【最新】グロースハッカーって何?マーケティングとの違いや必要なスキルを解説!
「ビジネスにUXが重要な理由」を事例を交えて解説!
グロースハッカーとは、プロダクトの成長(グロース)を支える責任者的な存在です。本記事では、グロースハッカーの仕事内容を詳しく解説しています。自社のプロダクトをより成長させるヒントが満載なので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
グロースハッカーとは?
グロースハッカーとは、大まかにいえばプロダクトの責任者のことです。以下で、グロースハッカーについて詳しく見ていきましょう。
グロースハッカーの定義
グロースハッカーとは、グロース(成長)とハッカー(高度な技術的知識を利用して、技術的な課題をクリアする人)が組み合わさった言葉です。技術的な知識を利用してマーケティング上の課題を明らかにし、新しい方法で効率性や生産性を上げ、プロダクトが成長する仕組みを作る人を指します。
グロースハッカーはマーケティングをプロダクト開発のプロセスと同様に重視し、プロダクトが自律的に成長する仕組みを作ります。
近年、世界でグロースハッカーの重要性が高まる中、日本でもグロースハッカーが増えてきました。グロースハックについては以下の記事でも詳しく説明しています。こちらの記事もぜひご覧ください!
実は2010年からある言葉
実は、グロースハッカーという言葉は、2010年7月にショーン・エリス氏が、「STARTUP MARKETING」というブログで述べたのが始まりと言われています。
シェーン・エリス氏は、伝説的なグロースハックの事例を持つDropbox社でマーケティングアドバイザーとして活躍し、現在はQualaroo社のCEOでプロダクトの改善サービスを提供しています。自らのブログで紹介した活動内容がグロースハッカーとして認知され、世界に広まりました。
グロースハッカーの仕事内容は?
グロースハッカーの主な仕事内容は、プロダクトを成長させることです。ユーザーの声に耳を傾け、データの分析を行いプロダクトをユーザーニーズに合致したものに改善します。
グロースハックには、AARRR(アー)と呼ばれる有名なフレームワークがあります。
AARRRの内容は以下のとおりです。
- Acquisition…ユーザー獲得
- Activation…ユーザー活性化
- Retention…継続利用
- Referral…紹介
- Revenue…収益化
グロースハッカーの仕事には、プロダクト開発とマーケティングが含まれています。グロースハックにはAARRRの他にもフレームワークがありますが、いずれもプロダクトの課題をクリアにしていきます。AARRRモデルについては以下の記事で詳しく説明しています。こちらの記事もぜひご覧ください!
グロースハッカーになるにはどんなスキルが必要?
グロースハッカーになるには、以下の3つのスキルが必須と考えられます。
- 分析力(統計学)
- 企画力・設計力
- 改善力
それでは、詳しく見ていきましょう。
分析力(統計学)
グロースハッカーは、対象のサービスやプロダクトが市場やユーザーニーズにマッチしているのかを、データに基づいて分析し、的確な判断を下すスキルも必要です。
X(旧Twitter)を例に挙げてみます。集めたデータから、5〜10人をフォローした新規ユーザーはXへの定着率が高いことが仮説立てされました。そこで、初回登録時に5人をフォローさせる導線を設定した結果、Xに定着するユーザー数は格段に増加しました。
また、統計学の知識を持つことで、グロースハックに欠かせないデータ・ドリブンのアプローチが取れます。ABテストやデータ分析にも必要となる知識ですので、グロースハックを学びたい方は、統計学も押さえておきましょう。
企画力・設計力
グロースハッカーはユーザーの共感を得るための改善や施策を行う必要があるため、企画・設計の能力が必要になります。例えば、広告費やマーケティングなどの予算を適切に計画し、プロダクトを成長させる仕組みを立案することが求められます。
改善力
グロースハッカーは、プロダクトを継続的に改善していく必要があります。グロースハッカーとして活躍する方の中には、プログラミングのスキルや分析手法のスキルを持ち合わせた方もおり、それらのスキルはプロダクトを改善するときに役に立ちます。プログラミングなどのスキルは必ず求められるわけではありませんが、チームを結成するときは技術者も必要であることを頭に入れておきましょう。
グロースハッカーに必要な資格は?未経験でもなれる?
グロースハッカーになるために特別な資格は必要ありません。しかし、業務の生産性を向上させるのに役立つ資格はいくつかあり、以下のとおりです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- ウェブデザイン技能士
地道に勉強できる方やグロースハッカーとして活躍したい方は、ぜひ資格を取得してグロースハッカーへの第一歩を進めましょう。
グロースハックとマーケティングはどう違う?
グロースハックとマーケティングは、よく比較されますが異なる意味を持っています。それぞれの違いを確認して、グロースハックについての理解をより深めていきましょう。
マーケティングは、プロダクトが売れるための手法や仕組みを指します。グロースハックもマーケティングの手法を用いますが、さらに「プロダクト自体に成長させる仕組みを入れ込む」のがグロースハックとマーケティングとの違いです。マーケティングとエンジニアリングの両輪でプロダクトが売れるように設計し、ビジネスの成長を促すことをグロースハックと呼びます。
グロースハックには適切な分析が必要
グロースハックには適切な分析が必要です。以下で分析の手法を詳しく見ていきましょう。
分析1. ABテスト
ABテストは、パターンをいくつか用意してユーザーに試し、より効果がある施策を実装します。ページのデザインやレイアウトを複数用意してどちらが効果的かを調べるときに有効です。他にも、キャッチコピーやタイトルなどの比較にも利用されます。グロースハックを行う中で、複数の仮説を検証するのに有効です。ABテストについては以下の記事で詳しく説明しています。こちらの記事もぜひご覧ください!
分析2. コホート分析
コホート分析は、ユーザーを一定の条件(同時期に利用開始したなど)または属性(年齢や居住地など)によってグループ分けし、グループごとに時間経過による行動の変化を分析する手法です。
現状把握に適しており、例えば利用開始した月ごとにユーザーをグループ分けして動向を見ることで、「●月は継続利用が少ないので何かしらの課題がありそう」「月を経るごとに継続利用率が上がっているから、改善がうまくいっている」というように情報を把握できます。
グロースハックの中では、現状を把握するときに利用すれば、後から実装するときにあらかじめグループ分けができるため、それぞれに見合った施策がすぐに実施できるのも特徴です。
分析3. ファネル分析
ファネル分析とは、AARRRモデルの「どのフェーズでユーザーが離脱してしまっているか」を分析する手法です。例えば、AARRRモデルのRetention(継続利用)が少ない、Referral(紹介)が思うようにされていないなど、問題となっているフェーズを特定することで、効果的な改善施策を検討できます。プロダクトの購入者や登録者が増えてきたら、データを取得して分析を行うのがおすすめです。
グロースハックの手順は?
グロースハックを行うには、以下の手順が必要です。
- プロダクトを開発する
- 現状を把握する
- 課題と原因を模索する
- 仮説を立てる
- 検証する
詳しい手順を以下で見ていきましょう。
手順1. プロダクトを開発する
グロースハックの施策を効果的にするには、自社のユーザーニーズを分析して、ユーザーに支持されるプロダクトを開発することが重要です。また、ユーザーニーズの調査だけでは商品の軸がぶれるので、ペルソナを設定して作成していきましょう。新規商品ではなく既存商品があれば、ユーザーニーズに応えられるように再設計するのがおすすめです。
ペルソナについては以下の記事で詳しく説明しています。こちらの記事もぜひご覧ください!
手順2. 現状を把握する
プロダクトを開発してユーザーを獲得し、利用数も増えてきたら、ユーザーのデータを取得して分析を行います。ユーザーから情報を得るには、アンケート調査や口コミを依頼するのが効率的です。自社システムや他社サービスを利用して、ユーザーのニーズや動向を取得して、細かく分析を行い、現状について把握しておきましょう。
手順3. 課題と原因を模索する
ユーザーのデータを基に、プロダクトの課題を見つけていきます。マーケティングに特化した担当者がいた場合は、経験に基づいた判断で課題と原因を見つけ出せるかもしれません。しかし、グロースハックにおいてはデータに基づいた行動が基本です。したがって、データを基にに考えられる課題と原因をすべて洗い出しましょう。
手順4. 仮説を立てる
課題と原因の洗い出しが完了したら、現状を改善するための対策を考えます。仮説を立てるのは、改善すべき優先度の高い順に行いましょう。このとき、できる限り多くの仮説を立てておきましょう。ただし、全ての仮説を実証するには時間と労力が必要です。そのため仮説を立てた後は、優先度に関連付けて改善ポイントを絞っておきましょう。
手順5. 検証する
仮説を立てたら、検証していきましょう。仮説が複数の場合は、それぞれ1つずつ検証して、どのアイデアが最適であるかを判断しましょう。また、他の仮説を組み合わせることなどで、より良いプロダクトになるかもしれません。データ収集と分析を継続的に実施し、検証結果を基に改善を加えていきましょう。
グロースハッカーに向いている方
グロースハッカー職が向いている方の特徴を紹介していきます。
主体性がある
グロースハッカーは、積極的な改善点の分析や技術者への指示が必要となるため、主体性が求められます。いつも受け身で仕事をしている方よりも、自分が主体となり物事を推進できる方が適していると考えられます。
地道に努力できる
グロースハッカーは、その発祥となったアメリカでは花形的な職種とされており、一見華がある業務に見えます。しかし、プロダクトを成長させるには、地道な努力が必要です。すぐに諦めてしまう方よりも、泥臭さをいとわず仮説検証を何度も繰り返しながら改善し続けられる方が向いています。
幅広い知識を吸収できる
グロースハッカーは、さまざまなツールの活用やマーケティングの知識をインプットし続ける必要があります。特に、IT業界は進化する速度が速く、短いサイクルで目まぐるしく変化するので、日々知識をインプットしていく必要があります。したがって、日頃から新しい知識や情報を積極的に追いかけている方に向いています。
まとめ
本記事では、グロースハッカーについて詳しく解説しました。
グロースハッカーは、マーケターとは違い、マーケティングに合わせて、プロダクトの課題をクリアにして、成長する仕組みを作ります。つまり、プロダクト開発とマーケティングを同じプロセスとして扱い、プロダクトが自律的に成長する仕組みを作り上げることが求められるといえるでしょう。
日本でも、今後グロースハッカーを名乗る方がどんどん増えていくと考えられます。本記事を参考に、ひと足先に取り掛かってみてはいかがでしょうか。
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。
Twitter:@junmaruuuuu
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