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ユーザビリティ向上の鍵「一貫性」について解説!

ユーザビリティ向上の鍵「一貫性」について解説!

ユーザビリティの向上を意識してUIデザインすることは今や一般的です。
実は、ユーザビリティの向上には「一貫性」という考え方が非常に重要であるのはご存じでしょうか?

自分なりに「使いやすさ」をデザインに反映したつもりでも、一貫性を意識しなければユーザビリティの向上にはつながりません。

本記事では、UI UXデザインの担当者向けに、ユーザビリティ向上に不可欠な一貫性の考え方について解説します。

ユーザビリティとは?

ユーザビリティとは一般的に「使いやすさ」であると考えられていますが、実は2つの定義があります。2つの定義とは、ISOによるものとヤコブ・ニールセン博士によるものです。
ユーザビリティの定義については以下の記事で詳しく説明しているので、こちらの記事もぜひご覧ください!

■関連記事:
ユーザビリティとは?定義や分析手法、改善手法まで分かりやすく解説!

一貫性とは?

ユーザビリティ向上を考える上で欠かせない「一貫性」とは、サービスのUIに矛盾がなく、ユーザーの操作に対して規則性・統一性を持って反応することを指します。

Webサイトを例に考えてみましょう。

各ページにおいて、同じフォントを使用し、同じ位置にメニューバーがあり、メニューにカーソルを合わせたときに同じ矢印のアイコンが表示される場合、UIが規則性・統一性を持ち、一貫性があるといえます。UIに一貫性があるとユーザーは混乱しません。また、ストレスを感じることなく利用できるためユーザーにとって使いやすく満足度が高いといえます。

なお、一貫性についてはヤコブ・ニールセン博士が提唱する「ユーザビリティ10原則」においても「一貫性と標準を保持する」という形で触れられています。

ユーザーにとって使いやすく満足度の高いサービスを実現する上で一貫性は必要不可欠です。

ユーザビリティ向上に重要な一貫性の具体例4つ

ユーザビリティ向上に重要な一貫性について、4つの具体例を挙げて解説します。

1.使用する用語の一貫性

ユーザビリティの向上において重要なものの一つが使用する用語の一貫性です。

前述したとおり、同じ意味を持つ異なる用語が使用されると、ユーザーは混乱してしまい、正確な意味を理解するまでに時間がかかってしまいます。

例えばWebサイトのトップページを指す用語が、ページによって「トップページ」「ホームページ」など表記が異なると、ユーザーは混乱すると考えられます。
また、「ログイン」「サインイン」も同一の意味を持つ用語ですが、同じWebサイト内で両方とも使用されるとユーザーは「意味に違いがあるのだろうか」と疑問を抱き、同じ意味で使用されていると理解するまでに時間がかかってしまう可能性があります。

使用する用語を統一するとユーザーは意味を迅速かつ正確に理解でき、ストレスを感じることなくWebサイト内を閲覧・操作できます。
混乱とストレスがない分、満足度は高く、使いやすいWebサイトだという評価につながり、ユーザーは「また利用したい」と考えるかもしれません。

ユーザーが快適に利用できるようにするためにも、Webサイト内の表記はぶれがなく、統一性を持って使用する必要があります。

2.デザインパターンの一貫性

不要な混乱を招かないためにも、デザインパターンの一貫性はユーザビリティを向上させる上で重要です。

例えば閲覧するページによってヘッダーに表示されるCVボタンが異なると、ユーザーは目的の項目をなかなか見つけられずに混乱し、いら立ちを覚えるかもしれません。
上記のように、デザインパターンに一貫性がないWebサイトは利便性・操作性が低いため「使いにくい」と不満を抱くユーザーは少なくありません。

デザインパターンを一貫させるとユーザーはいずれのページにおいても同一の操作が適用できるため、「資料ダウンロードを行う」「実績ページを閲覧する」などの目的を達成可能です。
ユーザーが効率よく目的を達成できれば、「使いやすい」という評価につながります。

3.色・形の一貫性

「目的のページに遷移する」といったユーザーの目的の達成を阻害してしまうため、使用されるボタンやリンクテキストの色や形に一貫性を持たせることもユーザビリティの向上において必要不可欠です。

例えば、テキストリンクの色が赤・青などページごとで異なると「通常のテキストなのか、リンクなのかが判断できない」と誤認につながる可能性があります。

また、ボタンや入力フォームは、世の中のWebサイトで一般的と言われる形に統一することも大切です。ユーザーが普段から使い慣れているUIにすることで「間違えて押してしまい操作が最初からやり直しになってしまった」などユーザビリティの低下を防げます。

使い慣れないUIにした結果ユーザーが不要な疑問を抱いたり、意図を誤解したりすると、「閲覧したいページに移動する」などの目的達成に支障をきたしてしまいます。したがって、ユーザーの目的達成を阻害する要因は極力排除する必要があります。

色や形に一貫性があれば、上記のような疑問・誤解を避けられ、ユーザーはスムーズに意図を理解して操作し、目的を達成できます。ユーザーが迅速に目的を達成できれば、ストレスを感じず使いやすいWebサイトであるとの評価につながり、ユーザーの再訪にも期待できます。

上記から色や形の一貫性の保持はユーザビリティ向上において重要です。

4.フォントやエフェクトの一貫性

ユーザーが情報を正確に把握できずに誤解したり、Webサイトの内容に集中できなかったりする可能性があるため、ユーザビリティの向上においてフォントやエフェクトの一貫性も重要です。

例えば特別な意図がないにもかかわらず、ページによって使用されるフォントが異なると、ユーザーは「別のサイトに来てしまったかもしれない」などの誤解を抱く可能性があります。
また、不規則に多種多様なフォントを使用すると、強調したい部分が埋もれてしまい、ユーザーは情報を正確に把握できません。

エフェクトについても同様で、Webサイト内で不規則にさまざまなエフェクトを使用すると、ユーザーはメッセージを正しく受け取れなくなってしまいます。

さらに、フォントやエフェクトに統一感がないと、ユーザーはWebサイトに対し乱雑な印象を抱いてしまいます。

乱雑であるがゆえにWebサイトの内容に集中できず、「見ているだけで疲れる」「内容が頭に入ってこない」などの不満を感じて、閲覧の途中で離脱してしまう可能性もあるため注意が必要です。

正しい情報を把握できず、集中して閲覧できないWebサイトは、ユーザーにとって使いづらく、満足させることができません。
ユーザーの満足度を高めるためにもフォントやエフェクトの一貫性の保持は重要です。

ユーザビリティ向上以外にも得られる一貫性のメリット2つ

UIの一貫性を保つとユーザビリティの向上以外にも得られるメリットが2つあります。

1.ポジティブなブランドイメージを与えられる

一貫性を保持すると享受できるメリットとして、ユーザーに対し「今までと同じように使えそう」という安心感を与えられる点が挙げられます。

例えばiPhoneユーザーが新シリーズを購入する場合は、「今まで使用していた機種と同様の方法で操作できる」ことを前提に購入すると予想できます。
操作方法や機能を一から覚える必要はなく、今までとほぼ同じように使用できるためユーザーにとって安心感があるのです。

デザインや操作方法などを一貫させるとユーザーは新たに覚えることが少なくなります。負担が軽減される分、ユーザーは効率よく製品を使えます。

Webサイトにおいても同じことがいえます。
デザインや操作性に一貫性を持たせるとユーザーは負担を感じず、いつでも同一の認識を持ち、同じ操作方法を適用してWebサイトを利用できます。

上記のとおり、一貫性の保持はユーザーから「このブランドは、いつも同じ使い方ができて安心感がある」といったポジティブな評価を得られます。

2.生産性が向上する

一貫性のあるデザインにするとデザインアセットを再利用できるというメリットがあります。

デザインアセットの再利用によって、デザイナーはデザインを新規作成する必要がなくなります。また、デザインの実現をサポートする開発チームも、新たな開発を行わずに済むのです。

つまり、デザインアセットの再利用は人的資源の節約につながり、必要なところに効果的に人的資源を投入できるようになります。効率的な人的資源の使い方ができれば現場の生産性は上がります。

デザインの一貫性は生産性の向上につながり、作り手側にもメリットがあります。

まとめ

ユーザビリティの高いWebサイトをデザインするためには、ユーザーが自身の目的を効率よく迅速に達成できるか否かを重視しなければなりません。

効率よく迅速に目的を達成できるようにするために欠かせない考え方が一貫性です。

一貫性のあるWebサイトをデザインするためには、使用する用語やデザインパターン、色、形、フォントやエフェクトにも一貫性を持たせる必要があります。

一貫性を持たせるとユーザビリティの向上につながるだけでなく、ブランドイメージや生産性の向上など作り手側もメリットを享受できます。

ニジボックスでは、サイト制作や開発における情報設計やビジュアル設計、デザインガイドライン制作といったUIデザイン面のご支援も行っております。
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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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