーザビリティエンジニアリング』『UXリサーチの道具箱』『UXリサーチの道具箱Ⅱ』『はじめてのUXリサーチ』の4冊です。

「UXデザインに興味があるけれど、何から始めれば良いのか分からない」という方は、この中から自分に合った1冊を選び、まずUXデザインの具体的な手法を学んでみましょう。

UXデザインにある程度慣れてきた人には、『UXデザインの教科書』『人間中心設計の基礎 HCDライブラリー第1巻』『The Elements of User Experience 5段階モデルで考えるUXデザイン』の3冊がおすすめです。

UXデザインの理論やプロセスに関する体系的な知識を得て、より理解を深めた上で実践したい人は、これらの本で学んでみてください。

UX実績資料_ニジボックス
監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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