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UX改善とAI活用、どう組み合わせる?サービス成長の秘密を紐解く! 〜UX/AI サービスグロースガイド〜

UX改善とAI活用、どう組み合わせる?サービス成長の秘密を紐解く! 〜UX/AI サービスグロースガイド〜

ニジボックスの案件事例をご紹介!


目次

はじめに 〜ますます重要度を増していくUXとAI〜

近年、UX(ユーザーエクスペリエンス)とAI(人工知能)はそれぞれ重要度が高まっています。

UXはユーザーが製品やサービスを利用する際の感情や行動を含む全体的な体験を意味し、この体験を最適化することをUXデザインと呼びます。
昨今は市場にサービスやプロダクトが飽和し、どのようにあまたの競合の中から自分たちのサービス/プロダクトをユーザーに選んでもらうかの戦略として、UX(およびUXデザイン)は注目度と重要度を増しています。

一方、AIの進歩はサービス/プロダクトの設計や運用にそれぞれ影響与えており、AIの発展により、今まで人間がいないとできなかったことがどんどんAI化されていき、また、あらゆる領域での効率化と迅速化が期待されています。
もはやAIが次世代サービス/プロダクトの基盤となることは火を見るより明らかです。

ここ最近のUX×AIに関する議論としては「AIを用いたこれからのサービス/プロダクトのUXのあり方」と「AIを利用したUXデザインプロセスの改善」が注目されています。

今回は「AIを利用したUXデザインプロセスの改善」として、ニジボックスが取り組んでいるAI活用事例を共有します。

今回の活用事例紹介について

今回プロンプトを活用しやすいように、実際にありそうな案件シチュエーションになぞらえてAIの活用方法をまとめてみました。

案件概要(設定)

グルメエクスプレスというアプリからレストランへ料理を注文し自宅で料理を受け取れるフードデリバリーサービスの会社からのお問い合わせがありました。
どうやら最近アプリの新規ユーザー獲得に伸び悩んでおり、既存のプロダクトの課題分析なども踏まえて、最適なUX改善のプロトタイプを考えて欲しいようです。

プロセス

弊社ではこういった案件を「サービスグロース支援」として事業理解を行った上で理想のユーザー体験(UX)を定義し、ビジネスの成功をサポートしています。
今回は弊社の標準的なプロセスである 機会発見>顧客/課題発見>コンセプト設計>プロダクト改善 の流れで展開します。
おおむねUXリサーチャーとディレクター(+デザイナー)の2~3名体制でこれらの案件を進めます。

出典:ニジボックス「UXデザイン サービスグロース支援

各ステップについて

今回は各ステップについてそれぞれどんなステップで、UX的に何がポイントで、どのようにAIで効率化できるかを記載しています。

そのほかの補足

・今回の記事およびプロセスはChatGPT Plusを前提として考えられています。

・各プロンプト等々に関しては皆様の社内規定やコンプライアンス、AIに関するリスクなどをご理解された上で利用ください。

それでは始めていきましょう。
これらのAIへの指示と回答は全て こちら で確認することができます。

案件基礎リサーチ-機会発見

どんな案件でもほとんどの場合は基礎的なリサーチから始まります。
大前提なので上記のステップには含まれていませんが、どんな案件でも基礎的な理解なしに進めることはできないでしょう。
今回のグルメエクスプレスはフードデリバリーサービスなので、まずはどんな業界かを調べましょう。

UX的ポイント

最初期のリサーチにおいては何より全貌をつかむことが大事ですが、UXデザインとしては「そもそもなぜこの業界/サービスが成立しているのか」「ユーザーは今どんなふうにしているか」という根底のニーズや課題をつかむことが肝になります。

AIの使い方

AIを使うと、リサーチの手間をグッと短縮することができます。
特に不慣れな業界のおおよその輪郭をつかむことなどに向いており、1~2時間調べてようやく見えてくるような肌感覚を最初の5分でつかめるようなパワフルさがあります。

AIを使ったリサーチの特徴として、正確性を求められるデータや詳細なデータの出力には向いておらず、「それっぽい嘘」をAIが出力してしまうリスクについても知っておいた方が良いでしょう。

その上で、弊社では「ある程度時間をかければ自力でたどり着けそうなこと(けれど時間がかかること)」をAIで調べさせて肌感をつかみ、より細部は人力で調べることが多いです。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

アプリからレストランへ料理を注文し自宅で料理を受け取れるフードデリバリーサービスの業界について調べています。

まず、この業界を成立させているユーザーのニーズを網羅的に洗い出してください。

回答

フードデリバリーサービス業界を成立させているユーザーのニーズは多岐にわたります。このサービスの人気が高まっている背景には、忙しい現代人のライフスタイルや、技術の進化があります。以下は、そのニーズを網羅的に洗い出したリストです。

1.便利さ:

・忙しい日常生活の中で料理をする時間がない人々が、手軽に食事を済ませることができます。

・スマートフォンやコンピュータから簡単に注文できるアクセスのしやすさ。
2.多様性:

参考:プロンプト

発展と応用

今回は業界について聞きましたが、クライアントのサービス概要を伝えてどんなニーズを抑えているかを聞いたり、ユーザー像について聞いたりもできるでしょう。
AIを使えば、最初期のリサーチが素早く完了します。

ヒューリスティック調査(自社/他者)-機会発見

ヒューリスティック分析とは、アプリやWebサイトが使いやすいものになっているかの評価を行うための手法です。UXデザイナーなどの専門家が自らの知識や経験に基づいて行います。

UX的ポイント

ヒューリスティック分析は「ユーザーが特定のゴールに到達できるか」を分析・評価する手法であり、これらを行う際には、まず「何をゴールとして調査を設計するか」を定義する必要があります。この場合のゴールとは単に手続き的なゴール (例:ECサイトで商品を購入した)というだけでなく、もう少しUXの視点を取り入れる必要があります。

UXデザイナーは調査設計フェイズでは、まず「どんなユーザーのどのようなニーズを満たしたいのか」を明確化、そして次に「実際にどのような導線/シナリオで検証すべきか」を分解します。こうすることで、ユーザーのニーズや嗜好やリテラシーなどを踏まえた綿密な調査が可能になります。

AIの使い方

ヒューリスティック分析自体は主観的な評価が必要となるため、現時点でのAIでは代替できませんが、その調査設計および分析は効率化することができます。
(また多くのサービスでは決まっていることと思いますが)サービスのメインターゲットや主要なユーザーニーズが明らかになってない場合はこの辺りも掘り下げる必要があります。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

(機能やサービス概要をインプットし)

このサービスに関してヒューリスティック分析を実施したいと思っています。

まずこのサービスを使うメインユーザー像とニーズなどの必要な情報を定義し、その上でヒューリスティック分析でどんなシナリオを検証すべきか考えてください

回答

ヒューリスティック分析を行う際には、まずサービスを利用する主要なユーザー像を定義し、そのニーズを明確に理解することが重要です。フードデリバリーサービスの場合、以下のようにユーザー像とそれらのニーズを定義することができます。

メインユーザー像とニーズ

1.忙しい職業人:

・ニーズ: 時間節約、簡単な注文プロセス、迅速な配達。

2.食に対する好奇心が強いユーザー:

(中略)


ヒューリスティック分析のシナリオ

1.注文プロセスの簡素化:

・初めてのユーザーがアプリをダウンロードしてから最初の注文を完了するまでのプロセス。

2.検索とフィルタリングの有効性:

・特定の食事制限や好みを持つユーザーが、適切な食事オプションを迅速に見つけることができるか。

参考:プロンプト

発展と応用

AIで洗い出したメインユーザー像とニーズが必ずしも実際のユーザ層と合致しているわけではありませんが、ユーザー像を想像する手段としては十分効果的です。

このように洗い出したユーザー像/ニーズとシナリオも考慮しながら、UXリサーチャーがより精度の高い実際のサービスに即した調査を設計します。

実査を通して出てきた個別の課題に関してもAIとディスカッションしながら改善点を考えることができます。

ユーザー調査(定量)-機会発見

ユーザー調査には定量的/定性的なものの二つが存在します。
そのうち定量的なものとしてはGoogle AnalyticsやKARTEなどの行動データ分析も存在していますが、弊社では基本的にアンケート調査を実施しています。
これは行動データ分析は実績ベースでの分析となり不明確な点も多いが、アンケートは仮説ベースで設問を設計しユーザーに問いかけて検証することができるためです。
GAやKarteなどの行動データは後述の 10.A/Bテストで活用することができます。

UX的ポイント

サービス改善のためのアンケート設計ではユーザーの経験、感情、行動に焦点を当てた質問を作成することになりますが、その際に事前にユーザーの行動や課題に対して精度高くイメージできているととても考えやすくなります。

UXデザイナーは事前のデスクリサーチや対象サービスについて思考を巡らせ、このフローを掘り下げます。

AIの使い方

AIを使えばユーザーの行動や課題を事前にイメージを膨らませたり、具体的なアンケート設問を考えたりすることができます。
また、設問に対しての選択肢も網羅的に洗い出すことができるので、設計を短縮することができます。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

健康意識が高いユーザー向けのサービスを改善したいと考えていて、このユーザーの感情や行動を把握するためにアンケートをしたいです。

どのようなアンケートをすればいいか、項目と選択肢を網羅的に洗い出してください。

回答

健康意識が高いユーザー向けのサービスを改善するためにアンケートを実施する際、ユーザーの感情、行動、ニーズ、およびサービスへの期待を詳細に把握することが重要です。以下に、そのためのアンケート項目と選択肢を提案します。
(中略)
6.フードデリバリーサービスを利用する際、どのような情報があれば選択に役立ちますか?(複数回答可)

・料理のカロリー表示

・具体的な栄養成分情報(タンパク質、脂質、炭水化物など)

・メニューの原材料

・アレルギー情報

・ユーザーレビュー

・シェフや栄養士のコメント

・その他

参考:プロンプト

発展と応用

何もなしにAIにアンケートだけ作らせると微妙な設問しか出てきませんが、事前にサービスを教えたり、アンケートの趣旨を伝えてから設問を伝えるとかなり精度高く設問が出てきます。その上設問がきちんと趣旨に沿っているかなども確認することで、より精度の高いアンケート設計をすることができます。

ユーザー調査(定性)-顧客/課題発見

UX的ポイント

定性的調査はユーザーを最も深く知ることができるフェイズで、インタビューの設計や回答の分析、行動観察のシナリオ作成や参与観察での理解、エスノグラフィの読み解きなど、その全てにおいてUX的視点が求められます。

とりわけインタビューなどの調査は事前にユーザーの行動や課題に対して精度高くイメージできていると、とても考えやすくなります。

AIの使い方

AIはあくまで膨大なデータによる推論のため、生身の人間のような実在性や一貫性を担保できるわけではありませんが、ある程度回答の幅を予測し仮説建てをサポートすることができます。
例えばインタビューの個別質問の設計の際にAIでシナリオを作り、さらにそこの回答を考えることで、何をどう聞くかをより掘り下げることができます。

ただしどこまで行ってもAIは推論でしかないためこの作業はあくまで事前の仮説建てに止めるべきです。最終的には人間に聞くことで、それらの仮説とも全く違う新たな洞察が得られたり、仮説が大きく外れたりしている可能性もあります。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

このサービスを使うユーザーに関してさらに掘り下げてインタビューをしたいと考えています。

ユーザーのコアな課題の仮説と、それを解き明かすインタビューシナリオをそれぞれ作成ください。

回答

ユーザーのコアな課題の仮説
仮説 1: 栄養情報の不足

健康意識が高いユーザーは、フードデリバリーサービスを利用する際、提供される食事の栄養価について十分な情報が得られないことに不満を感じています。これにより、彼らは自身の健康目標や食事制限に合致した選択が困難になっている可能性があります。
(中略)
栄養情報の不足に関する質問

1.フードデリバリーサービスを利用する際、どのような栄養情報を最も重要視しますか?

2.提供される栄養情報はあなたのニーズを満たしていますか?不足している情報があれば教えてください。

3.栄養情報が不足している場合、あなたの注文選択にどのように影響しますか?

参考:プロンプト

発展と応用

定性的調査は質問者の回答に合わせてその場で臨機応変に設問を掘り下げる必要があり、経験がないとなかなか苦労します。
しかしその上で事前に質問をある程度網羅的に考えられていればそのサポートをすることができます。
また、ここで出てきた回答はその後分析したりペルソナやジャーニーマップの作成に活用しますが、分析をAIで効率化したり、回答からペルソナ像/ジャーニーを図に起こすなども可能です。

なお、インタビューを録音している場合は文字起こしツールなどを使うと効率的に分析することが可能です。

ペルソナ策定-顧客/課題発見

全てのユーザーのニーズを満たそうとすれば結局誰のニーズも満たさない製品が出来上がってしまいます。ペルソナはそういった散漫なデザインとなることを避けるため、架空のユーザー像を具体化することで、本当のユーザー目線に立った判断をするためのツールです。

そのためペルソナを作成する際は、全くの架空のユーザーを作るのではなく実際のユーザーのデータに基づいて作成することが重要です。
これらはデスクリサーチ、定量/定性的調査、クライアントへのヒアリングなどを通して作成されます。(このデータをリサーチせずにAIで代替するのは避けたほうがいいでしょう)

UX的ポイント

ペルソナの難しいポイントは妥当なペルソナを作ること、そしてそれらを活用することの2点です。

作って終わりではなく、「こういうユーザー像がサービスのメインターゲットだよね」「このユーザーなら今のサービスはどう思うかな?」など判断の基準とできるものを目指すことが重要です。

AIの使い方

ペルソナのもととなるデータをインプットし「ペルソナを作ってください」ということが可能です。また、サービスの判断軸となるペルソナの属性を掘り下げて、それらを兼ね備えたペルソナを作ることも効果的です。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

このサービスの典型的なユーザー像をまとめたペルソナを作りたいです。

デザイナーやプランナーがサービスのUXを改善するために必要な判断軸となるような項目を考え、ペルソナを作成してください。

回答

(前略)

ペルソナの概要

名前: 佐藤 桃子(さとう ももこ)

年齢: 32歳

職業: IT企業でのプロジェクトマネージャー

居住地: 東京都内の都市部

家族構成: 独身

ペルソナの背景

ライフスタイル:

忙しい仕事の合間に健康とフィットネスを重視し、週に数回はジムでトレーニングをする。

忙しさの中でもバランスの取れた食生活を心がけている。

テクノロジー利用習慣:

スマートフォンやアプリを活用して日常生活の便利さを追求している。オンラインでのショッピングやサービスの予約に慣れており、新しいテクノロジーに対してオープン。

参考:プロンプト

発展と応用

AIで作るペルソナの良さの一つは、簡易的なシミュレーションであり、個別アイデアをぶつけることで、それがユーザーニーズに合致するか回答を得られることです。
AIでペルソナを作った後は、個別アイデアをペルソナになりきって評価して、と指示することで、アイデアの妥当性を判断することができます。

また、ペルソナのイメージの認識をチームメンバーで統一するため、画像生成でイラストを作成することも効果的です。

カスタマージャーニーマップ策定-顧客/課題発見

カスタマージャーニーマップとは、ペルソナのユーザー体験(行動・思考・体験)を時系列で見える化したものです。カスタマージャーニーマップを作成することによりユーザー体験を可視化し、ターゲットユーザーの理解を深めることができます。

また、現状(As-Is)とあるべき姿(To-Be)のカスタマージャーニーマップを整理することで、現状のユーザー体験にはどのような課題があるのかを抽出し、あるべき姿を達成するためにどのような解決策が必要なのかを検討します。

UX的ポイント

典型的なユーザーであるペルソナがどのような体験をするか、どのような体験が理想的か、そのどちらにもUX的な視点が強く求められます。

UXデザイナーはペルソナに設定されたサービスに求められるゴールを現状のサービスで満たしているか、どのような課題があるかなどを洗い出します。

AIの使い方

現状のサービス、ペルソナをインプットして課題の洗い出し/理想系の模索を行いましょう。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

先ほど作成したペルソナにとってこのサービスはどのような導線・ジャーニーであることが理想的か考えてください。

回答

佐藤桃子さんのペルソナを基に、フードデリバリーサービスの理想的なユーザージャーニー(導線)を構想します。このジャーニーは、彼女がサービスを発見から最終的な食事の受け取り、そしてフィードバックまでの全過程をカバーするものです。

ステップ1: 発見

シナリオ: 佐藤さんは健康的な食事選択を提供するフードデリバリーサービスを友人から聞き、興味を持ちます。

理想的な経験: 簡単にアプリをダウンロードし、健康とウェルネスに焦点を当てたマーケティングメッセージを通じて歓迎される。

ステップ2: 探索

参考:プロンプト

発展と応用

作成したカスタマージャーニーマップはmermaidなどの図表を書き出せる形式に変換することで可視化することが可能です。
Mermaid Live Editorなどを使えば、オンライン上でビジュアルにすることができます。

サービスブループリント策定-顧客/課題発見

サービスブループリントとは、「あるサービス提供のプロセスにおける、ユーザー体験・サービス提供者双方の動きを時系列で表したツール」のことです。

レストランを例に挙げると、ユーザーであるお客さんが入店し、メニューを選び、オーダー、食事して退店するまでの一連の流れの中で、お客さん側のプロセスと、店員側の動き、そして店員が利用するレジなどのシステム処理も含めたレストラン全体のプロセスを視覚化したものがサービスブループリントです。

UX的ポイント

カスタマージャーニーマップで描かれたユーザーの理想的なUXを、より精緻にしたものサービスブループリントであり、これらを作成する際は、顧客の視点からプロセスを捉えることが重要です。顧客がどのようにサービスを体験するかを中心に考え、その経験がどのように形作られるかを理解します。

AIの使い方

今までのようにAIでサービスブループリントを作成させることができますが、これらをmermaidでシーケンス図として可視化すると図式化までを一度に行うことができます。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

このサービスのユーザーと配達員、レストランの理想的な動きをサービスブループリントとして整理してください。

またmermaidでシーケンス図として可視化してください。

回答

サービスブループリントは、サービス提供過程におけるユーザー、フロントステージ(ユーザーに見える部分)、バックステージ(ユーザーには見えない部分)、およびサポートプロセスを包括的に示すツールです。フードデリバリーサービスのケースでは、ユーザー(佐藤桃子さん)、配達員、レストランの動きを含めます。以下に、このサービスブループリントをMermaidのシーケンス図で表現します。

(中略)

参考:プロンプト

発展と応用

サービスブループリントが引けたら、今度はそれぞれの接続部分での課題を洗い出してもらうことができます。CJMAPは一人のユーザーに沿った課題出しですが、サービスブループリントではユーザーとアプリ-レストラン-配達員などの関係や手続きを明確化することができます。

アイディエーション-コンセプト設計

サービス改善のためのアイディエーション(発想プロセス)は、既存のサービスを改善し、顧客にとっての価値を高める新しいアイデアを生み出すための重要なステップです。
ここまで出てきた課題をもとにどんな改善ができるかを発散させましょう。

UX的ポイント

ここまで、ユーザーリサーチ→ペルソナとCJMAP(サービスブループリント)の作成→課題の洗い出し…と積み上げてきた形になります。
洗い出された課題に対するニーズを考え、それらに最適な案を考えます。

この時、具体的な障害や課題に対して解決案を考えるのではなく、その根底にあるニーズにフォーカスして、ユーザーにとって理想的な解決方法は何か?と思考を巡らせる必要があります。

ブレストやKJ法などの手法を使ったり、ワークショップを行ったり、ステージや求められるアイデアなどによって適切な発想方法を選びます。

AIの使い方

AIを使ってアイデアを発散させることもできます。その際、AIは中間のロジックを省きがちなので、きちんと根拠をともなってアイデアを出させることが重要です。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

佐藤桃子さんの課題を改善するのに最適なアイデアを、根拠を持って考えてください。


回答

佐藤桃子さんの主な課題は、忙しい生活の中で健康的な食事を簡単かつ迅速に取り入れること、および選択肢の限定性や栄養情報の不明瞭さにあります。これらの課題に対処し、彼女の体験を改善するためのアイデアを以下に示します。
1.パーソナライズされた健康メニュープランニングと栄養追跡機能

概要

フードデリバリーアプリに、個々のユーザーの健康目標、食生活の好み、アレルギー情報などに基づいたパーソナライズされたメニュープランニング機能を導入します。この機能は、ユーザーに合わせた健康的な食事の推薦、栄養成分の追跡、そして目標達成のための進捗管理を提供します。

根拠

ニーズと課題の直接的な対応: 佐藤桃子さんのような忙しい生活を送るユーザーは、健康的な食事を維持することが難しく、簡単に栄養バランスの取れた食事を選択したいと考えています。パーソナライズされたメニュープランニングは、彼女のニーズに直接対応し、忙しい中でも健康的な選択ができるようにします。

2.情報の透明性の向上

参考:プロンプト

発展と応用

発想させる際に、どのようなアイデアが欲しいか指定することでより状況に即した提案をさせることができます。例えば、堅実-斬新のように方向性を明確にしたり、新規機能提案-既存機能回収-オペレーション改善のようにカテゴリを絞ることも可能です。

また、アイデアを考えさせた後に、ペルソナがどのように使うかの具体的なシナリオ(ストーリー)を洗い出させることもできるため、よりアイデアを掘り下げることも可能です。

アイデア評価-コンセプト設計

対象:UXリサーチャー

新しい事業アイデアや機能回収案などを発散させる際は、アイデア評価を行い、何を実装・遂行するかを決めるために、アイデアを収束させていく必要があります。

UX的ポイント

アイデアの収束法にはいろんな観点がありますが、これまでのリサーチなどをもとにこのサービスにおける理想のUXが見えてきているはずなので、個別アイデアがそのUXの実現に寄与しているかで評価します。

AIの使い方

AIを使ってこのサービスの理想のUXをもとにした、アイデア評価項目を作成しましょう。

この評価が高いアイデアは、サービスの理想のUX実現に与える影響が大きい、というような関係の項目を目指します。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

考えるアイデアが、このサービスの理想的なUXを実現するものとなっているかを判断する汎用的な評価を作成したいです。まずユーザーにとっての理想的なサービスが何かを考えた後に、個別のアイデアを評価するための「このサービス特有のUXの評価項目」を作ってください。

回答

理想的なサービスのUXを実現するためには、ユーザーのニーズ、課題、目標を深く理解し、それらに応えることができる設計を行う必要があります。以下では、まずフードデリバリーサービスにおけるユーザーにとっての理想的なサービスの特徴を概説し、その後、個別のアイデアを評価するためのUX評価項目を提案します。

ユーザーにとっての理想的なサービスの特徴

1.利便性: ユーザーは簡単に食事を注文し、追跡できることを期待します。

2.情報の透明性: 栄養情報、アレルギー情報、メニューの詳細が明確でアクセスしやすい必要があります。
(中略)
このサービス特有のUXの評価項目

1.使いやすさ: アプリまたはウェブサイトのナビゲーションが直感的かどうか。

2.情報のアクセシビリティ: 食事の選択肢や栄養情報がどれだけ簡単に見つけられるか。

参考:プロンプト

発展と応用

基準を決めた後に自分の考えたアイデアを伝えれば、そのアイデアを評価させることが可能です。その際に単なる数値だけでなく、どのような判断で数字をつけたかも説明させることで、より客観的にアイデアを捉えることができるようになります。

実装-コンセプト設計

こうして固まったアイデアを実装し、サービスを改善していきます

ユーザービリティ評価-プロダクト改善

このフェイズでは改善された機能をユーザーに触ってもらい、その満足度を評価します。

ユーザビリティとは、「プロダクトの機能をどの程度ユーザーが容易に操作できるかの度合い」のことです。

ユーザビリティが優れているプロダクトは、ユーザーにとって使い勝手がよく結果的にプロダクト自体の満足度向上にもつながります。

ヒューリスティック分析とユーザビリティ評価の違いは分かりづらいのですが、専門家がユーザーの行動を想定して簡易的に行うのがヒューリスティック分析、実際にユーザーに触ってもらい観察・評価するのがユーザビリティ評価と捉えておけばおおむね問題ないかと思います。
デザインをしているうちに慣れ過ぎて疑問に思わなくなった課題が洗い出されることもあります。

UX的ポイント

UXデザイナーはユーザーに質問したいタスクとゴールを定義し、その後テストシナリオに落とし込みます。これらは「サービス自体でどんな体験をユーザーに提供したいか」から降りてくるものであり、これまでのリサーチやヒアリングなどを前提として設計されます。

AIの使い方

2024年時点では実査自体をAIで代替することは困難ですが、テストシナリオの作成や課題の分析は可能です。

また、タスクとゴールの洗い出しに使うことも効率化につながるでしょう。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

このアプリのユーザザビリティ評価を実施したいです。

アプリのメインのタスクとゴールを定義し、それらをテストシナリオとして分解してください。

また、ユーザビリティでの設問も考えてください

回答

フードデリバリーサービスアプリのユーザビリティ評価を行うには、まずアプリのメインタスクとそのゴールを明確に定義し、テストシナリオを作成します。その後、ユーザビリティテストの際に参加者に尋ねる質問を準備します。

メインタスクとゴール

・タスク1: アカウント作成とログイン

・ゴール: ユーザーがアプリにアカウントを作成し、ログインできる。
(中略)
テストシナリオ

シナリオ1: 新規ユーザーとしてアプリに登録し、ログインするプロセスを完了してください。

(中略)
ユーザビリティテストの設問

1.アプリのナビゲーションは理解しやすかったですか?

2.検索機能はあなたのニーズに合っていましたか?

参考:プロンプト

A/Bテスト-プロダクト改善

ABテストとは、Webサイトや広告などをAとBの2パターン用意することで「より高い成果を得られるパターンはどちらか」を検証するテストです。

例えば自社のWebサイトで現在表示されているものをAパターンとし、問い合わせフォームへのボタンのみ変更したものをBパターンとして、双方のクリック率を見ることで採用するボタンデザインの参考にする、といった使い方をします。

また、Webマーケティングの一手法として活用されることが多いですが、汎用的な考え方としてより広い規模で検証することが可能です。

UX的ポイント

A/Bテストを実施する際、ユーザーに刺さりうる妥当なアイデアを考える必要がありますが、これらはターゲットペルソナやジャーニーを前提とすることで、よりユーザーに訴求できるものになります。ペルソナなどにこれらの参考となる情報がなければ、ペルソナのデータを修正することも考えられます。

AIの使い方

ターゲットやペルソナを渡し、アイデアを考えてもらいましょう。

ChatGPTへのプロンプトとその回答

プロンプト

このサービスの告知の広告を作成したいです。

MAU向上キャンペーン案としてA/Bテストとして一度に3パターン実施したいのですが、ターゲットと狙い、内容、KPIを考えてもらえますでしょうか。

回答

MAU(Monthly Active Users)向上を目指したキャンペーン案をA/Bテストの形式で一度に3パターン実施するには、異なるターゲット層やメッセージ戦略を用いた広告を設計することが効果的です。以下に、それぞれの広告パターンのターゲット、狙い、内容、およびKPIを示します。

広告パターンA: 健康志向の若年層

・ターゲット: 20代~30代の健康とウェルビーイングに関心の高いユーザー

・狙い: 健康的な食生活への関心を刺激し、アプリを通じた健康管理のサポートを提案

・内容: 「忙しい毎日も、健康は手放さない。栄養バランスを考えたメニューで、あなたの健康をサポート。今なら新規登録で初回注文から10%オフ!」

・KPI: 新規登録数、初回注文数、特定の健康メニューの注文率

参考:プロンプト

まとめ-AI時代のUXデザイナーの価値

今回は、架空のフードデリバリーサービスのユーザーの拡大という課題に対してUX改善のプロセスを考えてみました。

UXデザインプロセスにおいてAIの影響はパワフルで、上手に活用することでリサーチからプロトタイピング、アイデアの評価、さらにはユーザビリティ評価やA/Bテストの設計に至るまで、UXデザインプロセス全体を効率化することができます。
これからの時代はこういったデザインの進め方が普及していくでしょう。

一方、これからのUXデザイナーはAIを前提として、より深く・より効率的にUXデザインを実践していく必要があります。

例えば、実際のユーザーからのフィードバックに基づいた洞察を得ることはAIだけではできません。UXデザイナーはよりリサーチや分析に特化し、ユーザーを理解するすべを身に着けることが重要になります。

あるいはAIが苦手とする「判断力」を鍛えていくことも重要です。
AIは「よさそうな案」を出すことはできますが、どれが最適なのかの決断をするものではありません。これらの判断にはUXデザイナーが責任を持つべきでしょう。

いずれにせよUXデザイナーはこれからどうAIを活用していくかを考えていくことが求められます。

ニジボックスでは、AIを効果的に活用しながらも、ユーザー中心の設計思想を保持し、実際のユーザー体験に基づいたUX改善を実現しています。

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
note:junmaru228