ヒューリスティック分析とは?サイト・アプリ改善に効果的な分析手法を徹底解説!
ニジボックスではUX改善支援サービス「Begin UX!」をご提供しています
ヒューリスティック分析とは、Webサイト・アプリをユーザーにとって使いやすいよう改善するために行う分析手法のひとつです。
ユーザビリティテストなどユーザーによる評価と異なり、UI UXの「専門家」が評価するのが特徴です。
この記事では、ヒューリスティック分析の以下について解説します。
- 目的や実施タイミング
- メリット・デメリット
- 具体的な進め方
「Webサイト・アプリのリニューアルを検討しているけれど、現状の課題の発見方法がわからない」といった方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
ニジボックスでは、ヒューリスティック分析から改善画面案作成までをご支援する『Begin UX!』というパッケージサービスをご提供しています。
サイト・アプリのユーザビリティ上の課題を発見したあとに、具体的にどのように改善すべきかまでをご提案し、その後の改善活動をスムーズに実施いただけます。
サービスの詳細については、ぜひ下記ページをご覧ください。
目次
ヒューリスティック分析とは?
ヒューリスティック分析とは、UI UXの専門家がその経験則(ヒューリスティック)からサイト・アプリを評価する手法です。
1990年代、ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士によって提唱され、比較的古くからある分析手法ですが、現在でもユーザビリティ分析でよく使われています。
ヒューリスティック分析で分かること
ヒューリスティック分析で分かることは、分析対象となるサイト・アプリのユーザビリティ上の課題です。
サイト・アプリがアクセスしやすいか、操作方法が分かりやすいかなどの観点で、ユーザーの目的達成の障害となっている課題は何かを発見できます。
例えばECサイトなら、サイト内検索が見つけにくい場所にあると、ユーザーは自分の欲しいものを探すことが困難になります。
このような改善点を、専門家が分析することで洗い出すのがヒューリスティック分析です。
ユーザビリティについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ヒューリスティック分析を行うタイミング
ヒューリスティック分析はどのようなタイミングでも実施できます。
プロトタイプの段階や、完成後およびリニューアルを考えているいずれのタイミングでも構いません。
ただしどのタイミングにおいても、ヒューリスティック分析では、実施する目的(達成したい成果)を明確にしておくことが重要です。
例えば、「ECサイトの売上アップ」「採用サイトからの応募数アップ」「ニュースアプリの会員登録数アップ」などの目的を設定しましょう。
ヒューリスティック分析を行う目的
ヒューリスティック分析を行う目的は、サイト・アプリのユーザビリティに関する課題を発見し、それを改善して成果につなげることです。
ヒューリスティック分析を実施する際は、抽出した課題をまとめた調査レポートを作成しますが、レポート作成が目的ではなく、その後の改善に活かして成果を出すことを目指さなければなりません。
ヒューリスティック分析は売上アップやコンバージョンアップなど、サイト・アプリによって達成したい成果につなげるための分析、と理解しておくことが重要です。
ヒューリスティック分析のメリット・デメリット
ヒューリスティック分析には、導入にあたって事前に把握しておくべきメリットとデメリットがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ヒューリスティック分析のメリット
ヒューリスティック分析のメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 開発の早い段階から実施できる
- 短時間かつ低コストで実施できる
- データでは見えない課題を発見できる
開発の早い段階から実施できる
1点目のメリットは、プロトタイプなど、サイト・アプリが未完成の段階でも着手できることです。
初期段階で実施することで大まかな課題を改善できていれば、その後の工程での手戻りが少なくなり、スムーズに開発を進めることが可能です。
短時間かつ低コストで実施できる
2点目のメリットは、短時間かつ低コストで実施できることです。
ユーザビリティテストなどユーザー参加の調査では、参加してくれるユーザーのアサインといった事前準備に時間がかかり、謝礼などのコストも負荷がかかることが多いです。
上記と比べると、ヒューリスティック分析は比較的短時間で、コストも低く抑えられます。
データでは見えない課題を発見できる
3点目のメリットは、アクセス解析などのデータでは見えてこない課題を発見できることです。制作・開発チームだけでは見えなかった課題も専門家の分析によって見えてくるでしょう。
また、「あるページの直帰率が高い」といった、量的な課題を発見できたとしても、ページのどの部分に課題があるのかはデータからは発見しにくいものです。「なぜ直帰率が高いのか?」という質的な課題の理由を発見できるのもヒューリスティック分析のメリットです。
データでは見えない課題を発見できるということは、データがなくとも実施できるということでもあります。上述したプロトタイプなどアクセスがないプロダクトで実施できるのはもちろん、リリースしたばかりでアクセスデータがまだ少ないサイト・アプリでも実施できます。
ヒューリスティック分析のデメリット
一方で、ヒューリスティック分析のデメリットは、データを根拠としていないことです。
ヒューリスティック分析は、あくまで「専門家の経験則」による分析手法であるため、専門家の経験や知識の偏りによる影響は避けられません。アクセス解析や複数のユーザーテストなど、多くのデータから導き出しているわけではない点に注意しましょう。
そこで重要なのが「ヒューリスティック分析を実施する専門家のレベル」です。
より効果的な分析をするためには、経験豊富なUI UXのプロに依頼するとよいでしょう。
ヒューリスティック分析の5つのステップ

ここからは、ヒューリスティック分析から改善までの具体的な進め方について解説します。
【Step 1】分析する目的の設定
最初に、ヒューリスティック分析の目的を設定します。
「ヒューリスティック分析を行う目的」の章で触れたように、ヒューリスティック分析は、分析の目的(=達成したい成果)を見据えて進めることが重要です。
商品の購入、資料請求の問い合わせ、コンバージョンアップなど、得たい成果はさまざまです。
ひとつのサイト・アプリ内で複数あることも多いでしょう。
しかし、1回のヒューリスティック分析に対しての目的を複数設定してしまうと、次のステップで設定する分析指標を明確に定められなくなるため、目的は1つに絞るようにしましょう。
目的が設定できたら、分析する対象範囲を決定します。
達成したい成果につながるページや、現状問題点が多いと感じているページを選びます。
【Step 2】分析指標の設定
2つ目のステップでは、設定した目的に応じてヒューリスティック分析の分析指標を設定します。
分析指標とは、「どんな観点で分析するか」のチェック項目です。
以下のように、Step 1で設定した目的に応じて分析指標を設定します。
- ユーザーが直感的に操作できるか
- ユーザーがひと目で現在のシステムの状態を理解できるか
- ユーザーが迷わずにアクションできる導線になっているか
分析指標の設定は、ヒューリスティック分析を提唱したヤコブ・ニールセン博士が定めた「ユーザビリティに関する10のヒューリスティック」を参考にしてもよいでしょう。
【Step 3】ヒューリスティック分析を実施
3つ目のステップでは、設定した目的と分析指標に応じてヒューリスティック分析を実施します。
Step 1、Step 2で準備が完了したら、サイト・アプリ(またはプロトタイプなど)を実際に操作・閲覧しながらヒューリスティック分析を進めます。
ユーザビリティ上での問題点を、Step 2で設定した分析指標に沿って記録します。
【Step 4】分析結果から課題を抽出・解決策の設計
4つ目のステップでは、ヒューリスティック分析で記録した問題点をもとに改善するために必要な課題を抽出し、その解決策を設計します。
例えば、「メインビジュアルとコンテンツ内容に整合性を持たせる」「問い合わせフォームへのボタンの視認性を上げる」などです。
また、ヒューリスティック分析では、自社のサイト・アプリと一緒に競合の分析を行うこともあります。
Step 2で設定した分析指標に沿って競合比で相対評価することで、課題がより明確になります。
【Step 5】課題解決のための改善
最後のステップでは、設計した解決策を実施して、課題を解決するための具体的な改善をします。
Step 1で定めた目的に対して効果的な改善となっていたのかを、アクセス解析などを通して振り返ることも忘れないようにしましょう。
このStep 1からStep 5までをスムーズに実施できるようにご支援するサービスが『Begin UX!』です。
『Begin UX!』について詳しく知りたい方はこちら
ヒューリスティック分析で見るべきポイント
ヒューリスティック分析で見るべきポイントは、サイト・アプリの種類や業種・ペルソナによって変わります。しかし、ユーザビリティを評価する上での原則もあります。
ここでは、ヒューリスティック分析によってユーザビリティを評価する上で、参考にするべき2つの指標を紹介します。
ユーザビリティに関する10のヒューリスティック
Webにおけるユーザビリティの第一人者であるヤコブ・ニールセン博士は、「10のヒューリスティック」というユーザビリティを評価する分析指標を1995年にまとめました。
10のヒューリスティックの項目
・システムステータスの視認性
・システムと現実世界の一致
・ユーザーによる管理とユーザーの自由
・一貫性と標準化
・エラーの防止
・想起ではなく認識
・利用する際の柔軟性と効率性
・美的さと最小限を兼ね備えたデザイン
・ユーザーによるエラーの認識・診断・回復のサポート
・ヘルプとドキュメンテーション
1995年にまとめられたものであるため、近年のサイト・アプリを評価する上では不十分な点もあります。したがって、この指標をそのまま使用するのではなく、あくまで参考程度に留めておきましょう。
ただ、「10のヒューリスティック」は、人間の認知に関する特性を考慮して整理した指標であるため、ユーザビリティを計る基本的な指標としては今の時代でも有益なものといえます。
どのような観点でヒューリスティック分析を行うべきか検討する際に、ユーザビリティの側面における指標としてぜひ参考にしてみてください。
■ ヤコブ・ニールセンによる「10のヒューリスティックス」の原文はこちら: [10 Usability Heuristics for User Interface Design(英語公式サイト)]
ISO9241-11
「ISO9241-11」は、ユーザビリティの国際規格です。1998年に制定され、日本でも1999年にJIS規格となっています。
一般的にユーザビリティの定義はISO9241-11を採用します。
ISO9241-11によるユーザビリティの定義
・有用性
・有効性
・効率
・充足
1998年とこちらも近年のサイト・アプリを評価する上では不十分かもしれません。ただ、原則としてこちらの定義に沿って、評価や改善をすることはヒューリスティック分析やユーザビリティ改善において有効です。
■「ISO9241-11」の定義について、より詳しい解説は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)編著の『組込みソフトウェア開発における品質向上の勧め[ユーザビリティ編]』(発行:翔泳社)の第2章(5ページ〜)をご参照ください。
ヒューリスティック分析で気をつけるべきポイント
先述のように、ヒューリスティック分析はどうしても評価者の知識・経験に左右され、「主観」が入ってしまう恐れがあります。
そこで、なるべく客観性を持たせるために気をつけるべきポイントは、評価者を複数人用意することです。
複数人による分析結果をもとに総合的に判断し、最終的に評価者の中で最も経験豊富な専門家が資料にまとめるとよいでしょう。
ただし、評価者の人数が多すぎても、意見が分かれてまとめるのが困難になるリスクがあるため、多くても5人以下を目安としましょう。
ヒューリスティック分析を取り入れた事例
ここでは、ニジボックスがヒューリスティック分析を活用して、Webサイトの課題発見や改善に寄与した具体的な事例をご紹介します。
株式会社リクルートスタッフィング様のBtoB集客ランディングページ(LP)において、CV(コンバージョン)最大化に向けた改善をご支援しました。
主な取り組みと成果は以下の通りです。
- ヒューリスティック分析による、スピーディーな課題抽出と優先順位付け
- 技術調査から要件定義、実装までを見据えた高速なPDCAサイクル
- 結果として、CVR(コンバージョン率)115%の改善を達成
取り組みの詳しいプロセスや成果については、以下のご支援事例よりご覧ください。
■ご支援事例:
株式会社リクルートスタッフィング BtoB集客ランディングページ(LP)の改善
ヒューリスティック分析とその他のWeb分析手法の違い
ここでは、アクセス解析、ユーザビリティテスト、ヒューリスティック分析の違いについて解説します。
ヒューリスティック分析とアクセス解析の違い
アクセス解析とは、ユーザーの特性や行動を定量的なデータに基づいて分析する手法です。
サイト・アプリの課題を発見するために実施する点では同じですが、大きな違いはヒューリスティック分析は定性調査である点です。
ヒューリスティック分析とアクセス解析は併用されることもあります。
例えばヒューリスティック分析で「特定のページが分かりづらい」という課題が発見されたとして、アクセス解析のデータでそのページの離脱率が高いことが分かったら、課題の信頼性が高まります。
アクセス解析について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ヒューリスティック分析とユーザビリティテストの違い
ユーザビリティテストは同じく定性調査に分類されますが、ヒューリスティック分析との大きな違いは実施者がユーザーであることです。
ヒューリスティック分析だけでは発見できなかった課題をユーザビリティテストで発見できることも多いため、両者を併用することで網羅的な分析が可能になります。
ユーザビリティテストについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
■ 参考記事:
【基本編】ユーザビリティテストとは?基礎知識やメリット、準備するものまでやさしく解説!
【実践編】ユーザビリティテストの分析方法とは?サイト改善につなげるための方法を具体例を交えながら説明!
また下記資料では、ニジボックスのユーザビリティテストのご支援内容や、これまでの実施例を一部ご紹介しています。
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また、以下の記事では上記3つ以外のUXリサーチ手法や分析手法についても解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
■ 参考記事:
UXリサーチの定番手法8選!現役UXデザイナーが活用法をやさしく解説
定量分析・定性分析とは?具体的な手法や組み合わせる方法も解説
まとめ
ヒューリスティック分析は、「専門性の高いUI UXのプロに依頼する」「目的および分析指標を明確に設定する」「他の分析手法と組み合わせて実施する」といったポイントを押さえていれば、ユーザビリティ改善の大きなヒントを得られる手法です。
運営しているサイト・アプリで期待する成果が出ていないときは、ぜひ今回の記事を参考にして、ヒューリスティック分析を実施してみてください。
ニジボックスでは、ヒューリスティック分析を用いた課題の発見による改善案のご提案を『Begin UX!』というサービスで提供しています。 サイト・アプリに課題感をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
個別課題のご相談窓口
UIデザインプロセスでのAI利活用や、みなさま固有の課題など、各種ご相談を承っております。
具体的な相談内容が決まっていなくとも構いません、お気軽にお声がけください。
監修者
丸山 潤
コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。


